Chapter twe  "The girl named Kilria"

1

 薄暗いところだった。そこに少女よぶのもはばかられるほど幼い子どもがいた。子どもは泣いていた。

(あれは、私……?)

 たった一人、その子どもは、その狭い部屋で泣いていた。

 すると、唯一の扉が音もなく開き、少年が入ってきた。少年は子どもの前に膝をつき、その顔を覗き込む。二人の身長差を考えれば、それは当然の事と言えたが、子どもはそれに驚き、顔を上げ、

あとずさった。

『マナト様……』

 そんな子どもの様子に、少年は少し淋しそうに笑った。

『キルリア……。またヴァツェルに怒られたのか?』

 子どもはコクンとうなずく。その目からは、涙が溢れている。

『そうか。……本当にごめんな、俺なんかのために』

 少年はそう言って悲しそうに言った。

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