閑話17.10 夏の夜長に見るエッチな夢に
夜も更けてきたこともあり、大輝たちはそれぞれの布団に潜り込んで睡魔が訪れるまでの時間を過ごした。常夜灯の明かりを頼りに、それぞれが女子トークを繰り広げるというのだろうが、この中には大輝もいる。それなのに真由や翠緑を中心に、けっこうきわどい会話が飛び交ったということに、大輝はドキドキするとともに、無視されているのではないかとの疑念も生える。
6組の布団は、3つずつ2列で敷かれている。上級生組が葵を中心に上座側を使用し、下級生組が大輝を挟んで使うことに自然となった。場所分けで一悶着がなかったのは、大輝にとっても幸いだっただろう。
とはいえ、周りは浴衣姿の可愛い女の子が無防備な格好で布団に横たわっているのである。葵は「手を出せるものなら出してみろ」と挑発するが、理性を抑えるのはなかなか難しい状況だった。
しかし、意識しているのはどうも大輝だけのようで、部屋が暗くなるとすぐに真由の寝息が聞こえてきた。未来と葵も会話からは消え、自然と明日香と翠緑も沈黙する。寝落ちしたのかどうかはわからないが、目が冴えているのは自分だけなのではないかという思いに、大輝は釈然としないものを感じる。
時間の経過とともに、明日香や翠緑の寝息も聞こえてくる。
どうしてこうも簡単に寝ることができるのか。それだけ信用されているとも言えるが、異性として意識されていないのではないかと考えたくもなる。
(先輩、まだ起きてますか?)
天井を見上げていると、小声で翠緑に呼ばれる。驚いて横を向くと、彼女の顔はすぐ目の前にあった。いつの間にか自分の布団の境界線まで忍び寄られていたことに驚くとともに、可愛い笑顔に大輝は心臓が高鳴るのを感じる。無防備な浴衣の胸元は若干はだけており、おいしそうな膨らみがチラ見えする。
(寝てたんじゃなかったの?)
(寝た振りをしてたんですよ。男の人がすぐ横にいて、寝られるわけないじゃないですか)
寝られないのが自分だけではないと知り、大輝はほっとした。同時に、常夜灯のほのかな灯りに照らされて浮き上がる彼女の白い肌に目が釘付けになる。ふと気づく後輩の色気によりいっそう目が冴えた思いだった。
(あ、先輩のえっち。そんなに翠緑のおっぱいが気になりますか?)
翠緑はペロッと可愛く舌を出して胸元を隠した。恥ずかしくて襟元を正したというのに、どういうわけか彼女は悪戯っぽく微笑んで再び胸元を開く。小柄な割にたわわに実る豊かな膨らみが重力にたわむ。熟れ頃の果実にむしゃぶりつきたいと思う大輝だった。
(先輩っておっぱい好きですよね)
(おっぱいが嫌いな男なんていないし)
拗ねたように言って、大輝は吹き出す。
(一般化して正当しなくてもいいじゃないですか。おっぱい好きな人、翠緑も好きですよ)
(でも、男の人からジロジロ見られるのって嫌じゃないの?)
(うーん、どうでしょう。いやらしい目で見られるのはちょっと……って感じもしますけど、男の人の生理現象だって思えばしょうがないかなって。あ、先輩は別ですよ。先輩にならいくら見られてもいいです)
(そんなに見ないからっ)
(えーっ、嘘ばっかり。いつも翠緑のおっぱいばっかり見てるじゃないですか。お見通しですよ)
そこまで見ていただろうかと考えつつ、大輝は確かについつい視線が胸に吸い寄せられていたと反省する。
(先輩っておっぱい好きなのに、ぺったんこな葵会長も好きなんですか?)
(ちょっ、なんでそこで会長の話が出てくるのっ)
囁くようにしゃべっているとはいえ、すぐ上には葵がいるのだった。こういう話を聞かれていたら明日の朝に仕返しされそうで怖い。
(バレバレですよ、先輩が葵会長が好きっていうのは。で、おっぱい星人の先輩は胸がない人でも好きなんですか?)
(人をおっぱい星人呼ばわりしないでよ。人を好きになるのにおっぱいの大小は関係ないでしょ)
(でもおっぱい揉みたいって考えてるんですよね)
(うん、まぁ……)
素直に頷くと、今度は翠緑が吹き出した。
(先輩、大丈夫ですか? おっぱい揉みます?)
