Episode Ⅸ


「……ん…?あ、れ……っ!嫌だ、レイがっ…!!」

「今は違うっ!俺がいるからっ…!」


「はぁっ…はぁ…嫌だ…私…」

「…バカ」



…私…自殺、した…?



「…自殺、したの…?私…」

「…思い出した、のか」


「………レイ…の、生まれ変わりもいる…」

「何、バカなこと言ってんの。あんなヤツが生まれ変われる訳がねぇ」


いる。

レイの生まれ変わりも、どこかにいる。


確実に、いる。


「お前高校生っつったっけ?」

「え…あ、うん…二年生、だけど」


「…ふーん…」


今更思うけど、彼は何者なのだろうか。


アイドルとしては自称20歳だが、だいたいハルが元々同い年だったから嘘かも知れない。


「…なんで歳が離れてるの…」

「……死んだのが遅かったから。俺の方が死んだのが遅かったから、早く生まれた」


「…それじゃ合わないじゃない。不公平だよ」


「嗚呼。でも俺はお前が死んだ三年後に死んだから。それが関係してると思う」


…確かに、水魅が本当に20歳なら私達は三歳差。



何か関係が……?



「…テレビでも見てろ。飯作る」

「は、はい…」


…ていうか、私、なんでここにいるの?


この人に無理やり連れてこられたけど…


「…私、帰らなきゃ。お母さんが…」

「帰らせない」


「え?」


壁と水魅に挟まれる。


「なっ…でも私、」

「お前の家族にはもう知らせてある。今度から学校にはここから通え」


「…なんで…そこまで…」

「いいから黙ってここにいろ」


ストン、とソファに座らされた。


『それでは、歌っていただきましょう。新人バンドグループランキング第一位の、“bluesky”で、南風。』


『春の、香りがした~』


「あぁーーーっ!!」


「…どうした」

「こここ、この人っ…!!」


まさか…!

でもただの他人の空似!?


「こいつがどうした」

「…わわ、私のクラスメイト、なの…」


「は!?クラスメイト!?青木羽望が!?」


青木、羽望。

間違いなくそいつだ。


「で、でもまだ二年生になったばかり、だから…」


「……今度俺、こいつとコラボするんだけど」


「え、ええぇっ!?」



これも、何かの運命………?




  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る