IV-quatre-

〈鳥籠の夢〉


私は死んだ。


私は生きていた。


私は殺した。


私は愛した。


私は後悔はしていないの。


私はこうなることを予想していた。


自分の大好きな人との再会がこうなんて


神様は酷すぎやしませんか。


それでも、もういいの。


自分自身で毒を先に飲んでしまえば


彼女が私を殺したことにはならない。



⋱⋰ ⋱⋰ ⋱⋰ ⋱⋰ ⋱⋰ ⋱⋰ ⋱⋰ ⋱⋰ ⋱⋰



私は鳥


彼女も鳥


私は愛されたかった。


誰よりも


誰よりも


貴方に。


貴方は自由に飛ぶ鳥よりも


鳥籠で飼われた鳥を選んだ。


きっと今も過去も未来も。


この先ずっと変わらない。


苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい







〈茨の夢〉


レイリアは

シンプルながらも質のいいドレスから

ミイリアの質素なドレスに着替えた。

そうこうしているうちに

アインは家に帰ってきたのであった。



「ただいま」



「おかえりなさい」



この瞬間を彼女は

ずっと待ち望んでいたのだった。


異変に気づく様子もなく

リラックスした状態のアインに

レイリアは外出しようと誘った。

了承を得たレイリアは

嬉しそうに微笑んだのであった。


アインは何かを感じ言った


「ミイリア!何かいい事があったの?

とても楽しそうだけど」


レイリアは自分と違う

あの彼女の名前で呼ばれるのを不服に感じつつ


「ええ!」


と答えた。


辿りついたのは花畑ー。



辺り一面薔薇が咲いていた。


アインは


「こんな所知らなかったよ……」


と驚いた様子でレイリアを見つめていた。


レイリアは


「ふふ、秘密にしていたの。

喜んでくれるかなって……」


そう言って幸せな時間を噛み締めていた。








あっという間に日は沈みかけ

夕焼け空が広がっていた。

帰ろうとして歩き始めたその時ー。




『見つけたぞー!!!!!!!!』




と大きな声が聞こえた。

レイリアはとても焦った。


それはとても

聞き覚えのある声だったからであった。


逃げる間もなく

二人は大量の兵隊に囲まれてしまった。


状況の掴めないアインは

ただ立ち尽くすことしか出来なかった。


レアリアの予想は的中し、

先程の大声の主は

スカラット家の兵の隊長であった。

そして、レイリアに言う。



「レイリア・スカラット。無礼ながらも国からの命令。ご同行願います。」



プライドの高い彼女は直ぐに怒り喚いた。

隊長はそれに微動だにせず話を続けた。



「大量の使用人の虐殺、国からの金銭の個人的な使用について国王から今すぐ捕まえて首都へとのご命令がありまして。」



彼女は必死に喚いて逃げようとしたが敵わなかったのであった。


アインは全く何があったのか分からず

未だに立ち尽くすばかりであった。


一人の兵が事情を説明し

やっと少し理解したのであった。


彼女はミイリアではなく

あの夜出会った領主なのだと。



レイリアの権力行使と使用人の大量虐殺は

国中にあっという間に広がったー。




そして、一番厳しい処分を求めた






『死刑』


という名の。

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