最強ギルド副指揮官の気まぐれ討伐

第2章【紅獣眼の聖騎士】1節【ある朝】

いにしえの月炎の日、夜明けの刻。ギルドホーム《蒼穹の館》にある魔法水晶マジック・クリスタルが立ち並ぶ大広間では、10人ほどのギルドメンバーたちがダンジョン探索の準備をしていた。その中にはコウガの姿がある。

リリス「あれ?今日はコウガさん、一人なんですか?」

周りにレイナやハルヒ、アキの姿がなく、1人でいたコウガをいぶかしく思ったのか、ギルド団員である小人パルゥムの少女が話しかけてきた。LV,は9だ。

コウガ「ああ。俺以外全員、急用で先にダンジョンへ行かったから、今日は1人だ」

レイナは神が発注した特殊依頼オール・クエストに向かい、ハルヒとアキはギルドコールへと向かったのである。。

そして、実はメイン職業ジョブ聖騎士パラディンだったりする銀の狼人ウェア・ウルフは、気まぐれに近いような感じでダンジョン82階へ向かった。

注⁆この世界では、職業ジョブによる武器・防具の装備制限などは存在しない。

=========無限ダンジョン82階===================

ダンジョン82階は、いたって普通の森林フロアだったはずなのだが、今は濃い紫色の霧が全体に立ち込めていた。そして、【索敵サーチ】範囲内にモンスターの反応が全く感じられないということに、コウガはとてつもなく違和感を覚えた。

コウガ「……明らかにおかしいな。この霧のせいなのか?」

コウガの【索敵サーチ】スキル効果範囲はダンジョンフロア全体すべてをカバーできるほどなのである。で、反応がないというのは明らかにおかしい。

試しにあたりに【走査スキャン】してみると、【瘴気-Ⅹ】とでた。

コウガ「瘴気…瘴魔デーモン!この階層にいるのか…」

瘴魔デーモンは強さによって呼び方が異なる。人型に近いほど強いとされ、高い方から大公グランドデューク級、公爵デューク級、侯爵マークィス級、伯爵カウント級、子爵ヴァイカウント級、男爵バロン級、士爵ナイト級と分類される。コウガは瘴気の濃い方へと森の中を進んでいく。

すると、昆虫の部位と動物の部位を寄せ集めたような、歪な形をした化け物がいた。コウガはそれに向かって、【走査スキャン】を行うと、【侯爵マークィス級 瘴魔デーモン:LV,9相当】と出た。

コウガ「侯爵マークィス級瘴魔か…、かなり厄介だな、どうするか…」

そうこうしているうちに、瘴魔のほうがこちらに気づいたようで、声が聞こえた。

瘴魔「ソこニいるのハ、ちじょウのモノか!?」

発声器官に問題でもあるのか、ゆがみ、ねじ切れた声である、様子からして明らかに驚いている様子だった。

瘴魔「あレをみつケらレては、けいカクがだイなしニナッテしまウ…!」

そんな言葉とともに、いきなり襲い掛かってきた。計画、という言葉が頭に引っ掛かったが、応戦しないわけにはいかないため、コウガもイフリートを抜いた。

あたりに満ちる瘴気は、LV,5以下だと能力ステータス低下、その他にも各能力制限系の阻害効果デバフを受けてしまうが、コウガにとってはなんてことはない。相対する1人と1体は、初撃の予備動作モーションへと突入した。



次回→第2節【計画者】                      END





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