【スパロボ学園ものシナリオ】夢見る世界は鉛筆の下に

【シナリオ】夢見る世界は鉛筆の下に


メタリックガーディアンRPG


使用ルールブック


基本ルールブック、上級ルールブック、EXルールブック(サードワールドウォー)、ラディアント・ブレイブ。


【スパロボ学園ものシナリオ】


【セッション概要】


本シナリオは学園ものを基本としたシナリオである。故に登場PCには学園に欠かせない生徒や教師役が必ず1人以上必要となる。また舞台は鳳市高校を設定しており、此処を主軸として物語が進んでいく為、学生及び教師PCは鳳市高校と深い関わりを持つフォーチュンと何らかの関係性を持っている事が推奨される。基本的には学園の平穏を守り、敵を倒して人々を守るという王道物語である。


【対象人数】PC4人


【推奨レベル】3


【場所】鳳市


【NPC】5人


【モブ】複数


【エキストラ】複数


【経験点】基礎点60+α


基礎点


『60点』

シナリオ・ミッションを達成した。


『1点』

セッションに最後まで参加した/グランドミッションを達成した(人々の平和を守る)/個人ミッションを達成した。


評価点


『1点』

良いロールプレイをした/他のプレイヤーを助けるロールプレイをした/セッションの進行を助けた/手配、提供、連絡、調整を行なった。


【アフタープレイ時のPC成長】


本シナリオの次回キャンペーン推奨レベル8~9。


【セッション・トレーラー】


その日も鳳市高校には平和な時間が流れていた。小テストの結果に一喜一憂する生徒達が談笑し、教師達は生徒指導に疲れながらも、モンスターペアレントの対応に追われる。奈落も戦争も彼らにとっては遠いと言う程ではないにしても、未だ非日常の風景に過ぎない。しかし、とある日を境に彼らは異常な日常へと取り込まれていく。現れる怪物、崩れていく常識、全てが曖昧になる境界の上で異常を認識出来るのは彼らリンケージ達だけだった。


メタリックガーディアンRPG


『夢見る世界は鉛筆の下に』


鋼の腕で欺く闇を払えッ、守護者ガーディアン!!!!




クラスのレギュレーション


必須


ラインオフィサー又はエンタープライズのクラス1名。

コンダクターのクラス1名。

アタッカーのクラス1名。




【ハンドアウト】


『PC1』教師/サラリーマン


 君はひょんな事から鳳市高校に教師として潜入させられた大企業のサラリーマンだ。その鍛え上げられた社蓄根性はブラック企業すら慄き、裸足で逃げ出すだろう。社蓄エリートである君は目を掛けてもらっている会長から孫娘の護衛を任されたのだ。その働きによっては昇進も夢ではない。明るくニコニコ奴隷のように上層部で働ける薔薇色の未来か。もしくはジメジメした社員食堂の雑務を預かる窓際職か。全ては君の選択次第である。ただ、君はどうやらリンケージの資質があったらしく、奇妙な兵器にも乗らねばならないらしい。護衛とマーケティングと商品テストと社員のスキルアップ。全部一括でやらせる上層部の素晴らしい采配に君は喜んで新たなスキル、リンケージ技能を学ぶ事とした。君の座右の銘は『生涯残業』なのだ。


『PC2』悪人


 君は悪名高いとある秘密組織の一員だ。君にとって悪事を働く事など箸の上げ下げをするよりも容易だ。無論、それなりの矜持を持つ君は相応の対価や利益が無ければ、動く事は無いプロフェッショナルなわけだが、鳳市高校でテロの下準備を完了させた君が寝床に戻ろうとすると其処は既に更地だった。組織と連絡が付かないし、何処に行っても、君の知っている人は影跡形も無い。その上、何やら日常に奇妙なものが混じり始めて君は気付く。どうやら、自分は事件に巻き込まれてしまったようだと。元の日々へ帰る為には手掛かりが必要だ。ならば、君に出来る事は息をするように悪事を働くのと同様に事件を解決する事だけである。とりあえず、潜入先の高校での身分、教科書納入業者の顔を使って、君は事件の中心へと赴く事にした。無論、愛機を夜の闇に忍ばせながら……。


