両思いのジンクス
両思いのジンクスの噂
その石段は不揃いで一定の歩幅で歩けないので、慣れないと妙に疲れる。 何百年だか前に整備されたのを補修しながらも本格的な改修はしないままに今まで使われているのだと地元の
とは言うものの、自宅を出てこの峠を越えたすぐのところが高校なので、距離で言えば近い。
さて、最近になってこの落日峠に関しての噂が学校内で広まっているようなのだ。 情報源は例のごとくアユミである。
「サヤちゃんって落日峠を通って来てるんだったよね?」
「そうだよ。 地図で見たらすぐそこなのにマジ疲れる」
「あの峠を好きな人と一緒に歩くと両思いになれるんだって。 サヤちゃんは誰かと歩いたりした?」
「ないない。 あの道って
峠の頂上には小さな神社があるので、それに
「あれ、ユウヤ君もあの道から来てるんじゃなかった?」
「うちの隣だから多分そうなんだろうけど、時間が合ったことないなぁ。 アイツは朝はギリギリに登校してるし、帰りは部活が終わってからだから。 私は授業が終わったらすぐに帰るもん」
「またまた〜。 偶然の
女子は本当にこういう話題好きだな。 私も女子とは言え、こういうノリがあまり好きではない。 なので主な女子グループとは間を置いているのに、完全に逃れるのは無理みたいだ。
実際のところ、小学生の頃まではユウヤとも仲が良かったと思うが、最近は顔を合わせることもない。
「ユウヤのことは置いといて。 その噂って有名なの?」
「男子の方でも有名みたいだから、かなり有名なんじゃないかな。 実際に付き合い始めたカップルも結構いるんだって」
珍しいな。 男子はその手のジンクスをあまり信じなさそうだけど。
「なるほどね。
「どういうこと?」
「馬鹿なあんたに説明してあげるよ。 あの道を普段から通るのはそれこそ私やユウヤくらいで、あとは年寄が散歩するだけ。 そこを誰かと一緒に通るってことはわざわざ
「なーんだ。 そういうことか。 つまんないな」
「みんなわかってて切っ掛けとして利用してるんだと思うよ。 あんたはそんな
夜見坂トンネルは
崎裏町の怪異 @SaitoAtsushi
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。崎裏町の怪異の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます