第3章【戦場に吹き荒れる暴風】2節《迎撃=北》

東西南の門に迫っていた兵たちは、既に撃退された。残りは、プリズム北区外門に陣取るハルヒと数人の冒険者ギルドメンバーだけとなる。

他の3人と違って、ハルヒだけ【魔導者メイジ】という後衛職であるが、ハルヒの魔術スキルは前衛職の攻撃と遜色ない威力を発揮する。

==========プリズム北区=ハルヒサイド==============

北の極寒地域をモチーフにしたのか何なのか、青と白基調の城門前にハルヒはたった一人で立っていた。手には【風月の聖杖】を構える。

「……【神気に満ちた極東の島国、モトの神々に願い給う】

   【この地に巣くう邪なるものを祓い、清浄なる光で照らし給え】

   【_我は誓う、この地を守るために邪気と戦うことを】!」

声高に詠唱されたのは神術系スキル【天道てんとう神主みき】。【八百万やおろずみそぎ】と同じく結界系のスキルだが、これは同時にその結界外に聖属性の光槍を飛ばすことができる。

薄青い半透明の結界外で、リミアの兵たちが光槍に貫かれていく光景が見える。

見ようによってはずるいが、これはいつものことなので気にしていない。

スキル発動から数十秒で視界中にはリミアの兵の姿はなくなったが、ハルヒは不意に言葉にしがたい悪寒を一瞬だけ感じとった。原因不明の焦燥感。

いくら彼が魔水晶森妖精クリスタルエルフで、魔法スキル関連に長けているといっても、彼が保持する称号ギフト系アビリティ【時詠み】はあまり詳しい予知は不可能なのである。

また感じた悪寒はいったい何なのか。その原因はまだ誰も知らない。





次回→3節【戦後】                   END


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