『PC3』生徒/フォーチュン


 君は鳳市高校に転校してきたばかりの新参者だ。とある事情により、幼い頃の記憶を失っている。だが、義理の両親のおかげで今では普通の人々と同じように過ごす事が出来ている幸せ者でもある。優しい日常が突如として崩壊したのは数ヶ月前、テロで学校が校舎毎破壊され、半死半生となった時からだ。君は偶然にも愛機となるべき機体と出会った。自らのような者を出さない為、多くの人々を悪事から救う為、フォーチュンのオファーを受けた君はリンケージとして日夜、奈落やラーフのテロリストと戦っている。しかし、どうにも今回は勝手が違うようだ。日常がゆっくりと何かに侵食されていく。何が間違いで何が正しいのか。全てを知るのは君と事件の現場で出会った仲間達のみ。事件の黒幕に懺悔させる事だけは決まった。さぁ、君の任務を始めよう。


『PC4』探偵/工作員*60歳以上


 君はベテランリンケージだ。ベテランのクラスかどうかは定かではないが、長い長い戦いを経てきた歴戦の勇士である事は疑いようも無い。しかし、戦い続けた代償か。もはや往年の力は既に無く。後は余生を過ごす普通の老人として生きていくつもりであった。だが、国家と運命はそれを許容せず。君はとある「高貴な女性」から新たな力と機体を与えられ、最後の余生を異国の地での諜報活動に充てる事となった。鳳市市街地の路地裏にある探偵事務所。其処が今日から君の終の住処だ。だが、住み始めてからしばらくして君は気付いてしまう。少しずつ日常が奇妙な変化を見せ、常識が少しずつ崩れ始めている事に。その原因を探る君は鳳市高校に辿り着き、何かあるに違いないと捜査を開始した。君は身分を偽り、学園への潜入に成功する。異国の学生達に人生とは何かを戦場での経験を元に切々と説きながら、君は今日も講義をしている。話が脱線すると途端にハードボイルドな物語が展開されると君の授業は生徒達からも大人達からも大評判だ。




【オープニング・フェイズ】


『マスターシーン』


登場者/???

場所/鳳市高校屋上


 本日もう締め切られた鳳市高校の屋上に人影がポツリと金網越しに街の風景を眺めていた。

 その手には一本のペンが握られている。


???「さて、そろそろ始めましょうか……ふふ……」


 声の主の声に答えるようにその一本の何処にでもありそうなペンから暗いオーラが漏れ出していく。

 それはゆっくりと風に流れて、都市へと行き渡り、少しだけ世界の色を変えていった。


???「まずは小手調べ……さて、どうなることやら……行きなさい……アナタを求める者の下へ」


 ペンがフワリと人影の手から舞い上がり、何処へともなく黄昏の中に滲んで消えていく。

 後にはもう影一つ無く。

 そうして鳳市高校のいつもの放課後は何事も無く過ぎ去っていった。




*オープニングフェイズのクリティカルorファンブル時。


 クリティカル時は何故か生徒からフライドチキン×10を進呈されるか。もしくはミドルフェイズ情報収集時の情報開示に色を付ける。ファンブル時は一律に不幸が起きてHP-2。


『オープニング・フェイズPC1の場合』


登場者PC1/NPC1人

場所/鳳市高校職員玄関前

シナリオ・ミッション/お嬢様を守る


風景描写


 今日も何ら変哲の無い鳳市高校は朝日と小鳥の鳴き声の中に普通の姿を晒していた。朝練をする野球部にバレーボール部、剣道部に陸上部。スポーツも盛んな生徒達の掛け声は聞く者によっては清々しさを感じる事だろう。しかし、君はまず自分の頭を疑うことにした。何故なら、妙な違和感を多数感じたからだ……何かが間違っている気がする。


