厳しい修練と澄み切った心根であり続ける神の子を宿すお役目になった少女と、冷淡になってしまった夫の少年の物語。作者は出雲のいくつもの古い神社に伝わる儀式や作法を勉強されたのだろう。古神道の匂いを感じる良作。
小さい頃の初恋は再会したときに、無惨にも散ってしまう。深く悲しい傷がついても、それでも思い続けようとする心はとても美しい。でもいつか壊れてしまわないか、ハラハラする。人を一途に思うことの、儚さと強さ、を教えてくれるお話です。
童話のように優しく、しゅっと吸収されるような小説です。バトルもいい、異世界もいいけど、こういう優しい小説もすごくいい。
再び会う日を待ち続けた人。その人がすっかり変わってしまったら? その人が貴方の事を忘れてしまったとしたら?それでも貴方はその人を愛してるといえるだろうか。思い続けることができるだろうか。信じること、信じ続けることはかくも苦しく難しい。それでも、一途な恋と健気な愛があるのならそれは必ず届くはず。この物語はそんな難しい事を美しく、繊細な筆に載せて送る。しきみ彰先生の麗しい文体は読者を物語へと誘い込むよう。この一途さの行方がどこに行き着くのか、必見だ