第2話

転校してきて一ヶ月が過ぎた頃

村人にも顔を覚えてもらえる様になってきいた

下校の時は村の人に大きな声で挨拶をしていた

びっくりする様な大きな声だった

朝は野良仕事をしてから登校していると聞いて感心している者もいた程だ

しかし、誰も祖父の姿を見ていなかった

校長が見ただけだった

その事を不思議に思う者も出始めていた



イジメは日に日に激しくなっていった

棒で殴られる石を投げられる

川に落とされる

いろいろされていたが他の子供達はイジメっ子集団が怖く

見て見ぬフリをしていた

いじめられても又三郎はニコニコしていた気持ち悪いと言われ

またイジメられるのだった

体は大きいがやり返す事は出来なかった

悪口すら言わなかった


又三郎が越してきて3ヶ月ほど経った日事件が起こった

下校途中の子供が刃物で襲われたのだった

襲われた子供は一人で帰宅途中

人気の無い道でいきなり襲われたと言った

凄い力で押し倒されて馬乗りになられ

両耳を刃物でそがれてしまったのだ

被害を受けた子供は町の大きな病院に入院することになった

犯人は黒い布を頭からかぶり背丈は大きく

力がとても強かった、顔も覆われており見る事ができなった

逃げ去る際の走る速度がとても人間とは思えないほど速かった

そう被害を受けた子供は警察に話した

イジメっ子のうちの一人だった

暑い夏の事だった


その翌日の朝

ウサギの居ないはずのウサギ小屋に子供達が大勢あつまっていた

又三郎の担任教師は何事かと小屋を見に行った


そこには人間の耳がふたつ木の枝に刺されて

鉄の檻にひっかけてあった

子供達に「早く教室にもどれ!」大声で怒鳴った

子供達は普段優しい教師が怒鳴ったので驚いていた

小屋から子供を離れさせ警察を呼んだ

犯人は分らないままだった


又三郎は昼休みたまに担任の元に来た

ある日は羽を痛めたすずめを大事そうに懐に入れて見せに来てくれた

元気になるまで世話をするつもりと言う


担任は「友達はできたか?」ときいた

「できた」と答えが帰ってきた

学校ではいじめを受けているようすもなく

いつもニコニコしていたので担任も安心していた

授業が終わると友達と遊ぶでもなくすぐに帰っていた

その事を担任が言うと

「家の手伝いがある」と言った

又三郎の手はマメだらけだった

家はどこだと担任が聞くと「神社の上」と言った

神社の上には使われなくなって大分経つボロボロの廃家しかない

おかしいとおもったが貧しい格好をみていたのでそれ以上聞かなかった


この頃畑から農作物が盗まれるようになっていた

ウサギ小屋や子供の切り付け事件で村は普段の和やかな雰囲気から

一変して空気が張り詰めていた

村人は畑の監視と称して農具や鉈などを持って村を巡回するようになった


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