第2話母性には勝てなかったよ……
「ねっむ……」
昨晩眠れなかったのがさっそく響いてきている。もさもさと食パンを齧りながら、意識はもう7割方夢の中に沈みそうになっている。
「琴葉お姉さん眠そうですね。やっぱり昨日急にあんなことお願いしちゃったから…」
「いやいや、千佳ちゃんのせいじゃないよ……」
私がやましいことを考えてしまったのがいけないのである。
「そう言えば、千佳ちゃんは学校いつからだっけ?」
「えっと、来週からです。まだ手続きとか準備とかいろいろあるみたいで」
「そうなんだ。明日は私も学校休みだし、よかったらだけど、この近くの案内とかしようか?」
と言う体で千佳ちゃんとデートができればいいなという下心が9割を占める善意で千佳ちゃんを誘ってみる。
「はい! よろしくおねがいします!」
くっくっく……同意を得られれば合法。つまり、私を止められる者はいないのである。
「楽しみにしてます!」
「私も楽しみにしてるよ」
さて、どこに行こうか考えておかないと。記念すべき千佳ちゃんとの初デートなのだ。気合入れないと。
テンションがあがり、眠気も吹き飛んだ。時間もそろそろいい時間だし、学校へ行くとしよう。
「それじゃ、行って来ます」
「行ってらっしゃい。琴葉お姉さん」
美少女に見送られるのっていい。
千佳ちゃんのおかげで何気ない日常の1コマにも華がある。
「おっす。琴葉」
「おはよう縁」
通学路の途中で縁に声をかけられ、一緒に登校する。
「そういやさ、今日から部活動の見学始まるんだっけ?」
「そうだよ。縁はやっぱり部活はやらない?」
「うーん……そうね。私は運動とか苦手だし、かといって文化系の部活に興味があるでもないし。何より学校が終わったらだらだらしてたいし」
「そっかあ。あわよくば一緒にバスケ部に連れて行こうと思ってたのに」
他の友達はみんな既に入る部活を決めているみたいなので、誘えなかったから縁が一緒に来てくれればと思ったのだが、縁は部活に興味なさそうなので、それはできないかもしれない。
「さらっと私も連れていくとか言われるとは思ってなかったわ」
「いいじゃんか。見るだけだしさ」
「そうやってずるずると引っ張って後には引けなくなるパターン作ろうとしてるだろ! そんな悪徳商法には引っかかりませんって」
「ちっ。ばれたか」
友達が一緒だといろいろやりやすいと思っていたのになあ。
「ま、私は家でごろ寝するから、琴葉君はがんばりたまえよ」
はっはっはとわざとらしく笑いながら縁に肩を叩かれた。
そして、放課後になると、縁は朝言っていた通り、さっさと帰ってしまった。
「一人で行くのってちょっと緊張するよなあ」
ぼやいてても仕方ないので、バスケ部が練習している体育館に一人で向かうことにする。
体育館に入ると、既に見学に来ていた新入生が数人いるようなので、そこに近づいてみることにした。
「こんちわー……ここで皆見学してる感じ?」
「うん。あなたもバスケ部の入部希望?」
「うん。そうなんだ」
一番手前側にいたポニーテールの子に話かけてみたが、どうやら間違いないらしい。
あれ? この子どこかで見たことあるような……でも、同じクラスでもないし……気のせいだろうか。
「あの……間違ってたらごめん。もしかしてあなたって東中出身だったりしない?」
「え? よくわかったね」
私の出身校を知ってるってことはやっぱり私この人とどこかで会ってる? やっべえ。名前とか全然わかんないんだけど、どうしよう。
「やっぱり! ほら、去年の県大会で当たったの覚えてないかな」
「去年の……あ、もしかして……第三中の?」
言われてみれば、思い出した。中学校最後の大会で相手チームのフォワードだった子だ。
「うん! うわあ、こんなところで会えるなんて思ってなかったよ!」