(よろこんで。って言いたいけど、こんな状況で揉めるわけないじゃない)
(みんなが周りにいなければ揉んでくれるんですか?)
(揉まないからっ。翠緑ちゃんのおっぱい揉むと後が怖そうだし)
(別に料金請求とかしませんよ。みんなにも内緒にしてあげますし)
(それでもしないから。もう夜も遅いし寝ようよ)
(うー、先輩のケチ。寝れないからこうやっておしゃべりしてるんじゃないですか)
(寝ないと明日がつらくない?)
(そうですけど……。あ、そうだ。先輩が手を握ってくれたら、落ち着いて寝られるような気がします)
仕方がないと大輝はため息をついて布団の中へと手を伸ばす。手を探っていると、すぐに彼女の柔らかくて小さな手が握り返してきた。女の子の感触に気持ちいいと感じるとともに、手を握ることでぬくもりを感じる。これなら自分も寝られそうだと感じる。
(えへへっ、先輩の手っておっきくて暖かいですね)
可愛い後輩に大輝はときめくうちに、ぐっと手を引っ張られた。むにっとした柔らかい感触に当たる。マシュマロのようなそれは間違いなく翠緑のおっぱいだった。
(ちょっ、翠緑ちゃん?)
(先輩、隙がありすぎですよ。女の子の布団の中に手を入れるなんて、エッチなことしたいっていうのと同じじゃないですか)
浴衣の上からとはいえ、おっぱいの感触に大輝の目は冴えてしまう。もっとおっぱいを堪能したいという衝動がわき起こるものの、さすがにこの状況で自分から胸を揉むのは翠緑の思う壺だった。
(先輩、ドキドキしてますか? 翠緑も男の人におっぱい触られるの初めてで……、これってすごく恥ずかしいですね)
いつの間にか翠緑の顔は真っ赤になっている。同時に、手から彼女の心臓の鼓動が伝わってくる。羞恥に塗れていても、翠緑は大輝の手を突き放そうとはしなかった。
(先輩のドキドキも確かめていいですか?)
そう言って大輝の胸に手を当ててきた。
(えへへっ、こんなに興奮してたら寝られないですね)
翠緑は手を浴衣の隙間から潜り込ませ、大輝の胸を直接触ってきた。愛おしくなで回し男の胸の逞しさを手のひらで感じていた。
翠緑に対抗して大輝も揉みしだきたくなるが、そこまでしていいのかどうか迷いもある。いつの間にか、曳かれた手は外れている。いっそのこと胸から手を離すチャンスでもあった。
翠緑は涙目になって見つめてくる。せつなくなった彼女は仕返しとばかりに大輝の布団の中に潜り込んできた。
(翠緑ちゃん、だめだって)
(いいじゃないですか。ちょっと寝相が悪いだけですから)
(ちょっとどころじゃないよそれ)
(えーっ、でも先輩だって嬉しいくせに。お腹に硬いのが当たってるんですけどぉ?)
(こっ、これは翠緑ちゃんが挑発するからで)
(煽り耐性のない子ですね。触ってもいいですよね?)
ダメと言う前に翠緑に握られていた。小さく柔らかい女の子特有の手の感触に、大輝は脳天が痺れるような快感を覚え、思わず声を漏らしそうになる。唇を噛んで声を押し殺すと、翠緑はサディスティックな笑みを浮かべて挑発してくる。
(ううっ、我慢してるのに。翠緑ちゃんが可愛いから仕方が無いじゃないか)
(あんっ。先輩もけっこう大胆ですよね)
(翠緑ちゃんほどじゃないと思うけど)
(そんな素直じゃない先輩にはおしおきです。さっき、会長と明日香先輩とキスしたじゃないですか。翠緑もしてほしいです)
そう言って、翠緑は大輝の許可も得ずに唇を重ねてきた。ふわっとした唇の感触が伝わってくる。最初のキスは遠慮がちにすぐに終わると、次は十秒と少し長く、三度目は舌を伸ばして大輝の口の中に侵入してきた。
ぬるっとした舌が大輝の舌に絡みつく。敏感な粘膜接触に大輝は頭がぼーっとするような快感を覚えた。
(ファーストキスなのに、エッチなキスしちゃいました)
翠緑は頬を紅潮させ、のぼせたように恥ずかしく言う。
(好きな人とのキスってこんなに気持ちいいんですね。もっとしたくなっちゃいました)
そう言って再び翠緑は大輝の唇にむしゃぶりつく。四度目となれば大輝も慣れてきて、自然と唇を開いて彼女の舌を受け入れる。
