なんてこった! 智樹が死んじゃった!?

「となると、じゃあ次は二階になるわけか。守、俺はちょっと疲れてきたぜ」

「ほんとにねー。もし二階が一階と同じくらい広かったら、ちょっとつらいよね」

 そうぼやく二人には、少し疲れが見える。

「まあでも、ここまで来たのなら、二階も見るよな」

「うん。なんとか二階を通って、渡り廊下向こう側の閂も閉めたいよね」

「んじゃま、二階に行きますかい」

「おっし」

 そう意気込んで、二人そろって、階段をあがり始める。

「あれ? この階段……」

「どした?」

 ぼそりと呟いた守に、智樹が問いかけるが

「いや、なんでもないと思う」

 と、答える守。

 階段の横幅は、二人並んでいても、まだ余裕があるくらい広かった。

 一段飛ばしで前を進む智樹と、ゆっくり慎重に一段ずつあがる守。

――ガタッ

「智樹、今何か音が――」

「えっ?」

「うわっ!?」

 二人の頭上から、棒に刺さった丸太のようなものが落ちてきた。

 ちょうど、ハンマーを横にしたような状態で、二人の頭めがけて落下する。

「ぐぇっ!!」

 短い悲鳴と、ガゴンと鈍い音がして――智樹が後方へと綺麗に吹っ飛ぶ。

「智樹いいいいぃぃぃぃいぃ!?」

 智樹を吹き飛ばした丸太は、そのままの勢いで、くるんと回って天井へと消える。

 ちなみに、直前で丸太に気が付いた守は、ちゃっかりしゃがんで回避していた。

「あああああああぁぁぁあぁぁ!!」

 丸太が直撃した額を押さえながら、階段の下で転げまわる智樹。

 守が階段を降りて、智樹の元へ駆け寄る。

「うぐぅ……ああー……あぁー……」

「だ、大丈夫……?」

 呻く智樹の隣でしゃがんで、人差し指で、つんつん、とつつく。

「………………」

「………………」

 無言で合掌する守。

「死んでねぇ!!」

 がばっ、と智樹が勢いよく起き上がる。

「へい、智樹。随分と綺麗に吹っ飛んでいたけど、大丈夫だったかい?」

 守は、吹き替えされた外人のような口調で尋ねる。

「デコと背中が痛い……」

 額を真っ赤にして、目に涙を溜めながら呻く智樹。

「ところで、今のはなんだろう? 前に住んでた人のイタズラ、かな?」

「ああ? 知らねぇよ、クソッ! もっかい上がってみればわかるだろうよ!」

 そう言って立ち上がり、ずんずんと階段をあがる智樹。守も、その後ろに続く。

「さっきの丸太みたいなの、天井に戻っていってたから、またくると思うよ?」

「わーってるよ。あんなの、しゃがめば避けられるだろう」

「だね」

 ある程度、階段をあがったところで、二人してしゃがむ。そして、しゃがんだままの状態で、慎重に階段をのぼる。

「そもそも、何が原因で、あの丸太みたいなのは落ちてきたんだ。赤外線か?」

「あるいは、階段に重量センサーでもあるのかも」

「ったく、自動ドアかよ。イタズラにしちゃ、手が凝ってるじゃねぇか」

 一段一段、階段をのぼっていき、智樹は先ほど吹き飛ばされた段までたどり着く。が、丸太はおりてこない。

 智樹がおそるおそる手を、頭の上にあげると

 ――ガタッ

 丸太が、二人の頭上を通過した。

 これで罠は回避したように見えたが。

 しかし。

「へんっ、見たか、守。やっぱり、赤外線だったみたい――だぼっ!?」

そう言って、さらに一段のぼった智樹が、突然、後方へと綺麗に吹っ飛んだ。

「智樹いいぃぃぃいいぃいぃいぃいい!?」

 守は叫んで、先ほどまで智樹の頭があった場所を確認する。

 そこにはいつの間にか、天井があった。

いや、正確には天井ではなく、それ以上階段をあがれないように塞いでいる板だ。

「これは……階段の上の段?」

 守が、板の正体を呟く。どうやら、階段の上から二番目の段が飛び出して智樹を吹き飛ばし、そのまま二階へ続く道を塞いでしまったようだ。

 そして、吹き飛ばされた智樹はというと、

「のおおおぉぉぉぉおおぉぉおおぉ……」

 階段の下で、額を押さえて転げまわっていた。

 守は、智樹の元まで駆け寄って

「………………」

 無言で合掌した。

「だから、死んでねぇよ!!」

 がばっ、と智樹が勢いよく起き上がる。

「………………」

 無言で合掌を続ける守。

「え、ちょ……守? 聞こえてない? 聞こえてないのか!? おい、待て、俺、まじで死んでる!? 魂抜けちゃってる!?」

「……ふう。殺人を疑われたらたまらん。このまま庭に埋めてしまおう」

「外道っ!?」

「ありがとう、智樹。智樹と過ごした二十数年、僕は忘れないよ」

 気取ったようにそう言ってから、守は黙とうする。

「茶番が長ぇよ!!」

 さすがに、堪忍できなくなったのか、智樹が叫ぶ。

「だって、智樹が調子にのるから……」

「俺のせいかよ! っていうか、なんだ、あの仕掛け!! もう、イタズラってレベルじゃねーぞ!?」

「僕に聞かれても……」

 困る、という顔をする守。

「お前の家だろうがよ! ……ったく、ここまで二階へ行くのを拒絶されると、意地でも行きたくなっちまうじゃねぇか」

「よし、頑張れ! 智樹!」

「頑張れじゃねーよ、お前も来るんだよ!」

「えー」

 智樹は、一階で待っている気まんまんだった守をひきずり、階段に足をかける。

「あ、飛び出してた階段、元の位置に戻ってるね」

「だな。しかし、そうなるとどうやって二階に行ったもんか……」

 智樹は、丸太が落ちてくる段まであがり、赤外線センサーに手をあて丸太を出させる。そしてその次の段、つまりは階段が飛び出してきた段に手を伸ばした。軽く手を振ってみるが反応はない。