台詞


富永サブロウタ

MTG166P

「おはようございます。○○教諭。今日も良い天気ですね」

「今日の職員会議なんですが、どうやら部活に付いて何か話し合うようですよ」

「さ、今日も一日張り切って行きましょう」


判定 違和感の正体を探せ


【知覚9】

成功/サブロウタの顔面の肌に僅かに鱗ばった部分を見つける。

失敗/きっと、気のせいだろう。


【理知10】

成功/教職員用の下足箱の大きさが数サイズ大きくなっている。

失敗/きっと、気のせいだろう。


【幸運9】

成功/教職員用下足箱のネームプレートにトーミ・ナーガ・サブロウタと横文字で書かれている。

失敗/きっと、気のせいだろう。


結末


 奇妙な違和感に苛まれながら、職員室に辿り着けば、終了。それまでに学校全体を見て回ると先日までよりも微妙に学校がスケールアップしている事に気付けて良い。




『オープニング・フェイズPC2の場合』


登場者PC2/NPC2人

場所/鳳市郊外隠れ家

シナリオ・ミッション/真実を探り出し、現実を取り戻す


風景描写


 今日も学校の理事長に合うという体で鳳市高校に潜入した君は何か違和感が無いか、学校周辺を探索していた。何故なら、もはや君には帰る場所も銀行口座も今まで身を置いてきた組織も隣人知人すら無いからだ。教科書納入業者に化けて、君は唯一自分に残った肩書きをヒントに鳳市高校を忍び歩く。何か違和感が無いか。何か手がかりは無いか。君は悪事を働く暇も無く。変わりつつある世界の謎を追っている。どうやら、今日は朝から付いているようだ。朝練をしている生徒達へ君はニコヤカに近付いて行った。


台詞

遠峰サナエ

MTG164P

「あ、おはようございます」

「今日も朝から良いお天気ですね」

「今、バスケの走り込みしてるんですよ」


判定 違和感のある生徒達から新たな手掛かりを聞き出せ


【知覚8】

成功/生徒達の髪の毛の合間に奇妙な角のようなものが微かに発見出来る。

失敗/何が違和感なのか分からない。


【理知11】

成功/生徒達の瞳の虹彩が縦に割れていた。

失敗/何が違和感なのか分からない。


【幸運9】

成功/奇妙な程に大きい角と尖った耳の女生徒を偶然に発見する。

失敗/何が違和感なのか分からない。


幸運成功時、エオーラ・オーウェンと遭遇して、以下の愚痴を盗み聞きする機会が得られる。


台詞

恐竜姫エオーラ・オーウェン

RB95P

「何も隠さなくてよくなるのは良いのう」

「それにしても助っ人とは朝の練習にも出なければならないのか。ふぅ」

「誰か肉を持ってきてくれんものか……近頃どこにあいつは行っとるんじゃ……」


 話を聞き出そうと近付いてゆくと生徒達の中に紛れて、何処かへと消えてしまう。もし、加護及び何かしらの技能で追跡、話を聞こうとした場合、以下の状況が発生する。


加護が発動しない。

魔法が発動しない。

急に意識が朦朧とする。


結末


 奇妙な現実を何とかしようと学校内部に潜入したら終了。



登場者PC3/PC4/NPC1人

場所/鳳市高校校門前

シナリオ・ミッション/事件を解決する


風景描写


 今日も鳳市高校の校門前は持ち物検査にそれなりに賑わっていた。没収される漫画、ゲーム、化粧品の類はテーブルに並べられ、風紀委員に番号を付けられている。その中には奇妙なものが日々、増え続けていた。彼らの持ち込む日常には在り得ないブツを前にまともな者達だけが引き気味に顔を引き攣らせている。それは確実に君だろう。


台詞

常盤ミナト

「はい。はい。皆さん。順番に引っ掛かった荷物は置いていってくださいね」

「あ、○○先生。○○さん。おはようございます。そんなに顔を強張らせてどうしたんですか?」

「あ、こんなもの持ってきてダメじゃない!!」


判定 奇妙な持ち物から事件の手掛かりを探せ


両PC同時に判定する。


【知覚8】

成功/それはカリッと揚げられた大量の蝿スナックだった。

失敗/きっと、気のせいだろう。


【理知10】

成功/巧妙に隠し持たれていた大量のフライドチキンを発見し、没収する。

失敗/妙に良い匂いがする。


【意思10】

成功/喧騒の中から集中して噂を最後まで聞いた。

失敗/あまりの煩さに何も聞き取れなかった。


 判定において知覚を成功した場合、次のミドルフェイズ時、あまりに気味の悪いものを見てしまったせいでFPが-5からスタートする。理知に成功した場合、アイテム【フライドチキン×10】を一人ずつ取得する。意思判定に成功した場合、情報1を取得する。


知覚成功 ミドルフェイズ戦闘FP-5。

理知成功 フライドチキン×10(1人ずつ)入手。

意思成功 情報1を入手。


情報1『願いを叶えてくれる魔法のペンが鳳市高校の何処かにあるらしい』


結末


 日常が少しずつ侵食されている事を感じ取りながら、朝のチャイムを聞いて終了。




『ミドルフェイズ』合流


登場者PC1/PC2/PC3/PC4/モブ多数

場所/鳳市高校


風景描写


 今日も何ら変哲の無い日常が続いているはずの鳳市高校全校集会。しかし、話がゆっくりと奇妙な雲行きとなっていた。それを聞いて真面目に驚くのはまともな日常を知っている者だけだろう。壇上では目のギョロついた校長が叫び声を上げている。


台詞

校長(モブ)

「え~本日も素晴らしき恐竜帝国の為に若者の皆さんが勉学に励む事は―――」

「ダイナソア帝王陛下の世は長らく続いてきた平和から言っても最も優れた―――」

「皆さんも野蛮なハダカザルを懲らしめる為に日々の研鑽を怠らないよう―――」


判定 自分と同じく驚いている人間を異様な全校集会の中から探し出す事が出来るか。


【知覚8】

成功/すぐにその相手と合流する事が出来た。

失敗/相手を見付けるのに時間が掛かった。


成功時、困惑している様子の生徒を発見する事が出来る(成功人数に付き1人、3人まで)。


MTG165P

1ゲオルグ・シューマッハ

MTG165P

2峯風アヤ

EX137P

3初瀬サオリ


情報収集フェイズ中、成功した人数分の情報を聞き出す事が出来る。


結末


 集会が終わった後、密かに集まって同じ違和感を持っている仲間と認めたリンケージ全員で事件の解決に乗り出す事を決めて終了。




クリティカル時対応orファンブル時対応


*ミドルフェイズ情報収集においてのクリティカルとファンブルはフェイズ終了時に同数打消しで精算し、ファンブルが多ければ、ミドルフェイズバトル時に一律敵機がファンブル数×5機追加。クリティカルが多ければ、GMが適当だと思う情報を追加で開示する。追加開示方法はミドルフェイズバトル前にPC達の近くで噂話をする生徒がいた、にするとよい。無論、独自の演出でも構わない。


ミドルフェイズ『情報収集』


登場者PC1/PC2/PC3/PC4


風景描写


 何かがおかしい日常の中。しかし、君達以外に誰も気付かず時間は過ぎ去っていく。違和感はもはやハッキリとした異変として君達の五感を刺激し始めた。爬虫類の鱗を持つ生徒達。角や尻尾の生えた人間が闊歩する学内には恐竜帝国万歳の文字が堂々とポスターによって広められている。野蛮なハダカザルを見たら要注意と人間は危険生物扱いだ。だが、その異変に気付く者も探せばいるかもしれない。郷愁を掻き立てる夕暮れ時の探索が始まる。


調査方法


オープニングフェイズにおいて全校集会で困惑した生徒を発見している場合、成功した人数分、調査内内容1を調べる事が出来る。他の調査も基本的に全て全員で2D6を振る。


調査内容


1全校集会で困惑していた生徒を探せ

【理知10】

成功時/困惑していた生徒を知っている又は名簿から割り出せる。

失敗時/探していたが中々見つからない。


成功人数分だけ困惑していた生徒が見つかる(最大三人)。人数は成功した順に開放される。1人ならゲオルグのみ、2人ならゲオルグとアヤという具合である。その現在位置へPCが赴いて話す事により、以下の情報を得られる。全校集会で見つけられなかった場合はそのまま情報収集2足で噂を集めて検証せよへと移行する。


