蛙と百足

 はてさて、そのまま何事もなく二階へと上がった二人だったのだが。

 しかし、残念ながら、そのまま何事もなく夜が明けるということはなかった。

 守と一重が、二階にあがってすぐに――二人は百足葉羽と遭遇した。

 守たちに何度も酷い目にあわされ、そして二度も捕まった、くのいち。

 満身創痍、ボロボロになりながらも、守たちの前に姿を現した。いつもの無表情は、まるで仮面だったかのように脱ぎ捨てて。瞳に怒りをたぎらせ、守を睨む。

「一重ちゃん、走って!!」

 百足の姿を見て、すぐに守はそう叫ぶ。

 そして、懐に手を入れて何やら卵のようなものを取り出し、それを百足の頭上めがけて投げつけた。

「喰らえっ」

天井に当たり、ぺきょ、と音を立てて卵のようなものは破裂。

白い粉を、廊下に撒き散らす。

煙の中身は、唐辛子、胡椒、石灰など。

 催涙兵器の一種で、目に入っても鼻に入っても、激痛が走り涙が止まらくなる。

 それを、頭からかぶってしまった百足はというと――

「………………」

 目を閉じ、息を止めていた。

 そして、目を閉じたまま、煙の中を突っ切って守に向かって突進をした。

 すでに逃走を始めていた守だったが、しかし、スピードは百足の方が上。さらに前を走る一重は守よりも足は遅く、このままでは二人はすぐに追いつかれてしまう。

「くっ……ハンマーブロス!」

 守は苦し紛れに、振り返りながら持っていた金槌を百足に投げつける。

 が、目を閉じたままの百足は、いともたやすくそれを躱す。

 とはいえ、躱した一瞬だけ、百足の速度が落ちた。

 その追いつかれるまでの少しの猶予を使って、守は、背中から全力で後ろに飛ぶ。と同時に、天井から垂れ下がっていた紐を引っ張った。紐を掴んだ守が尻餅をつくと、緑色の網が天井から引っ張り出され、廊下を塞ぐ。