「反応がないってことは、飛び出す階段は重量センサーっつーことだな」

「だったら、その段だけ踏まずにあがればいいんじゃない?」

「いや、その先の段すべてに重量センサーがあったら、階段は飛び出してくるかもしれん。というか、飛び出すだろう。だとすれば、踏まないように進むしかないが――」

 智樹は左右の壁を確認して

「壁の間で手足を突っ張ってのぼるには、ちと壁が離れすぎてる。それに、登ってる最中には丸太も落ちてくる。飛び越えるのも無理だな。さて、どうするか……」

 と、思案顔で呟いた。

「こう、智樹が土台になって、体操競技みたいに僕を下から放り投げれば……」

「やってみるか?」

「お断りします」

 自分で提案したくせに即答。

「うーん。どうすっかなー」

「もう二階の探索は諦めればいいんじゃない?」

「ここまで来て諦められるかよ。罠までしかけられてるんだぞ? 二階に何があるか気になるじゃねぇか」

「まあ、確かにね」

「だろ?」

 そう言って、しばし考え込む智樹。

 そして、何か思いついたのか

「守、ちょっと下がってろ」

 と言った。

「うん」

 守は智樹の言葉に素直に従って、階段からおりる。

「おし、じゃあやってみるぜ」

 智樹は、そう言って、手をあげる。

 ――ガタッ

 落ちてくる丸太。丸太が頭上を通過するのを確認して、智樹はサッと立ち上がる。

 そして、一段上の階段に足をかけて――

「ふっ!」

 その場で跳躍した。

 飛び出す階段。それは、跳躍した智樹の足の甲に当たる。

「いでっ!」

 衝撃で顔から倒れる智樹。しかし、そこは守のいる廊下の床ではない。

 飛び出した階段は下から見ると、まるで天井のように見えるが、しかし、上から見ると足場になる。つまり、智樹は飛び出す階段を利用して、その上に乗ったのだった。

「おっと……!」

 倒れた智樹は素早く立ち上がり、飛び出した階段の端っこ、守のいる廊下側へと走る。

 直後、智樹の背後を、再配置されていた丸太が通過した。

 なんとか、ギリギリで丸太をかわした智樹。

 どうやら、飛び出した階段の端っこまでは、丸太も届かないようだ。

「……わお」

 それを下から見ていた守が、感嘆の声をあげる。

「どうよ、守。無事、上まで来れたぜ」

「凄いね、智樹! じゃあ、あとはよろしく! 僕は下で待ってるね!」

 階段の上から顔を覗かせた智樹にたいして、下から手を振りながら言う守。

「あ? よろしく、じゃねーよ。お前も来いよ」

「えー、やだよ……。だって、そのあがり方、足をぶつけて痛そうだし」

「うっ……!」

 守に見えているわけでもないのに、赤くなった足の甲を隠す智樹。

「べ、別に痛くねぇよ?」

「いやぁ、結構な勢いでぶつけてたと思うよ?」

「……ちっ、しゃぁーねぇな。だったら、俺がこっから引き上げてやるよ」

 そう言って、上から手を伸ばす智樹。

「……まあ、それなら」

 あまり、上にはあがりたくないのか、守はしぶしぶ、智樹の手を握る。

「ん……しょっと……」

 壁に足をかけながら、智樹の手を引っ張って、なんとか上へあがる守。

「ぐぐ……どりゃあ!」

 守の上半身が上にあがったところで、智樹は一気に引き上げる。

 大きなカブでも引っこ抜いたかのように、後ろに大きく尻餅をつく智樹。

「大丈夫か、守?」

「うん、だいじょ――あっ……」

 顔をあげた守が、何かに気が付く。

「どうし――たぐぇっ!!」

 丸太が、智樹の後頭部に直撃した。どうやら守を引っ張って尻餅をついた際に、丸太が当たる範囲に入ってしまっていたようだ。

「おっと」

 自分の元へと吹っ飛んできた智樹を、ひょい、と躱し

「ふぅ……あっ、智樹いいいぃぃぃいぃ!!」

 そして、まるで思い出したかのように守は叫んだ。が、叫んでいる間に、智樹の体が階段の上からズリ落ちそうになっていたので、慌てて足を押さえる。

 結果、智樹は干した布団のように、上半身だけを階段から投げ出す体勢になった。

「大丈夫か、智樹?」

 先ほど、智樹にされた質問をそのまま返す守。

「油断した……くっそたれがぁ……」

 干された布団の状態で悔しそうに呻く智樹。

「おい、守。俺の体を引っ張ってくれ」

「え? やだよ。だって引っ張ったら、僕が丸太に殴られちゃうじゃん」

「お前な……そうならないように引っ張ればいいだろうが。大体、誰のために俺がこんなことになってると思ってるんだ」

「自業自得だねっ!」

「お前、一発殴らせろ――ぬぬ、っぷは!」

 背筋を使って、何とか自力で復帰する智樹。起き上がって智樹は、ギロリ、と守を睨む。

 睨まれた守は

「よ、よーし。早速、二階の探索に行こう!」

 と、視線を逸らす。

そして、ちらっ、と智樹の様子を確認する。

 智樹は呆れた様子で

「……はあ、もういいよ。お前のそういう性格は、もう慣れた」

 と言った。

 そして、二人は先へ進む。

 落ちてくる丸太は、一度フェイントを入れて、再装填中に突破する。

 踊り場へとたどり着くと、飛び出して足場になっていた段が、元の位置へと戻っていく。

「よし、これで一段落だな。……つっても、二階へあがる残りの階段で、何も起きないとは思えないが」

「そうだね」

 智樹がいる位置から、少し離れて守が相槌を入れる。

「……おい、守。なんでお前は、踊り場の端っこにいるんだ?」

「いやだって、智樹の近くにいたら巻き込まれそうだし」

「俺が罠にかかることは前提なのか……というか先陣を切る気がまったくないのな、お前」

「僕は、探索をここでやめて、引き返したっていいし。意味もなく危ない目にあってまで、調べようとは思わないかな」

「意味もなくって……。ここは、お前の家だろうに。――あーもう。だったら、俺が先陣を切ればいいんだろう?」

 諦めたように、そう言う智樹。なんやかんやで、彼はすぐに折れてしまう男なのだ。

 だからこそ、頑固な守と長い間付き合ってこれたのだが――傍から見れば、ただ智樹が、貧乏くじを引かされているだけにも見える。が、智樹本人が気にしていないので、この二人の関係は、これでいいのだろう。

