心ない誤解

子供が小学校高学年の頃、学校で予告無しに家庭での食事調査が行われました。


1週間の食事を、決められた用紙に子供が記入します。

子供にかん口令を敷いていた訳では無いのでしょうが、親に調査の件は一切伝えられません。


運の悪い私は、その時家具を大移動していた期間でした。娘二人は部屋を別々にしたいと言うので、一部屋を空けるため、昼間私一人で動かしていました。


タンスの中の衣類を出し、引き出しを抜き、引きずりなから移動します。また引き出しをタンスに戻し、服を入れ…と、大きなタンス3竿を4・5日掛けて動かしました。


へとへとの私は、子供の夕食はうどんや冷凍食品と、手っ取り早く単品で済ませて仕舞います。


学期末の保護者面談で、先生から

「お母さんは働いていらっしゃいますか?」と尋ねられ

「いいえ。どうしてですか?」

と聞き返しますと

「いえ、…それなら結構です」

と言葉を濁され、奥歯に物が挟まった物言いが、気になります。


後日子供が通知表と一緒に食事調査表を持ち帰り、初めて先生の質問の意味を理解します。

粗末な食事をしている、と思われた事は想像するに難くありません。


また、ある方は実家のお母さんが倒れ、付きっきりで1週間看病しました。子供の食事は夫に任せます。


その間、子供は食事調査表に記入します。

学期末子供が持ち帰る食事調査表には、案の定「栄養が片寄らない様に」とアドバイスが。


「こちらの事情を分かりもせず、一方的にこんな事言われるなんて!」

と二人して地団太踏んで悔しがり、まるで鬼退治する勢いで非難ごうごう!


そのお陰で、うっぷん晴らしが出来た二人でしたが…。


またある時、ご近所の方で同学年のお子さんを持つお母さんから

「あの御宅の〇〇ちゃんのお母さん、いつも晩の10時頃出掛けるのを見るけど、家に子供を置いてどこへ行くのかしら?」と、良くない詮索をします。


その噂のお母さんを知る私は

「いえいえ、〇〇ちゃんは塾に行ってるので、そのお迎えよ。」と訂正します。

口さがない人は居ます。


自分の知らない所で、いつの間にか心ないあらぬ誤解を受けています。

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