*部室

1ゲオルグ・シューマッハ

この異変は一週間前から始まっている。


*図書館

2峯風アヤ

異変が起こった前後から妙な噂が複数流れ始めていて、気になっている。


*屋上

3初瀬サオリ

一週間前に生徒が一人事故に遭っていたのを目撃したが、誰もその子の事を知らない。


合流後、噂の検証をPC達が行う事になる。


2足で噂を集めて検証せよ

【体力9】

成功時/成功人数分の噂を集める事に成功する。

失敗時/校門前に何故かフライドチキンの屋台があって、ついつい時間を潰してしまう。この時、屋台のオヤジが商品を売り込んで来る。財産点を1消費する事でアイテム【フライドチキン×5】を取得出来る。


台詞

NPCモブ

フライドチキン屋台のオヤジ

「へい!! お坊ちゃん、お嬢ちゃん、いらっしゃい!! ウチは揚げ立てカリカリ、中はジュースィーなフライドチキン専門店だ!! 冷めても翌日の夜までなら美味しさ持続って代物さ!! 今なら安くしとくよ!! さぁ、買った買った!!」


噂は三つまでの情報が有り、GMは成功人数分まで以下の噂のどれかをPCに開示する。もしPCが幸運に成功すれば、成功人数分詳しい情報を開示する。


3

【幸運9】噂をより詳しく集められたか? (体力成功者のみ)

成功時/『』内だけではなく【】内の情報も開示される。

失敗時/『』内の情報しか得られない。


噂1

『この高校の何処かに願いを叶えるペンがある』

【そのペンは一度願いを叶えると何かを代償にする】


噂2

『一週間前に事故にあった生徒が今も家に帰っていない』

【事故にあった生徒はよく図書館にいた】


噂3

『フライドチキンを求め彷徨う大いなる竜が学校には潜伏している』

【その竜にお供え物をすると助っ人になってくれる】


 噂を集め終わった探索者達はそこで急激な眩暈に襲われる。そして、施設から外を見ると今まで自分達のいた学校の中で完全に恐竜人類になってしまった自分達と生徒達を発見する。また、自分が昔から恐竜人類なのではないかと思い始める。


4自分は最初から恐竜人類だったか?

【理知10/知覚10/幸運10】*複合で全て2D6を振る。

完全成功時/自分は人間だ!!とハッキリ自覚する。ミドルフェイズバトル時、ペナルティー無し。

複数成功時/自分は人間だったのか?と少し疑問に思う。ミドルフェイズバトル時、人数×5機の敵機追加。

完全失敗時/自分は恐竜人類だ!!と思ってしまう。ミドルフェイズバトル時、加護使用不可。


結末


 恐竜人類だらけとなった鳳市。しかし、何故か今日も恐竜帝国のマシンザウルスが攻めてくる。オレ達は味方だと敵に叫ぶ人々を守る為、主人公達は出撃する。




『ミドルフェイズ・バトル』簡易戦闘


描写


 突如として海から襲来したマシンザウルスの一団が鳳市の海岸線沿いから上陸し、逃げ惑う人々を尻目に鳳市高校へと向かってくる。しかし、あろう事か。警察も軍も、まさかのフォーチュンですらも街を破壊しながらやってくる敵を迎撃に出てくる事は無かった。


戦闘方法


 通常のミドルフェイズのバトルを行わずRPと加護、及び宣言で戦ってもらう簡易戦闘とする。敵機の数はPC×5機とする。また、ミドルフェイズ情報収集のファンブル数×5機追加と4自分は最初から恐竜人類だったか?の複数成功時における追加を合わせた数を敵機数として登場させる。


 戦闘開始と同時PC達の攻撃宣言が行うと敵機が×3機撃墜される。攻撃宣言時に加護一つを使う事で加護×5機を撃墜出来る。全員が宣言した時点で相手ターンが回ってきた場合、敵機の数×1のFPを全員が失う。そして、敵機が全滅するまでこの両者ターンの繰り返しになる。このFP喪失はクライマックスフェイズのバトル時スタートまで引き継ぐ。極めて稀だろうが、ブレイクしたPCがいた場合はPCはクライマックスフェイズのバトル時、ブレイク状態でスタートする。


演出


 加護発動時は加護名、攻撃宣言時はPCの決め台詞及び攻撃方法や武器名を叫んでもらう。初心者ならばRPの練習にもなるだろう。GMはPCのキャラを見て、適度な描写を加えてもよい。