舌と舌が絡み合い、くちゅくちゅとした卑猥な音が漏れる。周りにはみんながいるということも忘れ、大輝はキスに溺れた。
息が苦しくなって唇を放すと、つーっと舌と舌に唾液の橋がかかる。翠緑は甘い吐息を漏らし、大輝を見つめる。
その後、二人は微睡みに包まれていくなか、夜が更けていった。
翌朝、大輝は体に重さを感じて目を覚ますと、覆い被さるように眠る少女の姿があった。同時に、金縛りにあったかのように左右の腕が身動き取れないことに気づき焦りを覚える。両の腕ともにむにっとした柔らかい何かに挟まれていて妙に気持ちがいいのだが。
翠緑が上に乗っているのではないかと冷や汗をかくものの、何か当たり心地が違う気がした。彼女よりずっと華奢だし、柔らかくない。
寝ぼけ眼のぼやけた視界がはっきりしてくると、はだけた浴衣から覗く白い肌が目に入る。見えそうで見えない大事な部分は、大事なものがないかのようにフラットで、それでもささやかに膨らんでいる。おかげでセーフなのではないかと錯覚するものの、よく見れば桃色のぷっくりした膨らみと、ささやかな突起が丸見えだった。
「んっ、ふわぁ。おはよ……うっ?」
事態の以上に気づいたのはその少女――葵も同様で、瞼を擦りながら挨拶しようとして絶句した。
「なっ、なんで葵会長がこんなところに?」
最初に大輝が想像したことは、間違えて葵の布団の中に潜り込んでしまったのではないかということだった。だが、両腕をその豊満なおっぱいで抱きながら拘束する二人の少女、つまり明日香と翠緑が両サイドにいることに気づき、ここが自分の布団であることがわかった。
「なっ、なっ、なっ……」
酸欠状態の金魚のように口をぱくぱくさせ狼狽する葵の姿は実に新鮮だったが、そんなことを感じさせないほど事態は深刻ではあった。
葵は横たわる大輝の上に跨がった格好になっている。はだけた浴衣から胸はおろか、可愛い白のパンツも丸見えだった。こんもりと盛り上がっている股の部分が、大輝の社会の窓から飛び出た敏感な場所に当たっている。朝勃ちするのは、健全な男児なのだから不可抗力でもある。
お互いに敏感な部分を擦り合っているような形に、大輝も葵も急に恥ずかしくなり頬を染める。それでも元気すぎる息子がいきり立ってぐいぐいと葵の敏感な部分を押しのけようとするのだが。
「あらあら、夕べはお楽しみだったのね」
一足先に起きていた未来が茶化すように言った。どう見ても3人の少女とエキサイトした後にしか見えず、言い訳の余地もない。実際にはそんなことないはずなのに。
「あーっ、葵たちだけずるーい。ボクも混ぜてくれたってよかったのに」
未来の声で目を覚ました真由が大輝に飛びついてくる。こっちも寝相は悪く、頭は寝癖で爆発していたが、それ以上に浴衣ははだけるどころか脱げかかっており、水泳によって引き締まったおっぱいが丸出しになって大輝の頭にぐりぐりと押しつけられる。
その騒ぎで明日香や翠緑も目を覚ましたが、二人とも無言で再び大輝の腕を強く抱きしめた。
「痛い、痛いから二人とも」
絞められてはいたが、両腕は痛気持ちいい。ギブアップを宣言しても、二人とも力を緩めてはくれなかった。
「みんなー、おはよう。夕べはちゃんと眠れたかしら? 遊びすぎて寝坊なんてこと、先生は許しませんからね」
不自然なほど自然と明るい笑顔で入ってきた教師の美穂は、大輝一人に半裸の少女たち4人が群がっている姿を見てすべての状況を察したようだ。
「あの……、夜更かしは仕方ないけど、さすがに乱交パーティーはどうかと思うの。ちゃんと避妊した? むしろ、なんで先生も混ぜてくれなかったのー?」
「美穂ちゃんも馬鹿なこと言ってないで助けてくださいよっ。どう見ても修羅場じゃないですかっ」
この後、仲居が朝食の準備ができたことを告げにやってきたが、営業スマイルのままドアをそっと閉じられたことは、言うまでもない。
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