ポニーテールの子は嬉しそうに私の手を握って上下にシェイクした。
そうだ。去年の県大会。私の学校と彼女の学校が当たったのだ。途中まではぎりぎりこちらがリードしていたが、最後に彼女の3ポイントシュートで大逆転をされたのときのことを思い出した。思いもよらない人物との再会には驚いた。
「中学のときは相手チーム同士だったけど、これからはチームメイトだね。嬉しいな 」
「うん。そういえば、まだ自己紹介してなかったよね。私、幼方琴葉。クラスは2組だよ」
「谷風葵。私は4組だよ」
思いもよらぬ相手と再会することになるとは……世間とは思っている以上に狭いのかもしれない。
「谷風さんはもう入部確定?」
「葵でいいよ。私はもうバスケ部決定だよ。元々バスケのスポーツ推薦で入ってきてるしね」
「えっそうなんだ。すごいね。私は一般入試組だったからなあ。あ、私も琴葉でいいよ」
推薦というだけで羨ましい。去年の勉強地獄を思い出して辟易する。
「ありがとう琴葉。私もこうやって見学には来てるけど、もう去年から練習には参加させてもらってたんだ」
「そっかあ。期待もされてるだろうし、未来のエースって感じかな?」
「そんな大げさなのじゃないよ。私なんてまだまだだって練習に参加して痛感してるところ」
それでも、スポーツ推薦を取れるほどなのだ。私なんかよりもずっと上手いんだろうなあ。きっと、去年試合をしたときよりもずっと上手くなっているのだろう。
「やっぱり高校生ってすごいなって思ったよ。力の強さとかだけじゃなくてテクニックとか何もかもがさ。少ししか歳が違わないのにこんなに差があるんだって」
そう言って上級生たちを眺めている葵の目はすごく輝いていた。
私が小さい女の子を見ているときもこんな感じなんだろうかなんて、最上級に失礼なことを一瞬考えてしまった。
「早く私も本入部して先輩たちに追いつきたいなあ」
まだ見渡す限りに桜が咲き乱れている。
見学を終え、校門へと続く桜並木を葵と一緒に歩く。他にも私たちのように、部活動の見学を終えたであろう生徒の姿がちらほらと見える。
「私はまず体力を戻すところからかな。受験勉強ばっかりであんまり運動できなかったし」
もちろん全くしなかった訳ではないが、どうしても部活の練習レベルの運動となると、部活を引退した後はほとんどすることはなかったので、必然と体力や筋力なども落ち込んでいる。
「そっか。そうだよね。私は勉強がんばらないとなあ……この前の学力調査の試験も散々だったし……これが成績に関わる試験だったら危なかったよ」
「この学校皆頭いいから付いていくの大変だよね。入学したからって勉強サボれないよ」
エスカレーター式の学校とはいえ、進学校でもあるこの学校は基本的に皆学力が高い。実際、私も相当勉強に苦労してこの学校に受かったのだ。
「うう……私どうしても勉強が苦手だからさあ……じっとしてるのが苦手というか……体を動かしてたいって思っちゃうな」
「一度集中できれば結構机に向かってても大丈夫なんだけどね」
元々、成績自体はそれなりにいい点を取れてはいたが、それでもこの学校レベルの進学校を目指すとなると、かなり努力をしなければいけなかった。そんな私がこんな進学校に受かったのは、初等部があるということ、あの制服姿の幼女たちを毎日眺められるという下心に塗れた原動力があってこそだ。欲望の力ってすごい。
「でも、琴葉は受験で受かったんだもん。すごいよ。どうやったらそんなに勉強できるようになるの? 何かコツとかある?」
い、言えない……こんな不純な動機だなんて……。勉強に疲れたら、この学校のHPを見て、初等部の制服の画像や、HPの画像に映っている女の子たちの姿を見てやる気を復活させていたなんて絶対に言えない!
「え、えっと……。あまり根を詰めすぎないこと……かな?」
無難オブ無難で何の参考にもならないようなことを言って誤魔化す。
「そっかあ。一気に詰め込むんじゃダメってことだよね」
「そ、そうそう。やっぱりコツコツやってくのが一番だと思うよ!」
「そうだよね。バスケもそうだもんね。地道に練習しないと上手くなんてなれないし」
葵は自分で納得してくれたようで助かった。せっかく新しくできた友達に私の性癖を知られる訳にはいかない。もしも、そんなことにでもなったら、ドン引きされるどころじゃ済まない。下手したら学校に居場所が無くなってしまう。
「うんうん。急がば回れってね! あ、そうだ。葵って電車通学?」
使い方が合っているのかも微妙な事を言ってそれっぽくしておく。更に話も逸らしておくという万全の策を取る。
「うん。そうだよ。琴葉は?」
「私もそうだよ。そういえば、葵って家はどの辺?」
「私は姫野駅の近く。ちょっと学校から離れてるのがね……琴葉は近いの?」
「私は日山だよ。方向は一緒だね」
私と葵の地元は同じ路線沿いではあるが、8駅も離れているようだ。
「電車通学って初めてだけど、結構大変だよね。朝も帰りも満員電車だしさあ」
葵の言う通り、この路線は上りも下りも混雑することが多い。途中にビジネス街の駅があるというのが大きいのだろう。
「せめて自転車で来れるくらいだと楽なんだけどね」
そうこうしているうちに、もう駅は目の前だ。
ICカードを改札でタッチしたのと同じタイミングで、電車の到着を知らせるBGMとアナウンスが構内に流れ始める。
「やった。ちょうどいいタイミングだ」
そう喜んだのも束の間、到着した電車の中を見て、私たちの喜びの感情は消え去った。
「やっぱ混んでるね……」
「うん……」
しかし、延々と空いている電車を待つわけにもいかないので、意を決して二人で乗り込む。
分かってはいたが、やはり狭い。隣に立つ人とは僅かな隙間もない程の密着状態だ。
「き、きっつ……」
「これは慣れないよね……」
ようやくドアが閉まり、電車が動き出した。ここからが長いのだ。
「琴葉、大丈夫?」
「う、うん。なんとか」
とは言ったものの、かなりきつ。これを毎日繰り返すと思うと本当に嫌になる。
「もっとこっち寄りなよ。少しだけスペースあるからちょっとはマシになると思う」
「ありがと。助かる」
もぞもぞと身を動かして、葵の方に身を寄せる。確かにさっきよりは全然こっちの方がいい。
「でも、これだと葵がきつくない?」
「へーきへーき。私は大丈夫」
そう言って葵はにっと笑った。自然とそういうことができる葵のイケメン度がすごい。葵が幼女なら惚れてたかもしれん。
「わっ」
電車が大きく揺れた。吊革を握れていなかった私はそのまま葵の方に寄りかかる形になってしまう。
おや……? 何やら手の平に柔らかい感覚が。
「う、うん……!?」
その感覚の正体は、葵の持つ二つのお山だった。
いや、葵大きいなと部活動の見学のときから思っていたよ? でも、まさか制服の上からでこうも柔らかさが伝わってくるのか……!? 私のモノじゃとてもこうはいかないぞ。
私、
もちろんこれまでは大きいおっぱいに興味なんてなかった――なのに。
や、やわらけぇ……! 私の手の平に収まりきらない葵のお胸から手が離せない。 一体これは……!?
「こ、琴葉……あ、あの、手が……」
そうか――これは「母性」だ。
春の日差しのように暖かく、全てを許容するかのような柔らかさ。そう、それは久しく忘れていた感覚。
人は皆、母の胸で育つ。その暖かさ、柔らかさを大人になるにつれて忘れていってしまうのだ。そして私は今、葵のお胸に母を、感じている。
しかし、その絶対的な安心感の一方で、妙な興奮が私の内に湧きあがっているのである。この妙な背徳感、言ってしまえばムラムラするということだ。
絶対的な安心感に、それを穢すかのような背徳感。それは、あまりにも甘美で――
「こ、琴葉ぁ……」
「あ、ご、ごめん!」
危うく、新たな扉を開きそうになったところで、葵の声で我に返る。
僅かに名残惜しさを感じながら、葵の胸から手を離す。
「う、ううん。ちょっとびっくりしただけだから。それより、琴葉は大丈夫? 結構揺れたけど」
こんな状態でも私の心配をしてくれるなんて。こんないい友達に対して私はなんて感情を抱いていたんだ。
「ありがとう。葵のおかげで全然平気」
罪悪感でまともに葵の顔を直視できない。
『次は日山、日山』
勝手に気まずさを感じているところで、電車のアナウンスが入る。まさにゴングに救われたというところだろう。
「琴葉はここで降りるんだよね?」
「うん。それじゃ、またね」
「うん。またね」
逃げるように電車から降りて、急ぎ合いで改札を抜ける。
「私、割と最低では……!?」
冷静に思い返して、普通なら絶交、いや警察に突き出されてもおかしくないことをしてしまった。
「はあ……早く帰って今日は休もう……私は疲れているんだ……」
私が小さい女の子以外にこんなやましい感情を抱くとは思わなかった。
しかも、それが同年代の友達相手だなんて……!
「ただいま……」
「おかえりなさい琴葉お姉さん!」
玄関を開けると、千佳ちゃんが笑顔でトコトコ駆け寄ってきてくれる。まるで、わんこみたいで最高にかわいらしい。犬耳千佳ちゃんを想像したら鼻血を出して出血多量で死ぬレベルのかわいさだ。
しかし、私はそんな愛らしい笑顔を向けられる価値など無い女なのだ。
「うん……それじゃ、私は部屋に居るから……」
「あ、あれ? 琴葉お姉さん?」
部屋に帰って来るや否やベッドに倒れ込む。
本来なら、家に帰ってきたら秘蔵の幼女フォルダで癒されるところだが、自己嫌悪に苛まれてそれどころではないのだ。
「あの! 琴葉お姉さん、入っていいですか?」
「あ、はい。どうぞ」
なぜか千佳ちゃんの語気が強めな気がするのはなぜだろう。
「あの、琴葉お姉さん。元気ないですよね。どうしたんですか?」
「そんなことないよ……」
「でも、明らかに昨日までと違いました!」
そんな露骨だっただろうか。
「私でできることであればなんでもします。だから、何か嫌な事があったんだったら一人で抱え込まないでください」
これが天使、いや女神というべきか。今の私にはこの優しさは眩しすぎる。浄化されすぎて私なんて跡形も残らなさそうだ。
「そ、そんな大したことじゃないから」
そもそも私が悪いだけなのだし。
「それでも、琴葉お姉さんには少しでも元気になってもらいたいんです」
「その気持ちだけで十分ありがたいよ……」
「うーんと……私に何かしてほしいこととかありませんか?」
そりゃあ……大半が口には出せないことにはなるが、腐るほどあるけども。
「それじゃあ……膝枕……なんてね」
「はい! わかりました!」
軽く言ってみたつもりが、千佳ちゃんはやる気満々な表情で膝をぽんぽんと叩いてさっさと頭を乗せるんだよこの野郎と言わんばかりだ。
「ほ、本当に?」
「本当にです!」
千佳ちゃんに気圧され、千佳ちゃんの脚へ頭を乗せさせてもらう。
「!?」
瞬間、私の全身に衝撃が走る。
それは、今までにない至上の悦楽。
この世にこんなに素晴らしいことがあったのか。それは、これまで十数年生きてきた私の価値観を覆しかねない程だった。
葵のときに感じた柔らかさとはまた違った、この柔らかさを頭の全神経をフルに使って堪能する。
「昔は琴葉お姉さんがこうやってよく私に膝枕をしてくれたんですよね」
私が千佳ちゃんを膝枕するというのもこれ以上ないくらいに魅力的だが、こうしてされるのも実にいい。
「琴葉お姉さんが優しく撫でてくれるの私大好きだったんです。こんな感じで……」
千佳ちゃんがその小さな手でそっと私の髪を撫でる。
ただ撫でられているだけ。それだけなのに、こんなにも気持ちがいい。
今なら断言できる。私は今、人類史で最上の快楽に溺れていると。
「あ、ああ……」
い、いけない……! これ以上千佳ちゃんのなでなでと膝枕の凶悪コンボを受け続けたら、人としてダメになってしまう。
で、でも、一応年上としての威厳とか人としての尊厳とか……いろいろ越えちゃいけないラインがあるのだ。
『ダメになっちゃいなYO☆』
最低限の人としての尊厳を必死で護ろうとしたが、私の中の悪魔がそう囁いた瞬間、私はこの快楽に流されるだけの存在へと化した。
「あ、ああ……もっと、もっとシてほしい……」
「いいですよ。……ふふっ。琴葉お姉さんもちょっと甘えん坊さんなところがあったんですね。かわいい」
そう言ってくすりと笑った千佳ちゃんの表情は慈愛に満ち溢れていながらも妖艶さを纏っている。
私は今、千佳ちゃんに全てを委ねてしまっている。
千佳ちゃんが放つ絶対的な安心感、例え世界の全てが私の敵に回ったとしても、千佳ちゃんだけは私の味方になってくれる。私にそう確信させるだけのものだ。
そう――これも母性なのだ。今、千佳ちゃんは私の母になってくれているのだ。これ以上に安寧をもたらすものがあるだろうか。
そして、この母性と共に淫靡さをも感じさせるこの笑顔。言葉通り、「魔性」というものだ。私を捕えて決して離さない。
純粋無垢の象徴ともいえる、幼女からは連想されないこの妖艶さは私の想像を遥かに超える感覚を私に与えていた。
「しゅ、しゅごい……」
それからのことは曖昧にしか覚えていない。
体が蕩けそうになる快楽と至上の安寧の中で、まるで私という黒が千佳ちゃんという白に融けていくような、不思議な気持ち。
私は繭に包まれているような安心感を抱きながら私の意識は薄れていった。
「……ハッ! わ、私はいったい……」
「おはようございます。琴葉お姉さん眠っちゃってたみたいです」
どうやら私は千佳ちゃんの膝枕に完全にノックアウトされていたらしい。
「ご、ごめんね。ずっと膝枕してて辛かったでしょ?」
慌てて起き上がる。
「全然平気ですよ。それよりも嬉しかったんです。琴葉お姉さんが私を頼ってくれて」
「あはは、恥ずかしいな」
恥ずかしいなんてものじゃ済まないことになっていた気がするが……過ぎたことを考えても仕方ない。
ここまでやらかしたことなんて今までなかったというのに、私の自制心をこうも簡単に崩壊させるなんて……なんて恐ろしい子!
「そんなことありませんよ。きっと、誰にだって誰かに甘えたくなることってあると思うんです。だから、もし琴葉お姉さんがまたそんな気持ちになったら……私に言ってくださいね?」
上目遣いでそんなことを言われてしまっては、また私の理性が簡単に崩壊してしまう。
いやいや、違うだろう私。もちろん今回みたいにとことん甘やかされるのは最高に幸せだけど、そもそも私は甘やかされるよりも甘やかしたいのだ。
千佳ちゃんって実は天然で小悪魔属性も備えてる……?
「ありがとう。これじゃ千佳ちゃんの方がお姉さんみたいだね」
「そんな、私なんてまだまだ子どもですし……」
謙虚なところも千佳ちゃんのいいところだなあ。これぐらいの歳でこんなにできた子もそうはいないだろう。
「あ、そうだ。明日はこういうところに行きたいとかリクエストあるかな?」
これ以上はまた私の理性が決壊してしまうので、明日のことに話題をチェンジする。
「えーっと……小学校とか見てみたいです。でも、私は琴葉お姉さんと一緒ならどこでも嬉しいですよ」
「おっふ」
またもや私の理性を崩壊させかける一言が千佳ちゃんから放たれた。
私いつか千佳ちゃんに萌え殺されるかもしれないな。マジで。
「それじゃあ、明日は学校にも行ってみようか。あと学校の近くに結構大きい公園があるんだけど、行ってみない? 今ならまだ桜も咲いてるし、お花見がてらさ」
「はい! すごくいいと思います!」
千佳ちゃんも楽しみにしてくれているみたいだし、このルートを中心に明日のことを考えよう。
こんなかわいい子とのデートプランを考えることができる幸せを噛みしめながら、私は明日に思いを馳せる。
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