 まあ――

「……でも、ボウガンの矢とか飛んできても知らないよ?」

「………………」

 守の、こんな感じの余計な一言に関しては、智樹も多少はイラつくのだった。

「……おいおい、怖いこと言うなよな。仮に、命の危険があるようなら、さすがに探索をやめて、すぐに引き返せばいい」

「じゃあ、それで」

 守は、智樹の言葉に同意した。

 これからの方向性を決めて、ようやく二階へと上がる階段へ顔を向ける。

 じっと見て、何か罠がないか確認をするが――見ただけでは、罠の有無はわからない。

 結局、進んでみるしかないのだ。智樹は腹を決めて、足を踏み出す。一方、守は見守ることを決めて、智樹から一歩身を引く。

「うっ……」

 いつ罠が発動してもかわせるようにと身構えながら――実際はへっぴり腰になって体をプルプル震わせているだけだったが――智樹は慎重に階段をあがった。

 一段一段、ゆっくりとあがって、そして――

「……あれ?」

 とくに何事もなく、二階へとたどり着いた。

 安全を確認した守が悠々と、智樹の後をたどって、二階へとあがる。

「いやあ、何にもなくてよかったね!」

 智樹の肩を叩きながら声をかける守。

「……まあ、そうなんだが。拍子抜けだな」

 釈然としない様子の智樹。

「危険な目にあうよりはましだよ」

「……だけど、ここからも安全とは言い切れないみたいだけどな」

 智樹は、頭を軽く前後に振って、顎で前方を指す。

「うわっ、なにこれ……」

 そこは、とても室内とは思えないような造りになっていた。

 入り組んだ廊下。歪んだ壁。凸凹な床。

 一階とは違って換気も行き届いていないのか、埃っぽくて少しカビ臭い。

 それらが全て入り混じって、独特の空気を醸し出していた。

「じっと見てると、なんだか頭がクラクラしてきたよ」

 右手を額に当てて、頭を押さえる守。

「相当、歪んでるな。それに、まるで迷路みたいに入り組んでるみたいだぜ」

「なんのために、こんな造りになってるんだろうね?」

「さあな。まあ、調べればわかるだろうよ」

 覚悟は決まっているのか、迷まず廊下に足を進める智樹。

「だね。罠には気を付けてね」

 智樹の後に続く守。

 二人は、凹凸のある床に足をとられ、歪んだ壁にクラクラしながら、慎重に廊下を進んだ。そして、とりあえず、目に入った戸の前で立ち止まった。

「戸だな」

「戸棚じゃないよ、戸だよ」

「そういうのいいから」

 二人は、顔を見合わせて頷き、智樹が戸に手をかける。

 ガラッ、と勢いよく戸を開けて、上半身だけ中へと入って、様子を見る。

 ――ボッ

 何やら、奇妙な音がした。

「……ん?」

 怪訝な顔をした智樹が、中を見渡す。

 一見、何の変哲もない部屋だ。音の原因になりそうなものはない。とりあえず、安全を確認。智樹が中へと入って、後に続いた守が戸を後ろ手に閉める。

――ボボボボボボ

 しかし、奇妙な音は、今もまだ聞こえる。

 智樹が首をかしげていると

「――あ、ああああ、と、ととととと智樹ぃっ!?」

 わなわなと震わせた守の声が聞こえた。

 守は、驚愕した顔で、智樹の背中の辺りを指さしている。

「あ? どうした、まも――」

 ただならぬ、守の様子を怪訝に思った智樹は振り返った。振り返って、いつの間にか自身の肩の辺りから真っ赤な火が、ごう、と伸びているのを見た。

