夜空一杯の星を集め、それがレビューの代わりになるなら
キャンバスライフに夢を抱く思春期の終わりの様に、カクヨムという新しい世界に始まりを期待していたかつての日々。
ここならば或いは、ファンタジーの跋扈する「なろう」とは違う物語に触れる事が出来るのではないか。
そして筆者の作品も、ファンタジー以外を受け入れて貰えるんじゃないか。
だが蓋を開けてみれば「なろう」に勝るとも劣らぬ相互評価の栄える世界。
良し高評価だ、少し読んでみようか。――待て、これは
否、否、三度否。現代アクションなら筆者の趣向に沿うものもあろう。――何?その作品はファンタジーではないのか?
よろしい、ならば検索だ。
第二次世界大戦、共産主義、冷戦、テロ――くそっ、ピンポイント過ぎて誰もいねえ……
そして読みたいと思っても見つからないので――、そのうち筆者は考えるのをやめた。
はい……
いやもう巷でも言われていて、運営でも対策を発表したばかりですが、相互評価と検索の問題ですね。
筆者などは「転生・チート・ハーレム・異世界・ラッキースケベ」所謂ラノベファンタジーのお約束は元より、テンプレの香る学園モノ、ギャグ・コメディに携帯小説と、とかく苦手な分野が多く、つまりはその苦手こそが人気を誇る「なろう」は決して居心地の良いものではありませんでした。
(とは言えエブリスタはルビが振れずに使いづらく、Pixivは二次創作がメインと、結果消去法で「なろう」に作品を投げ続けざるを得なかった訳です)
そんな折に伝え聞いた「カクヨム」サービス開始のニュースは、筆者にとって渡りに船で「よし、これでもしかすると、なろうで見向きもされなかった拙作でも評価されるかもしれないぞ」と俄に気持ちが沸き立った事を、朧げですが覚えています。
(結局は、カクヨムに転載した所で本命だった作品はウケる事は無く、これは一重に筆者の至らなさだろうと遠い目で空を見つめるばかりではありますが)
しかし実際の所カクヨムは「なろう」で時代を築き損ねた亡者たちがひしめき合う地獄そのもので、且つ使いづらい検索機能も相まって「もういい……落ち着くまで読み手に回るのはやめておこう」と、筆者は期待の反動の失意に足を止めかける始末でした。
最も「なろう」の場合、相互評価の存在を把握している為か、賞レースでは一次選考におけるレビューの無視を事前に告知しています。
これにより向こうの相互評価は、互いの浅薄な承認欲求を満たす以外に実質的な価値を失っていましたが、カクヨムは違います。
一次に読者投票を持ち込んだ事、さらには厳密なペナルティの存在を伏せていた事から「相互評価に価値が生まれる」環境を自ら醸成し、結果としてスパムフォローの濫発や、警告を無視した相互評価案内、高評価作品に相互評価作品が並ぶという事態に至ったのではないかと考えています。
運営側からは露骨な相互評価をはじくシステム、ペナルティの実施と後出しの通知はありましたが、無料のサービスでどこまでそれらに手を回せるのか、評価はしつつも、個人的にはどうなんだろうとやや懐疑的な印象です。
最早票の伸びる可能性の無い拙作陣が、この難関を突破するのは至難と既に諦めを抱いていますが、だからこそ一読者として二つ目の「なろう」になる事だけは避けて欲しいなぁと切願する所であります。
……検索機能に、除外ワードを含められると良いんですけどね。
筆者の場合なら「ファンタジー」「異世界」「転移」「転生」を弾くだけで、大分趣向にあった結果を表示出来るのではないかとは思いますが。
ではでは。本日も筆者のルサンチマンに満ちた雑話でした。
ああ、東京の空に星は見えませんな。
かしこ。
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