322区 【ルチア ワングイ マカヤ】

【ルチア ワングイ マカヤ】るちあ わんぐい まかや

★登場回 284区★ ※241区に名前はないものの、登場


ケニア出身で島根県にある土師南高校から桜ケ渕大大学へ進学。


父親が過去日本の高校・大学・実業団で走っていたことがあり、小さい頃から日本で走ってみたいと思っていた所に、日本行きの話が舞い込んで来る。


父親の指導の元、ケニアで走っており、日本の話も色々と聞いていたので、不安よりは期待の方が大きかったのだが、いざ来日すると生活になじむまでに1年くらいかかってしまう。


言葉や生活習慣のことはもちろんだが、彼女にとっては、夏の湿度と冬の寒さが堪えたようである。


おかげで1年の時は若宮紘子に競り負けインターハイの3000mで5位、都大路では5区で澤野聖香に僅か1秒差で負け区間2位に甘んじている。


だが、2年生になってからは、インターハイで優勝、都大路でも2区で区間新記録を出している。


桜ケ渕大学に入学しても、その走力は健在で、澤野聖香から「自分がこの子に勝ったことがあるという事実が信じられない」とまで言われている。


それほど、彼女の走力はチームでは圧倒的なものであった。


澤野聖香もあまりの差に、彼女には負けて当たり前と言った感じで練習をしていたが、それに気付いた青寺小雪が本気で澤野聖香を怒っている。


「あなたは、絶対にいつか世界で戦うことになる。だから、二度と負けて当然と思って走らないで。1秒でも1mでもくらいつく気持ちを常に持ち続けて。その気持ちがいつか世界で勝負する時に、自分の心の拠り所になるから!」


青寺小雪にそう言われ、澤野聖香も気持ちを入れ替え練習に臨むようになる。その結果、世界選手権で日本人女子初の3000m障害決勝進出へと繋がったのだから、青寺小雪の考えは正しかったのだろう。


ちなみに、ルチア ワングイ マカヤは、父が日本で15年生活していたこともあり、留学前から簡単な日本語も理解できていたことに加え、高校3年間で日常生活には困らない程度には上達し、大学では留学生のためのサポートが充実していたおかげで、仲間ともきちんと意思疎通が出来るようになっていた。


なっていたはずなのに、自分に都合の悪いことが起きると急に「ごめんなさい。わたし、まだむつかしいにほんごわかりません」と笑顔で言い出すのが彼女のキャラとしてすっかり定着していた。もちろん、部員もそれが冗談だと分かっているので、容赦なくその後も彼女に色々と言っているのも、日常である。


大学を卒業後は日本の実業団で6年間走り帰国。帰国後は、母国と日本の選手の橋渡しを仕事としている。


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