第46話 分断される仲間
みやびの身体がバネ仕掛けのごとく、飛び出した。
「イヤアァーッ!」
一切の
張り出す木々が邪魔で大きくふりかぶることはできないが、槍の尖った先端を突き出しながら走る。
「オッホッホッホッ、ワタクシの戸山流軍刀術はこういう白兵戦で威力を発揮するのよ」
ナーティは右手に持つ細身の刃を、フェンシングの要領で迫りくる傀儡を串刺しにしていった。
洞嶋は左手でヌンチャクを回転させながら、右手で伊佐神をガードする。襲ってきた特攻服の男の頭部に、ヌンチャクを叩きこんだ。
「社長をお守りするのが、私のお役目。どこからでもかかってらっしゃいな!」
伊佐神もドスを持ち、叫んだ。
「藁人形のっ。俺ぁ大丈夫でえ。おまいさんくれえ、俺が守ってみせるぜっ」
洞嶋はふり返り、うなずいた。
魂を支配された傀儡たちは、次から次へとみやびたちに襲いかかっていった。
~~♡♡~~
ショベルカーはエンジンメーターがふりきれるほど回転させながら、アームに取り付けた鋼鉄のバケットで石柱を押す。
びくともしない難物に、今度はアームを左右に振り、バケットで石柱を叩きだした。
ガイーンッ! ガイーンッ!
鋼鉄と堅い石材がぶつかり合う音が響き渡る。
乗用車二台、大型ダンプカー、それにショベルカーのライトだけが光源である。
打ち上げ花火のような火花が、辺りに飛び散った。
「ど、どうかしら。さすがにあんな鉄の塊でメッタ打ちしたら、あの柱も壊れるんじゃないかしら」
菅原たち三人はハマーの頑丈なボディに身を隠していたが、斜目塚が心配そうに顔をのぞかせた。眼鏡のフレームを指で押し上げる。
「相当なパワーがあるから、ヒビくらい入ってもよさそうだけどなあ」
菅原も顔を出した。ところが派手に火花は飛び散っているが、黒い光沢の表面には何の変化もない。
「ただの石じゃないってことっすか」
猿渡が細い眼でジッと見つめている。
佳賀里はショベルカーの操作をしている部下の横に座り、何かを懸命に指示しているようだ。アームが軋む音を立てながら、さらに何度もバケットを叩きつける。
「だめだぜ、こりゃ。時間だけが経っちまう」
菅原はハマーの後方から走り出した。ショベルカーに近寄ると、両掌を口に当てて叫んだ。
「おーい、兄弟! 作戦変更だあっ」
窓から佳賀里が顔を出した。
つづく
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