閑話17.7 明日香ちゃんはオ○ニーするの?
葵が王様ゲームに復帰して息巻くなか、クジは再び真由を指名した。
「あ、またボクが王様か。じゃあ、3番の人、週に何回オナニーしてるか教えて」
追加で投下される爆弾に、みんな絶句する。大輝は2番でよかったと思いつつ、誰が3番なのか気になってしかたがなかった。
「ほら、3番誰?」
みんなが誰が3番なのか見回す中、一人だけ凍り付いたように視線を動かさなかったのは明日香だった。
「ふーん、明日香ちゃんが3番なのか。よかったね、後輩くん。明日香ちゃんがオナニーしてるか知りたかったよね? それとも後輩くんに脱ぎたてパンツをあげる?」
にししと人悪く真由は笑う。明日香は沈んだ表情で大輝を見つめ、告白か罰ゲームのどちらがマシか考えていた。
「別にいいじゃない。オナニーくらいみんなしてるんだしサ。ボクだってムラッとした時はいつもしてるし。後輩くんだって毎日、猿みたいにしてるんでしょ。童貞の男子高校生なんて毎日シないとお稲荷さんが爆発しちゃうっていうし」
「僕に飛び火させないでくださいっ」
「ほら、否定してないし。むしろ、後輩くんの場合は誰をオカズにしてるか知りたいよね。明日香ちゃんなのか、葵なのか。それともボクとか」
「ノーコメントですからっ」
「みんな1回はオカズにされてそうだよね」
「ええっ、翠緑もオカズにされちゃってるんですか? 先輩、さすがにそれは翠緑でも引いちゃうんですけどぉ」
と、翠緑からも白い目で見られてしうまう。事実かどうかといえば、それはそれ、年頃の男子ということで勘弁してもらいたい。
「で、明日香ちゃんはオナニーしてるの?」
さり気ない笑顔での追求にも、明日香は口を重くしている。
「ほらほら、言っちゃおうよ。女の子がオナニーしてるって別に恥ずかしいことじゃないしさ」
「ううっ……それはその……ごにょごにょというか……ちょっとくらいなら……」
「みんな-、聞こえた? 明日香ちゃんもオナニーしまくりだって」
「しまくりじゃないですっ!」
「ふーん、じゃあ週に何回くらいしてるのさ。はっきり言わないとわからないよ?」
によによと人の悪い笑みを浮かべて真由が訊ねる。
「うっ……その…………2回……くらい……」
ぼそっと囁くような声だったが、確かに大輝の耳には届いた。
「3日に1回だなんて明日香ちゃんも結構好きなんじゃない。月一くらいで、排卵日とかムラムラする日にするくらいかなーとか思ってたし」
「んーっ!」
瞬間湯沸かし器のように一瞬で耳まで赤くなり、明日香は声にならない悲鳴をあげ、ばんばんと布団を叩く。
「まぁまぁ。ボクもそれくらいだからいいじゃない。でもきっとあれだよね。後輩くんに会えない土日にせつなくて自分で慰めてるんだよね。明日香ちゃんかわいいなぁ」
図星だったのか、さらに明日香は叫び、近くにあった枕を手にとって大輝をバシバシと叩き始めた。
「ちょっ、痛いって明日香っ」
痛いと言いつつも、大輝の頬はつい緩んでしまう。暴れるものだから明日香の浴衣の胸元ははだけ、圧倒的なボリュームの二つの果実がばいんばいんと揺れる。このままだとむしろ中身が飛び出てしまうのではないかと心配するほどに。
「ほらほら、その辺にしてあげないと後輩くんに嫌われちゃうよ。いや、むしろもっと叩いてあげた方が喜ぶかな」
「そんな変態じゃないですからっ」
説得力の無い表情で大輝は抗議した。とりあえず明日香の照れ隠しは止み、肩で息をしながら大輝を恨めしそうに睨んでいる。
「忘れて。それが無理なら聞かなかったことにして」
「善処します……」
むしろいいオカズができたと、大輝は一生の宝物を得た思いだった。表情には出さないが。
「次の王様だれ?」
「あらあら、あたしみたい。それじゃあ、2番が1番に振り向きながら大好きって告白する」
未来の指名に1番を引いた大輝はドキっとする。2番は再び明日香だった。
「明日香ちゃんが後輩くんにコクるんだ。遊びなんだから、本気にしちゃダメだよ」
大輝と明日香は互いに顔を見合わせ、気まずい表情をした。ゲームで仕方なく、とはいっても、以前に明日香から告白されたことのある大輝としては意識せざるをえない。それは明日香も同じだった。
明日香は大輝に背を向けて座り直す。ドキドキの一瞬だった。彼女は頬を染めながら振り返り、大輝に呟き、笑顔を見せる。
「……大好き」
その仕草に大輝は落とされたも同然だった。ぎゅっと抱きしめたい感情をぐっとこらえる。
「ほら、大輝くんも明日香ちゃんの気持ちに応えてあげなくちゃだめじゃない。お返事は?」
