黒のニュース
びっくりした。
花が外に出るなんて思ってなかったから
もう少し時間がかかると思ってたから。
タネ明かしはもうちょっと先にしよう。
まだ寝ている花をおいて家を出た。
(昨日は激しすぎたかしら)
今日で花が来てから1年になる。いや、花を連れてきてから、か。
駅前の液晶にニュースが流れる
《えー、今日で、✕✕市の放火事件から1年となりました。未だに犯人は捕まっておらず、当時16歳の日向 花さんは行方不明となっており、見つかっていません。警察は遺体となって見つかった日向 哲也さん、当時48歳が、暴力団と何らかの関係があったと見て捜査を続けております。》
ニュースの内容を聞いて笑いそうになった。
警察は大きなエサにしか食いつかないのか。
所詮無能な公務員なのか。
(まあ、真実が明らかになるころには手遅れになってるわね。)
踊るように通学路を歩いた。
(本当のことを知ったら、花はどんな顔をするのかしら。憎悪や嫌悪?いや、あの子なら笑うかも。)
運動部でさえまだ登校してない時間に生徒会室に入る。傍から見れば、優秀な生徒会長だろう。しかし彼女は誰もいない生徒会室で、アルバムを開いた。私物のようで、38という番号が書いてある。
「可愛い私の花。どこにも行かないで。」
アルバムの写真には1年前の事件以来、行方不明になっている少女が写っている。
不自然なことに、すべての写真がカメラの方を向いていない。恐らく隠し撮りだろう。
彼女の性癖には誰も気づかない。
彼女は優秀な生徒会長。化けの皮は剥がれない。
小1時間経つと生徒会のメンバーがやって来る。
みんなして今朝のニュースについて話している。なんせ、自分の学校の生徒が1年も行方不明になっているんだから。
「会長、今日で1年なんですね。日向さん見つかんないのかな?」
「ええ。花ちゃんがいなくなって1年経つのね。私、1番仲のいい後輩だったからもう…」
ぽたり
机の上に、大粒の涙が落ちた
「ごっ、ごめんなさい…私…」
「会長落ち着いて!」
「でも無理もないわ。あんだけ日向さんのこと気にかけてたんだから。」
朝の事務仕事もほどほどに、各自、教室に向かった。
1人残った生徒会室でぽつり。
「ふふふ」
笑ってる会長には誰も気づかない。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます