第2話 戦車の能力

亨はメーカー不明のスマートフォンの液晶を見つめ続けていた。

躊躇という言葉が適切かもしれない。

しかし、鍵をかけられこの部屋から出られない以上、頼みはこの機械に頼るしかなかった。

見たこともないOSを積んだ端末を黙ったまま人差し指で操作していく亨。

確かに癖はあるが、従来の端末操作知識で十分補える。

「通信機能は当然ないか・・・」

自分の携帯を取り上げられたことで容易に想像できた。

しかし、何か外部に連絡する手段があるかもしれない。

亨は落ち着いていた。

おそらく、今自分の身に危険が生じる可能性が少ないのが一番の原因だと思う。

監禁される理由が自分にあったとしても、こんな周りくどい手の込んだ手段で監禁され、わざわざメーカー不明の端末を提供してくれている。

先があるはずだと思った。

しかし、あまりに手の込んだ不気味さが亨の心を掴み、不安にさせていたのは事実だ。

亨は軽くため息をついた。

操作には問題はない。

問題は搭載されているアプリケーションだった。

他の物は日本語や英語で記されているのに、アプリケーション名は見たこともない記号のようだった。

亨はアプリケーションの起動は避け、設定画面などに目を移すことにした。

「アルカナの能力・・・」

項目にアルカナの能力という項目があった。


<戦車の能力は他のアルカナの能力向上>

【発動条件】

・戦車の端末内に他のアルカナの所有者と端末が5m以内にいる時に発動が可能。

 この時、両者の電源がon時であること。どちらかがoffの場合は無効とする。


・向上した場合、他のアルカナは一度、向上した能力を発動できる。

 発動後、戦車と向上を受けたアルカナは共に向上する直前の状態に戻る。


・向上回数の上限はなし。戦車のバッテリーが10%まで使用可能。

 戦車のバッテリ―が10%以下の時、発動することによってバッテリーが10%以下になる場合、能力は発動できない


・向上したアルカナを戦車の能力でさらに向上させることは不可能。

また、戦車の発動時、バッテリー消費量は個々のアルカナによって変わる。


・持続時間は5分。5分以上経過した場合、能力を向上したアルカナは通常に戻る。

 この間、戦車の端末の電源をoffにした場合、向上したアルカナの能力は継続。

 しかし、向上したカードの電源をoffにした場合、能力は通常に戻る。


・また、向上条件が複数ある場合、選択権は戦車の端末保持者にある。


亨は液晶画面を見つめ、見入っていた。

理解ができなかったが、情報だけは頭に入っていく。

そして、自カードの能力のあと、他の項目に目を移す。


基本ルール


禁忌ルール


KEYルール


クリア条件というものがあった。

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