「――っ」

 これには、さすがの百足も止まらざるをえなかったようで、体を後ろに倒しながら無理やりにブレーキをかける。

 これで、少しの時間が稼げた。

 しかし、緑色の網――学校などで使われる防球ネットは、上から落としただけなので、くぐられてしまえばそれで終わりだ。

 そこまでの時間は稼げない。

 なので、すぐに移動しなければならない。

「行くよ、一重ちゃん!」

「は、はいっ……」

 守はすぐに立ち上がって、一重の手をとる。

 一重は、やはり運動不足だったからか、少し息を切らしている。

 そんな一重を引っ張るように、守は彼女の手を握って走る。

 やがて二人は、二階、渡り廊下へとたどり着いた。

 以前、智樹と守を庭の池にぶち落とした、あの渡り廊下だ。今も、その仕掛けはしっかりとあるので、守は一重の手を引いて慎重に渡り廊下を歩く。

 ここの廊下の仕組みは、とても単純。一部の床板を踏むと、仕掛けが作動して、床が抜ける。そのまま、庭の池に落とされるだけだ。

 なので、いくつかのスイッチとなる床板を避けて歩けば、仕掛けは作動しない。

 二人は、床板スイッチを踏まないように、ゆっくりと進む。

 そして、ようやく半分にたどり着いたところで

「――くしゅん!」

 一重が、くしゃみをした。

「おっと。大丈夫? もしかしたら、さっき僕が投げた目つぶしの粉が、ここまで来ちゃってるのかもね」

「……はい。少しですが、目も痛い、かもです」

 咄嗟の手段だったとはいえ、目潰しを屋内で使うには、少し危険だったのかもしれない。

 若干だが、守も鼻のむずむずと、目の痛みを感じる。

「じゃあ、窓を開けて換気しておこうか」

「そうですね」

 渡り廊下中央にある両サイドの窓ガラスのうち――外庭側の窓を、守は開ける。

 外の冷たい空気が、窓から流れ込む。

「あ、そこの床板は踏まないようにね」

「はい」

 守に言われたとおり、一重は窓の下にある床板を踏まないよう気を付ける。

「あと、窓枠の位置が低いから、落ちないように気を付けてね」

「別に、そこまで子ども扱いしなくても大丈夫ですっ」

 少し不満そうにしながら、頬を膨らませる。

一重は落ちないように気を付けながら、窓から体を出して外の空気を大きく吸い込む。

「……ふう。ちょっと楽になりました」

 窓枠に腰を掛けて、白くなった息を吐きながら言う。

「それは良かった――っと、そろそろ僕は準備をしないと」

「準備、ですか?」

「そ。百足さんを迎え撃つ、準備をね」

 ふふん、と自慢げに笑う守。

「えっと確か、この辺に……」

 一重の上から手を伸ばして、守は窓の外側を手探る。

「っと……あれ、おっかしいな。確か、ここだと思ったんだけど……」

「どうしたんですか?」

 守の下から、一重は問いかける。

 少し焦った顔で、守は答える。

「えっと、ここに用意しておいたはずのものがないんだけど……。もしかして、下に落ちちゃったのかな?」

「いえ。暗くてわかりづらいですけど、下には……たぶん、何もないです」

 一重が、そう否定をすると

「――守宮さんたちが探しているのは、これですかぁ?」

 突然、背後から声をかけられた。

 慌てて、窓の外から顔を引き戻す守。

 渡り廊下の先、守たちがやってきた場所の反対側。

 そこに、河津押花が立っていた。

「河津さん……」

 河津はまだ渡り廊下へと足を踏み入れておらず、それなりに離れた位置にいる。

「はい。なんでしょう、守宮さん?」

 顎に人差し指を当てて、首をかしげる河津。

「えっと、その手に持ってるのは……」

「ああ、これですか? そこの窓の裏に置いてあったので、つい取ってしまいました。守宮さんは、これを探していたんですよね?」

 河津は、手に持っていたもの――縄梯子を広げて、守に見せつける。

「そう、です。それを探してたんですけど……返してはもらえない、ですよね……?」

「もちろん」

「ですよね……」

「私も以前、この渡り廊下には、お世話になりましたからね。きっとどこかに、追加で仕掛けがあるかなーって思って調べてみたら、これが見つかったんですよ。それで、せっかくだから、ここで待ち伏せちゃいましたぁ」

 にっこりと、満面の笑みになる河津

 その笑顔からは、悪意が感じられる。

「……やっぱり。河津さんは、僕らの敵なんですね」

「いえいえ。勘違いしないでくださいよ? 私の敵は、守宮さんと一葉君と森井さん、あとは、表花――あの性悪女だけで、その子は違いますから」

「……一重ちゃんは違う?」

 後ろ目に、一重の様子をうかがう守。

 しかし一重は、我関せずといった様子で、窓から顔を出したままだ。

 仕方なく守は、河津に視線を戻して、言葉の真意を問う。

「どういう意味です?」

「私、その子が――一重ちゃんが欲しいんですよ。どうしても連れて帰りたいんです」

「……河津さんが、家本家の人間だからですか?」

「あら? 知ってたんですねぇ。私の本名が家本押花だってことを」

 守のカマかけであっさり自分の素性を薄情する河津。

 これで、河津押花は家本押花であると確定した。

 ということは、家本――家本表花と、家本押花も姉妹で間違いない。

 さっき押花が、表花のことを性悪女と評していたのも、そういうことなのだろう。

「確かに、私は家本の人間ですけど……。でも三年前に、あの家からは手を切ってるんですよ? だから、一重ちゃんを本家に連れて帰ることもしません。なので、守宮さんは安心して、一重ちゃんを私に下さい。お願いです。一重ちゃんさえ、渡してくだされば、これ以上危害を加えませんから」

 河津は、両手の平を胸の前で合わせて体を揺らす。

「……い、嫌です。家本家の本家に連れて帰らなくても、あなたたちは一重ちゃんを連れ帰って、また座敷牢に閉じ込めるつもりなんでしょう?」

「――はい? いえ。閉じ込めてるのは、守宮さんたちの方ですよねぇ?」

「……え?」

「私、一重ちゃんが本家を連れ去られたときから、ずっと、行方を追っていたんですよぉ? なのに、三年間の間で一重ちゃんの姿が目撃されたという情報を手に入れたのは、わずか、数回だけ。それってつまり、一重ちゃんを誘拐したあの性悪女が、閉じ込めていたってことでしょう?」

「それは――」

 言葉に詰まる守。

 確かに、表花が一重を、この家に閉じ込めていたのは事実だ。

 でもそれは――

「仕方のないことだった、ですかぁ? ……本当にそうですか? 座敷童が家から離れたら、悪いことが起こる。で? ……それがどうかしましたか? 悪いことが起こるからって、閉じ込めていいことにはならないですよね?」

 そう、主張する押花。

 確かに、押花の主張は間違ってはいない。

 一重を外に出すことは、別に不可能ではなかったはずだ。その気になれば……何らかの被害を覚悟すれば、一重を自由にすることだって、できたはずなのだ。

 そうしなかったのは、被害を恐れたため。

 だから、自分本位に一重を閉じ込めていたと言われても、否定できない。

「僕のやってることは、間違ってるのかもしれません……。だけど……目的もわからない河津さんに、一重ちゃんを渡すわけにはいきません」

 守は、精いっぱいに言い返す。

 しかし。

 押花はケロっとした顔で、首をかしげていた。

「目的が知りたいんですか? だったら教えますけど……。私の目的は、一重ちゃんの自由です。一重ちゃんを自由にしてあげたい、ただそれだけなんです」

「え?」

「本家に居た頃にですねぇ、私、一重ちゃんを見て思ったんです。座敷牢なんかに閉じ込められている少女を見て私は、助けてあげたいって、そう思ったんです。それで、助けてあげる準備なんかを色々としていたわけなんですけど。結果はこの通り、性悪女にかっさらわれてしまいまして。まあでも、それで一重ちゃんが自由になっていたら、私も文句は無かったんですけどねぇ。でも、そうじゃなかった。あの女は、一重ちゃんを自由にするどころか、また閉じ込めるようなことをした。だから私は、そんな性悪女から、一重ちゃんを助けてあげにきたんですよ」

「でも、僕は……」

 言いよどむ、守。

「守宮さんは、女の子を監禁するのが趣味なんですか? そうじゃないでしょう? だったら、私にその子を引き渡してください」

「……嫌、です」

「は?」

 守からの明確な断りに、眉をひそめる押花。

 どうにも、守は覚悟を決めたようで、彼の目からは迷いが消えていた。

「さっきまでの僕の主張は建前でした。謝ります。だから、次は本音で話そうと思います」

「本音、ですか?」

 と、押花は興味がなさそうに、聞き返す。

 しかし、そんな押花の態度を気にすることなく、守は声をあげて言った。

「正直に言いましょう! 僕はただ、可愛い妹と一緒に暮らしたいだけなんです!」

「へー」

「その点、一重ちゃんは良い子だし、超可愛――いたっ! ちょっと一重ちゃん、足を蹴らないで! えっと……だから僕は、一重ちゃんを誰かに引き渡したりはしません。自由とかそういうのは、また後で考えます!」

 意気込む守にたいして、まるで興味がなさそうに、あくびを噛み殺している押花。

 目じりに浮かんだ涙を拭って、守に言う。

「――つまり、交渉は決裂ってことですねぇ?」

「あっ、はい」

「じゃあ、ここからは強硬手段に出ましょう。よし――百足ちゃん」

 押花が、守の後方にそう問いかける。

「えっ?」

 守が振り向くと

「………………」

 いつの間にか、百足が無言で立っていた。

いや、いつの間にかも何も、そもそもたいした足止めもしていなかったのだから、追いつかれるのは当然のことなのだが。問題なのは、近づかれているのを、気付けなかったことである。

 守が、呆然と口を開けていると、押花が

「話は聞いてましたね、百足ちゃん。交渉は決裂です。一重ちゃんを、力づくで連れ帰ってください」

 と、指示を出した。

「……わかりました」

 こくりと頷く百足。

 そして、足を動かそうとしたところで、守が叫ぶ。

「ちょ、ちょっと待って!」

 守の苦し紛れの言葉に、足を止めて押花に顔を向ける百足。

 どうやら、待つかどうかの指示を仰いでいるようだ。

 これで、少しの考える時間は稼げる。

 その間に、なんとか打開策を考えなければ。

 前には押花。後ろには百足。

 ここは渡り廊下なため、近くに部屋もない。完全な挟み撃ちだ。逃げ場はない。

 それに、脱出用に用意してあった、縄梯子も、今は押花の手の中。

 何か、この場を乗り切る方法がないか、守は必死に考えるが、いい案は思いつかない。

 よくない案なら、二つほど思いついたのだが。

 まず一つは、自爆。

 渡り廊下の仕掛けを作動させて、一重を捕まえにきた百足や押花ごと、下の池に落ちる方法。当然、自分たちにも被害がでる。自分だけならともかく一重を巻き込むのは駄目だ。

 二つ目は、突貫。

 百足か押花に突っ込んで、強引に渡り廊下を突破する方法。成功率は高いとは言えないが、相手は女。男の守が全力でぶち当たれば、最悪、一重を逃がすことくらいはできるかもしれない。

 どちらも、半ば、やけくそである。

 しかし……他に取るべき手段もなく。守は覚悟を決め、二つ目の手段――突貫を考える。

 突貫をするならば、忍である百足よりも、押花がいいだろう。

 守は、視線を押花へと向ける。

押花はその視線を受けて、守が何を考えているのかお見通しだというように、笑った。

「確かに私は百足ちゃんみたいに強くはないですけど……文明の利器さえあれば、百足ちゃん以上の脅威になったりも、するんですよ?」

 そう言って、押花が懐から取り出したのは

「なっ……」

 ――黒い拳銃。日本では単純所持すらも違法になる、人を殺傷しうる力を持つ武器だ。

 押花は取り出した拳銃の安全装置を外して、両手で持ち、体の前で構える。

 人差し指をぴんと伸ばし、銃口を守へと向けた。

「いやぁ、家本家を出るときに、拝借しておいてよかったです。個人では、中々手に入るようなものではないですからねぇ。と言っても、進んで使いたいものでも、ないですけれど。でももし、私の方へ来たら、ついうっかり引き金を引いてしまうかもしれませんねぇ」