戦闘終了描写


 突如として鳳市を襲ってきたマシンザウルスの大群は君達の活躍によって撃退された。しかし、その撃退直後、君達は聞く事になるだろう。人々の「この裏切り者!!」「このスパイめ!!」という罵詈雑言の嵐を……。早くこの異常事態を収拾しなければ、君達が街頭で吊るされるのも時間の問題だろう。君達は何とかガーディアンを隠して、静かに夜闇の中で明日を待つのだった。




『クライマックス・フェイズ』


登場者PC1/PC2/PC3/PC4/NPC1人

場所/鳳市高校


風景描写


 全の常識が曖昧に崩れていく。自分達の中から零れていく常識を繋ぎ止めた彼らは余の明けた都市の光景に絶句する。其処には無数のダイナソア万歳の文字が躍り、街行く人々は全て恐竜人類だった。もはや一刻の猶予も無い。原因を突き止めなければ、街も人も同じ運命を辿る事だろう。だが、完全に恐竜人類に染まり切らない場所もまた存在している。変質しつつも、未だ鳳市高校に通う生徒達の中には人間と見える者も混じっていた。あそこには何かがある。リンケージ達の存在を掛けた探索が始まる。


対決ロール


既に警察、軍、フォーチュンにすら指名手配を受けているPC達は鳳市高校に潜入し、事件を一刻を早く解決しなければならない。忍び込み、手掛かりを掴む為に生徒や職員達と対決ロールを行う。この際のロールは2D6とする。また、保健室以外の探索場所に行けるのは一度切り、最大で2人までとする。*保健室は最初の判定時のみ二人までしか入れないが、その後は四人での出入り可で、理知判定は最初の一度だけ。図書館も四人での出入りが可能。敗北すると巨大な黒い蜥蜴の化け物に追われる事となる。蜥蜴はHP-2で生身の戦闘で倒した事として良い。ファンブルの場合は蜥蜴の出現数が二倍になる。クリティカル時は探索していると偶然にフライドチキン×10を手に入れる。


初期探索場所


『体育館/反射5』

生徒達の隙を付いて体育館を調べられるか?

勝利/体育館内部で生徒達の名簿を発見し、其処に一つだけ薄っすらと現実から剥離するように消え掛けた名前を見つける。名前の主は【相場あいばユウスケ】という。

敗北/黒い蜥蜴×2体出現。


『職員室/幸運6』

教職員さえいなければ、内部で何かの手掛かりを得られるかもしれない。

勝利/『図書室に入るな』と延々綴られたプリントが山のように積まれている。

敗北/黒いトカゲ×2体出現。


『保健室/理知4』

手掛かりを探していると保健室でグーグー寝ている大きい角の少女が寝ており、他には手掛かりらしいものも見付からない。彼女に話を聞く方法を探せ。

勝利/寝言でフライドチキンと念仏のように唱えている。

敗北/黒い蜥蜴×3体出現。


勝利時

部屋にいるPC達が合計で60本以上のフライドチキンを持っているならば、カッと目を見開いて涎を垂らしそうになった少女がソレをくれるなら、後で助けてやると偉そうに言い始める。与えるならば、戦闘時にボーナスが付く旨をPC達に伝える。100本以上で更に戦闘時ボーナスが加算。*フライドチキンを与えるのは図書館に行くまでまでならいつでもいい。


台詞

恐竜姫エオーラ・オーウェン

RB95P

「何じゃ!? おお!? 肉!! 肉!!? フライドチキンではないか!!? お前ら、まだ染まり切ってはおらんな? もし、ソレをくれるなら後で助けてやらん事もないぞ?」


勝利後。

「一杯持ってくるなら、後でも構わんぞ。というか、そうしろ」


60本以上「美味かった……もし、助けが必要になったら呼べ」


100本以上「ああ、美味い!! 美味い!! う~ま~い~ぞ~!!!! この恩義は忘れんぞ!! 良いハダカザル達よ!! 後で助けてやろう。この恐竜姫の名に掛けてなッ!!」


追加探索場所


職員室において対決ロールに成功していれば、図書館の探索が可能となる。図書館が追加探索場所に出てこなかった場合、そのままクライマックスバトルへと移行する。その場合は図書館から膨大なアビスのエネルギーが迸る旨の描写を入れ、その場へと向った時点で戦闘開始。