王様の鬼畜な要請に、大輝も動揺する。
「……えっと、僕も……好きだよ……」
照れ隠しに頬をかきながら返事をする。明日香は再び耳まで真っ赤になって「うん……」と小さく頷いた。
「あらあら、カップル誕生かしら。普通ならこのままキスよね」
「未来、これってゲームなのわかってる? あんまりいじめると葵が泣くよ」
隅で膝を抱えている葵も唖然とした表情で大輝を見つめている。
「そうね。こういうことはちゃんと本人の意思でさせないとだめよね」
王様が引いたことで、大輝はほっと胸を撫で下ろした。
「ほら、葵も復帰しないと、後輩くんを誰かに取られちゃうよ。むしろボクが奪っちゃおうか」
真由の発破で葵の復帰も決まった。
「と、またボクが王様か。葵が復帰する前にやりたかったけど仕方がない。4番が5番にパフパフする。4番……葵じゃないよね?」
笑いをこらえながら真由が言う。
「僕が4番だったらどうするつもりですか」
「それはそれでアリだって。で、4番と5番は誰?」
またまたというか、5番は大輝だった。単に大輝ばかり美味しい目を見ているのではなく、その時だけが文章化されているだけだ。たぶん。
4番はというと、再び明日香だった。
「ちょっと、インチキしてない? ボクがあのおっぱい狙ってたのに」
「自分で命令したんだろう。諦めろ」
「あの……パフパフってなんですか?」
本当に知らないようで、明日香は頭に疑問符を浮かべながら訊ねた。
「あ、パフパフ知らないのか。明日香ちゃんのそのおっきなおっぱいで後輩くんの頭を抱きしめてパフパフするんだよ」
「ええーっ、それはちょっと……恥ずかしいです……」
明日香は急に顔を赤く染めて胸元を腕で隠す。伏し目で大輝をちらちら見る。
「んじゃ、浴衣脱ぐ?」
「そっちの方が恥ずかしいじゃないですか!」
「じゃあ、後輩くんにパフパフしてあげないとダメだよね」
「うー……」
「後輩くんもデレデレしすぎだよ。今からそんなんじゃ、明日香ちゃんのおっぱいでパフパフされたら死んじゃうんじゃないの」
真由に呆れられても、大輝の頬は自然と緩んでしまった。浴衣にノーブラでも、明日香の胸の膨らみは圧倒的な存在感がある。ここに顔を埋めるなんて、それこそ死んでも一片の悔い無しというものだった。
「大輝……はやくっ」
あまりみんなの注目が集まるのも恥ずかしいか、明日香は大輝を促した。
大輝は本当にいいのかなぁと思いつつも、明日香の胸へと飛び込むべく、一歩膝を進める。
「えっと、どうすれば……」
このままダイブしていいものか悩んでいると、明日香が困った顔をしながらも、頭を優しく抱えて導いてくれた。浴衣に包まれた二つの山へと近づいていく。大きな山に衝突する瞬間に大輝は唾を飲み込む。
ふんわりとした膨らみが頬にあたり、そのまま顔全体が沈み込んでいく。浴衣から薫る女の子らしい甘い香りと、おっぱいの柔らかい感触に包まれていくと、大輝の表情は嬉しすぎてぐちゃぐちゃに溶けていった。
「うわっ、本当に後輩くんの頭を飲み込んじゃったよ。ボクも大きい方だけど、さすがに頭を挟み込むのは無理だしなぁ」
「言わないでくださいっ」
大きいことでいろいろ好奇の視線に晒されていた明日香は恥ずかしそうに叫ぶ。葵は自分の胸を憎々しげにさすり、未来と翠緑は黄色い歓声をあげてパフパフを見守った。
「ほら、ちゃんとパフパフしてあげないと終わらないよ」
真由の催促に明日香は諦め、両胸を両手で挟み込んで大輝の顔に押し潰すように動かした。ぽよぽよとした乳房は大輝の顔に当たって波打つように形を変える。そのたびに大輝は幸せをもらっていた。
明日香の方も、大輝を胸で抱いて母性本能をくすぐられ、次第に楽しくなってきていた。ずっとこのまま大輝を抱きしめたいという気持ちのままパフパフしていると、急に大輝の体重を胸に感じるようになった。
「明日香ちゃんさぁ、もしかして後輩くん、窒息してない?」
「えっ、ええーっ? 大輝、大丈夫? 大輝っ?」
慌てて介抱するべく、明日香は大輝をぎゅっと抱きしめるのだが、むしろそれは逆効果だった。
「違うから。それじゃ余計に息ができないから」
真由に指摘されて我に返った明日香は、やっと大輝を解放しておっぱいの海から引き上げる。酸素不足なのか、それとも明日香のおっぱいに包まれていた幸せからなのか、大輝の意識は薄弱だったが、顔だけは深刻な様子はなく、むしろにやけきっていた。
大輝のリタイアで、長かった王様ゲームも幕を閉じた。
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