フルカラープログラム
you
0th-Movement 『プログラムcontinued』
System Report -1-
『世界』は有限だ。
果てがある。
全てにおいて限りがある。
限りなく限りがある。だが。
『それ』は無限だ。
きみは、きみの頭の中は。
世界なんかよりずっと広い。果てなんてない。
何処までも何処までも。
だから押し留めないで、閉じ込めないで。
誰かが蓋をしてるんじゃない。
君が隠しているんだ。
その扉に鍵なんてかかってない。
本当はずっと伝えたいんでしょう
叫びたいんでしょう
聴いてほしいんでしょう
観てほしいんでしょう
知ってるよ、知ってる。
だから、教えてよ。
ねぇ、きみはなにがすき?
《Ra■son d'e■re_ザッ_distortiザザッon___.》
はじまりは、えぇと……なにがどーなったんだったっけ。ええと、ええーーっと。
委細鮮明に思い出せるほど近い話じゃないけれど、一切合切思い出せないほど、遠い話じゃなかったはず。
きっと、多分。おそらく、めいびー?
ううん、確かね、そうだ、僕と君はね、同じだった。
同じだったんだよ。
僕たちは出会った、出会えた、出逢えてしまった、惹かれ合ったのか、偶然だったのか、必然だったのか、運命だったのか。
そこからはなにもいらなかった。
共に震え、共に泣き、共に感じた。
いっぱい、いっぱい遊んだ。
でも僕たちはなんでも、なにもかも、すぐに極めてしまう、究めてしまう、窮めてしまう。
まあ、有り体に言っちゃえば、ぼくたちは達していたから、飽き性だったから。だから、だから。
たくさん、たくさん工夫した。
僕の知らない事を君は知っていて。
君の知らない事を僕は知っていた。
だから。
君と一緒にいたあの日々はいつまでもいつまでも楽しかった。新しかった。
君も、そう思っていてくれて、そう言ってくれていた。何度も、何度も。
君の感性にはいつも驚かされた。
まさかそんな方法が、そんな切り口が、って毎回言ってたね。
そして僕の情緒もまた、全く逆で、君も僕に感銘を受けてくれていた。
互いのそれが本当に心地よくて。
どうしてここまで同じはずの僕たちの。
脳と心と感性は全く造りが違うのだろう。
なのになんで共振出来て、共鳴できて、共感できるのだろう。
だなんていつも二人で首を傾げていたね。
いつしか底が見たくなった、知りたくなった。
僕たちが全てを注いで、一つのものをつくったら…………。
考えるだけでわくわくした、思考が脳髄が一秒だって止まろうとしなかった。
まばたきする度に、それは加速していくんだ。
永い、永い時間の中で、色んなものを、いっぱい作った、創った、造った。
想像して創造して、壊して、変えて、替えて、代えて。
お互いのすべてが綺麗に混ざりあって、信じられないくらい昇華されていって、なにもかもが留まることをしようとしなかった。
ある時、とても、とても大きなものが出来上がった。
きっとこれ以上のものは天地がひっくり返ったって出来やしない。僕たちはそう確信した。
いや、僕たちがそんな事を言うと洒落にならないんだけど。
そうして出来たそれで、僕たちはずぅっと遊んだ。飽き性の僕たちが一時だって飽きずに何度も何度も遊んだ。
やがて、それは僕たちの思いもよらない方向へ生まれ変わっていった。有り体に、なんというか、こう、上手く言えないんだけど。
進化したというか、新化した、というか。
僕たちが手を加えなくても、それは、それの中のそれらは、勝手に、色んな方向へ、自由自在に足されていく、終わりのないものになった。
僕たちは嬉しくなって、またそれでずっとずっと遊んだんだ。
またある時に、ふと、気付く。これは、僕たちが干渉すると面白いように様を変えていくんだ。更には僕たちの予想しえない方へ、干渉すればするほど色を変えていった。
そしてまた、それらは僕たちにも大きく影響を及ぼしていく。
打ち止めだと思われていた感性が、感覚がまた新しい側面を見せてくれる。
僕らは夢中になった。
遊んだ、掛け合った、戦った、闘った。約束事を設けたり、あえてそのルールを破ってみたり。ほんのちょっと見方を変えたりタッチを変えるだけでもそれは広がって、変わって、新しくなる。
その時ぐらいからだったんだろう、君は多分、ちょっとずつ変わっていった。
いつからだろう。いや、『それ』にはじまりはきっとなかった。
ずっと最初から『それ』はあったんだろうね。
創ること、演じること、行うこと、交わること。それは一人で産むことも出来るけど、二人なら、それ以上なら、合わされば。
もっともっと素敵になる、いくらでも産み出せる。産み出せば産み出すほど、造り出せば造り出くほど、それは昇華していく。
と、信じて疑わなかったのだけれど。
どうやら、違った。悲しくなるほどに、そうじゃなかった。
完成する。終わる、締まる。
結ばれる。締結する、完結する、仕上がる。
出来上がる。
美しく描かれ、彩られる。
綺麗に終わったそれらは、まるで虹色のように輝き、溢れ、僕たちを揺さぶり、また突き動かした、それが好きだったから。
気付けば、終わることのできない、終われない、終わらない『モノ』が増えていた。
飽きてしまったのかもしれない、必要がなくなったのかもしれない、心が動かなくなったのかもしれない、そんな、様々な理由から、結ばれないモノが、手から零れ落ちていくことが増えていたのに、僕たちは知らない振りをし続けていたのかもしれない。
なにもない白いノートに、パレットに、虹色を彩りたい、そんな気持ちだけがあったはずなのに。
盤面はぐずりぐずりと、どす黒いなにかが蝕み、病んでいき、呑み込んでいこうとしていたのかもしれない。
あぁ、どこからだろう。どこからだろう。
これは
system report -1-
To Be continued on system report -2-
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