ゆりかごのうた

ゆりかごの星

 乗客は、地上の苦しみも痛みも重荷もみんな、船に乗る時に置いてきました。

 だから、もう、何もつらいことはないのです。

 だけれど、時々、地上のことを思い出して悲しくなる時もないわけではありません。

 そんな時、渡し守は、この唄を歌います。




  ゆりかご ゆれる

     ゆられて ねむる


  ゆりかご ゆらす 母はそら


  おやすみ よいこ 

     いつでも あなたはそらのした

  おやすみ よいこ

     いつでも あなたは母のむね

  おやすみ よいこ

    いつでも 母は あなたとともに


  ゆりかご ゆらす 母はそら


  ゆりかご ゆれる

    ゆられて ねむる ゆりかごの星




 どんなに遠く離れていても、みんなひとつの宇宙そらの下。

 大切なひと、会いたいひとは、みんな同じこの宇宙のもとにいることを、渡し守は歌うのです。


 そして、乗客はこの歌に身をゆだねると、安心してまどろみ、いつか心と心に虹の橋がかって、また大切なひとと笑顔で出会える時を夢に見るのです。

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