 そして。

「って、ぎゃああああああああっ!?」

 パニックになった智樹は大きな悲鳴をあげ、もろ手をあげてその場から駆け出した。

 まるで背中に火を背負っているような状態で、ばたばたと体を揺らして走る智樹。

 守はそんな智樹を追いかけようとして、後ろを一度、確認する。そこに、智樹の背中が発火した原因を見つける。戸の上部、部屋の外からは見えない位置にガスバーナーのようなものが設置されていた。おそらく、あれが、智樹のシャツに火を点けたのだ。

「も、燃ええぇ、うぇえぇ、えええぇ、ぇええ!?」

 奇妙な叫びをあげながら、障子を蹴り飛ばして部屋から飛び出す智樹。

「智樹!?」

 守は、必死に追う。智樹は、入り組んだ廊下を狂乱したまま走る。

 必死にシャツを脱ごうとしている智樹だったが、いつの間にかズボンにも火は引火していた。慌てて立ち止まり、なんとか服を全て脱ごうとする。

 ここで守が、追いつく。

 両サイドにある窓から、外の景色が見えることから、どうやらここは庭の上にある渡り廊下らしい。

 ――カチッ

 智樹に駆け寄る際に、何か妙な音がしたが、守は気にしている場合ではないと判断して、服を脱がせるために彼へと手を伸ばす。

 手を伸ばしたところで

「え?」

 智樹と守、そろってバランスを崩し、二人の体が突如、ガクンと横に傾いた。

 ――いや、二人がバランスを崩したわけではなかった。むしろ、いまでも両足はしっかりと、床についている。では何故、体が傾いているのか。

床そのものが傾いていた。廊下の床の片一方だけが、大きく下に落ちていた。

 結果、二人の体は重力に従って傾いた床を転がり、そして――

「「うわああああああああああっ!?」」

 ポンッ、と空中に投げ出された。

 二階の渡り廊下から中庭の上空へと、飛び出した。

 間抜けな恰好で、二人の男が飛び出した。

 そのうちの一人――智樹は、いつの間にか服が脱げていて、全裸になっていた。

 全裸で、色々なところをモロに出した状態で、宙を舞う。

 ちょうど、股間のあたりで太陽が光る。うおっ、まぶし。

 ――バッシャアアアアン

 大きな水しぶきがあがり、二人は中庭にある大きな池の中に落ちた。

 もし、二階の高さから地面に叩きつけられていたら、怪我では済まなかったかもしれない。落ちた先に池があったのは、僥倖だったと言える。

 まあ、季節が季節でなければ、もっとよかったのだが。

 残念ながら、現在は冬真っ只中。

 ――つまり、池の水は氷のように冷たいのだ。

「「ふおおおおぉぉおぉぉおおぉぉ!!」」

 奇声をあげて、男二人が池から勢いよく飛び出した。一方は、水を吸って重くなった服を引きずって。そしてもう一方は、一糸まとわぬ、生まれたままの姿で。

「ざ、ざぶいぃぃい……」

 げっそりとした顔で、呻く守。

「うひぃ、うひひぃ……いふふ……」

 全裸の智樹は、真っ青な顔にうつろな目で、狂ったように笑って仁王立ちしていた。

 びゅううと、中庭に大きな風が吹く。

「あへぇえええぇえぇ!!」

 全裸の智樹が、両手で体を抱きしめて、内股になりながら、体を縮み上がらせた。ついでに、とある体の一部分も、縮み上がらせた。

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