描写


図書室内部はもう全ての棚、壁が蠢く肉と化していた。その最奥にある机の先、アビスのオーラを纏った学生服姿の何者かがノートに何かを一心不乱に書いている。その度に何処か現実が歪んでいるのか。グニャグニャと周囲の景色が歪んで、大きな波のようなものが彼らを通り過ぎて街へと放たれている。学生服の少年が振り返るとその利き腕は触手が湧き出すペンによって侵食されていた。


台詞

相場ユウスケ


「やぁ、君達。どうしたんだい? こんなところで……せっかく、栄えあるダイナソア陛下の下僕になれるって言うのに邪魔するのかい?」


「このペンを手に入れてから、素晴らしい事ばかりなんだ!! 何でも夢が叶うんだよ!! 僕を苛めてた奴らも今じゃ僕の下僕さ!!」


「使えば使う程に力が漲ってくる!! そうさ!! 僕はこの世界の王にだって成れるんだ!!? はははははは」


「もはや誰も僕を止められない!! そうだこの―――アレ、僕の名前は、名前は、あ、ああ、あああぁぁあああああああぁああああああああああああ!!?!!?」


描写


様々なものを失った少年の絶叫に乗って、巨大なアビスの力が図書室を破壊し、吹き上がっていく。


『図書館/意思5』

圧倒的なアビスの力に抗え。

勝利/意思判定に勝利した人数によってクライマックスバトルでの敵数低下。また、ペンの持ち主の名前が分かっていた場合、アビスのオーラが弱まり、BOSS属性エネミーから加護を二つ削除してよい。

敗北/アビスの力が身体を蝕む。クライマックスバトル時、侵食1を受けた状態で戦闘開始。




『クライマックス・バトル』


描写


校舎から立ち上ったアビスのオーラが具現化されていく。街の様相が一変し、まるで軍事基地の如く変わっていく。鳳市を飲み込み始めた現実の改変は既に破綻を来たし始めているのか。昼間なのに空は暗い紫色に染まり、緑色の月が浮かんでいた。ガラガラと音を立てて校庭の空間が破壊され、その暗い何処かから巨大なものが迫り出してくる。それは恐竜。いや、恐竜の形をした鋼の塔にも匹敵する邪悪なアビスの化身だった。都市が悲鳴を上げるように硝子を掻き毟るような音色が響いて、街並みが歪み、その最中から複数のトーチカが陽炎のように現れていく。


*妄想:トーチカは移動出来ず、回避しない。また、BOSS属性エネミーを倒した時点で戦闘は終了される。


【エネミーデータ】


『妄想:トーチカ』


種族:アビス・ビースト


レベル4(モブ) サイズL


移0 行4 FP30


砲12


武装1:240mmキャノン

攻:(光)+10/砲撃(12)  C値:12

対:範囲2 射程:2~3


特技 《必中強化3》《弱点属性4:神》《射程延長:3》《狙撃:2》《アーマーダウン:10》


描写


都市各地に出現したソレらは黒光りする砲身をガーディアン達に向ける。動けず、防御すらしない、只管にただ砲弾をばら撒く為の力がアビスの力を受けて艦載砲の如き威容を晒した。




『妄想:サンダードラゴン』


種族:アビス・ガーディアン(マシンザウルス)


レベル10 サイズXL


移4 行10 FP250 EN50


命12 回5 砲12 壁5


武装1:1200mm連装カノン

攻:(殴)+25/砲撃(12) C値:12

対:範囲2 射程:3~6


武装2:荷電粒子砲

攻:/(雷)+35/砲撃(12) C値:12

対:直線8 射程:0


特技 《拒絶の壁:15》《無効属性:雷》《範囲攻撃半減》《移動狙撃》《☆BOSS属性》


防御 斬:5 刺:5 殴:5 炎:5


加護


《トール》ダメージ属性神に変更。ダメージロール直前に使用。ダメージに10D6。

《ヘル》ダメージ属性神に変更。範囲攻撃にも適応。ダメージに5D6。

《ミューズ》イニシアチブ時、即座にメインプロセスを行なわせる。

《タケミカズチ》実ダメージを与えた相手に同じダメージを与える。

《オーディン》加護打消し。


描写


怖ろしく巨大な体躯はしかし現実とは思えない速度で機動し、ガーディアンとまるで違わない速度で彼らへと近付いてくる。それは確かに普通ではない陽炎の如きアビスのオーラを纏う力の具現だった。


