Ⅱ-deux-

<マスカレイドⅡ>



絢爛豪華なシャンデリアが輝く大広間。


人々が笑う声ー。


その中にアインは混じっていた。

アインは社交的ではないので、

食事を片手に窓際へ移動した。






一方、

レイリアはお酒を嗜みながら談笑していた。

少しふらつき始めたので

窓から外に出て休憩しようと考えたので、

よたつきながら窓の方へ向かった。

そこにはアインが居た。

彼女には、幼い頃窓から見ていた、

一度しか話した事のない

初恋の少年に見えたのだった。

その瞬間ドレスの裾とヒールが擦れて

転びそうになった。

目を瞑ったが、痛くも痒くもない。

不思議に思って目を開けると

驚いたアインが居た。


「大丈夫ですか?」


この瞬間彼女は恋に落ちたのだった。



<ナイトメア>


レイリアは恋をするととても病的だった。

舞踏会が終った後、

アインの後をつけて行ったのであった。




彼が家に入り

古い蔦が絡まっているアインの家の出窓を

彼女はそっと覗いた。

何と言うことだろうか。

綺麗な少女が彼と微笑んでるではないか。


あの女は何だろう、あの女は何だろうと


心の中で

悶々と考えるばかりだったのであった。


しかし、自分に自信のある彼女は

きっと私に恋してあの女の事なんて

考えられなくなるだろうと思ったのだった。


幸せに感じた彼女はこう呟いた。




ーあの紅の唇と長い睫毛、

全てが愛おしく感じる

感覚さえ麻痺しそうだわー







この後、毎晩毎晩、

レイリアはお城を抜け出しては

アインの家に通った。


お昼は彼が会いにこないかと

そわそわして待った。


ー彼は来なかった。


毎晩毎晩、毎晩毎晩、

何回覗いても二人が仲良くなるばかり。


それでイライラした彼女は

徹底的に、

仕えているメイドなどを

痛めつけていた。

いつしか、一人二人三人と

数え切れないほどのメイドが死んでゆき、

薔薇の植えられた美しい園に

埋められていった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る