Ⅲ-trois-

<プワゾン>



「また夜、あの綺麗な少女が覗きに来る。


私を見せつけてやろうじゃない。」


ミイリアはレイリアが覗きに来ていることに

気がついていた。




そして、生き別れた双子という事にー。




彼女はまだ私が修道院に居た、


幼い頃大好きだった大切な姉だった。


とても身体が弱くて、


いつもお部屋の中に居た。


でも、ある日突然大人が沢山やって来て、


私と彼女を見比べた……


そして彼女はその人達に

引き取られることになった。


私も彼女も瞳は赤いけれど、

彼女の方が宝石のように

綺麗だったから

彼女を選んだのだと思った。


そして最後の日ー。


お洋服を交換して

二人入れ替わる事になった。


そしてアインのいつもとは違う顔

彼女を見る顔にとても嫉妬したんだ。


そして馬車に乗せられた彼女は

別人のように見えた。


遠くへ行く愛する兄弟を見つめながら

私は涙を流した。




〈プワゾンⅡ〉



レイリアは森の奥の小さな家、

アインの家の庭に咲いた赤い薔薇を

愛おしそうに見つめていた。


今日の彼女は巻き髪を巻いて居らず、

レイリアにとてもよく似ていたのだった。


その姿を見ていたミイリアは

とうとう声を掛けたのだった。




「こんなところに綺麗な女の子が


何の用かしら。」





「少し待っていてね、お茶を入れてくるわ。」


そうミイリアは言いレイリアを家に入れた。



レイリアは彼女を見つめて

ぼんやりしていた。


お茶を用意して帰ってきたミイリアは言う。


「ここまで来た理由を深くは聞かないわ、


あなたってとても私に似ているのね。」



妙に懐かしそうに言うので、

レイリアは怪しんだ。



「そう、まるで…」




その瞬間、ミイリアは息絶えたー。






「やったわ、やった…これで彼は私のもの…

でも…どうしてかしら……。


毒を飲んでからそこまで時間は

経っていないのに……。


そんなことは気にしなくたっていいわよね!」




レイリアは彼女が見ていない隙に

お茶に毒を仕込んでいたようだった。




その後ー。

ミイリアの躯は

赤い薔薇が沢山植えられた庭に

そっと置かれたのだった。

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