戦闘プラン


妄想:トーチカは動けないので最初期段階でPCを必ず射程に入る位置へ配置する。妄想:サンダードラゴンは1ラウンド目にミューズによる即座のメインプロセスを行い、可能ならば複数のPCを荷電粒子砲によって攻撃する。その後、斜線上に2機入らない場合は荷電粒子砲を使わない。


エオーラ・オーウェンにフライドチキンを60本以上もしくは100以上渡している場合、HPが150を切った時点でイベントが発生する。


イベント【エオーラの援護】


描写


学園の周囲から不可視の何かの上に立つ少女が天を突く勢いで上昇し、PC達よりも高い位置に到達した時、カッと目を見開いた。


台詞

「呼ばれるまでも無くわらわ参上!!」


60本以上でHP-50。

台詞

「良いハダカザル達よ!! ちょっと力を貸してやるぞ!! そりゃぁあああ!!!」


描写


巨大な不可視の何かがサンダードラゴンに向けて、その大きな部位で上から真下に凪いだ。瞬間、アビスのオーラは引き裂かれ、巨竜が苦悶の声を上げる。


100本以上で加護1つ削除。

台詞

「更に追撃の滅びの何ちゃらストリィイイイイム!!!!」


描写


巨大な光の一線がサンダードラゴンにブチ当たり、その表面装甲をグズグズに融解させた。


戦闘終了描写


アビスの力がサンダードラゴンの爆散と共に雲散霧消していく。それと共に現実をアレほどまでに侵食していたハイパーボレアの影が嘘のように景色の中で解けていく。最後に残ったのは普通の夕暮れ時の街並みとPC達のガーディアンを見上げて首を傾げる街の人々だった。その最中、道路に倒れている少年を見付けた人々が救急車を呼んで、辺りは喧騒に包まれていく……。


結末


敵を倒し、アビスの内部に取り込まれていた少年を救って終了。また、少年の名前を探し出していた場合、少年は自分の名前を失わずに日常へと戻る事が出来る。名前を見付け出していない場合、少年は自分の名前を忘れたままエンディングとなる。




『エンディング・フェイズ』


登場者/PC1/PC2/PC3/PC4

場所/任意


シナリオ終了描写


全てが嘘のような事件は君達以外に誰も知る者は無かった。しかし、それでも君達がアビスとハイパーボレアの脅威から人々を守ったのは確かな事だろう。だが、その日常の影で小さな呟きが零される。

【やはり、不完全な代物でしたか。まぁ、いいでしょう。データは取れました。後は本職の魔法使いにでも任せましょう。さて、姫様も退屈しているようですし、そろそろお世話に戻らなければ……】

人々が記憶しない戦いを終えた君達に再び新たなる脅威が迫っている事をまだこの時、誰も知る由は無かった……しかし、それはまた別の話……。


【総括】


本シナリオはハイパーボレアによる侵食を受けた現実の中、限られた時間で真実を明らかにし、人々を守ろうと奮闘する。そのような学校での一幕を描いたものである。PCは教師や生徒、導かれる者や導く者として擬似的な学園での関係をRPする事となる。職業的にはバラエティーに富んだハンドアウトを揃えたが勿論、これ以外でRPしても一向に構わない。ただ、シナリオの趣旨に沿う職業であるとよりRPがし易いとも思われるのでPC次第のところがある。また、シナリオのミドルでのバトルを簡易にしている為、物足りない場合もあるかもしれない。そういった場合は適当なマシンザウルスのエネミーデータでPC人数×2機以上でバトルの構成を行うと良い。事件の発端である少年が記憶を失っているなら、日常で彼を気に掛け、支えるようなRPをして終了しても良いし、時折見守ってやるような事も可能だろう。学園ものにおいてはその日常の中の非日常をRPする事が醍醐味としてあるので、それを主導する教師役や生徒役は是非PCには一人入れておきたい職業である。


                  シナリオ【夢見る世界は鉛筆の下に】了

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