 口元に笑みを浮かべて、威圧する。

「うぅっ……」

 取ろうとしていた手段にまで牽制をかけられてしまえば、完全に詰みだ。

「百足ちゃん。お話は終わったので、さっさっとやっちゃってください」

 押花に言われて、百足は再び動き始める。

 一歩、二歩、後ろに下がって、助走をつけ。

 守たちの立っている反対の壁に足をかけて――走った。

 床板を踏むと仕掛けが作動するというなら、壁を走ればいい。

 百足は、そんなむちゃくちゃな方法で仕掛けを回避して、守たちへと近づいた。

「くそっ!!」

 もはや、守にはどうすることもできない。せめて最後に、盾になって時間だけでも稼いでやろうと、一重の前に立って両手を広げる。

 窓から顔を戻していた一重は、守の体によって百足から隠される。

 守は、足は震えているし、顔もいたく強張っていて、今にも泣きだしそうだ。

 だけど、どれだけ怯えようとも、一重を置いて、その場から逃げだすことはなかった。

 守は、自身を襲うであろう衝撃に備えて、歯を食いしばり、固く目を閉じた。

 しかし。

 そんな守の様子とは違い、一重は落ち着いた様子で、守の腰に手を回して後ろからそっと抱きしめた。そして、おでこを守の背中に当てたまま、一重は囁く。


「――大丈夫です、守さん」


 その声は優しく穏やかで、そして、とても力強かった。

「一重……ちゃん?」

 守の腰に回した腕に、ぎゅっと力を入れる一重。

 そのままの体勢で、窓枠にもたれかかった。

 壁を走る百足は、もうすぐそこ。

 一重は、腰を低くして、足を横に広げ、床を力強く踏んで、体を後ろに逸らした。

 体を後ろに、つまりは――開いた窓の先へ。一重は、守の腰をぎゅっと抱きかかえたまま、窓の外へと体を倒す。

「んんんんんーっ!」

 窓枠の上に体を乗せた一重は、自分よりも大きな守を、なんとか持ち上げて

「え、ちょ、えええええぇぇえええぇ!?」

 そして。

 守を、窓の外へと――放り投げた。

 投げっぱなしジャーマンだった。

「ぎゃああぁあぁああああぁ!!」

 悲鳴と共に、落ちていく守。

「………………は?」

 さすがにこれは予想外だったのか、目を見開いてそれを呆然と眺める押花。

 壁を走る百足も、動揺していた。が、とにかくターゲットの確保を最優先に考え、壁から一重の元まで跳んだ。

 跳んだ瞬間――

「なっ!?」

 一重が全身を窓の外へと投げ出していた。

 守を放り投げた体勢から、そのまま窓の外へと、滑り落ちていった。

 ターゲットが目前から消えて、対処に迷う百足。

 すでに壁から跳んでしまっているため、ひとまずは、床に着地しようと考える。

 しかし、その選択は間違いだった。

 そのまま百足も、ターゲットを追って、窓から飛び出すべきだった。

 二階から落ちたところで、どうせ怪我すらしないのだから。

 床に足をつけようなんて選択を、してはいけなかったのだ。

 何故なら――

 すでに、足をつけるべき床はなくなっていたのだから。

「っ!?」

 渡り廊下の仕掛けが、いつの間にか作動していた。

 足場は無くなって、下には、暗い庭だけが見える。

 スイッチとなる床板を踏んでいないのに何故? と混乱する百足だったが、渡り廊下の外から一部始終を見ていた押花には、何故仕掛けが作動したのかわかっていた。

 原因はターゲットである紙魚一重だ。

 守を放り投げる際に、横に広げた足でスイッチとなる床を踏んでいたのだ。

 本来ならスイッチを踏んだ後は、用意してあった縄梯子を使って窓から逃げる算段だったのだろう。そこまでは押花もわかっていた。だから縄梯子を回収して、待ち伏せをしたのだ。

 だから。まさか、何もなしに飛び降りるとは思っていなかった。

「百足ちゃん!」

 押花の目の前で、落下していく百足。

 斜めの状態で停止している渡り廊下の床板に、百足は必死にしがみつこうとするも、失敗。床板を滑り落ちて、庭へと放りだされる。

 押花の視界から、百足が消える。

 下は池だったので、おそらく大事はないはずだ。そうでなくとも、百足なら二階程度の高さは無傷で着地できる。

 むしろ心配なのは、ターゲットである一重だ。

 自ら飛び降りたとはいえ、もしかしたら怪我をしているかもしれない。とにかく、一階へ降りて、どうなったのかを確認しなければ。

 縄梯子は、引っ掛ける場所がないので使えそうにない。渡り廊下も、まだ使えない。

 一階へ行くには、遠回りして階段へ向かわなければ。

 そう判断した押花は

「あーもうっ!」

イライラを口に出して、すぐにその場を後にしたのだった。

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