314区 【大和 梓】

【大和 梓】 やまと あずさ

★初登場回 201区★

誕生日:10月19日

身長:154センチ

血液型:B型

愛用シューズ:アディダス


大和葵にとって人生最大の波乱は、大和梓にも同じくらいに強い衝撃を与えている。


梓としては、好きな姉のために自分が意思を引継ぎたいという、前向きな考えだったが、それが姉妹の仲に強烈なヒビを入れてしまったのだった。


大和葵自身は、永野先生との語り合いで憑き物もすべて無くなり、わだかまりも綺麗に消え、大和梓も永野先生の家から戻って来た姉から、色々と姉妹で約束はあったものの、桂水高校へ進学することに理解をしてもらい、表面上は和解となった。


だが、大和梓は心のどこかで、、自身が選手として走り、都大路出場を勝ち取らないと姉に対しての償いはできないと思い込んでいた。


だから、走る時は常に、葵姉のために自分は頑張るのだという思いを糧に走り続けてしまう。その思い込みの強さのせいで、梓が1年時の県駅伝早朝の騒動が起きてしまったのである。


だが、その騒動が大和梓の心に光を差し込ませた。


藤木紗耶の説教と那須川朋恵が自分の思いと一緒に走ると宣言したことで、大和梓は初めて自分はいつも大和葵のためだけに走っており、チームのことも自分自身のことも見れていなかったことに気付く。


そんな自分の醜い思いを病院に向かう車の中で滝川由香里にすべて吐き出すと、「じゃぁ、今日が新しい大和さんの最初の一歩目ね」と滝川由香里が何一つ梓を否定することなく、すべてを受け入れたうえで笑ったことで、大和梓は大いに救われる。


大和梓が病院から競技場に向かう滝川由香里の車のなかで、大和葵に電話をした際、「うち、熱出して当日メンバー変更になってみんなに大分迷惑かけてしまった」と語ると「これは、女子駅伝部元キャプテンとして言うんじゃないのよ。あなたの姉として言うんだからね」と大和葵は前置きし「チームは大ピンチだけどさ、うちは梓がようやくチームや自分のために頑張れるようになったんだって分かったのが嬉しいわ。いや、いつもなら、『葵姉の夢を叶えるために頑張って来たのに、うちはなにをやってんだろう』とか『葵姉、ほんとうにごめん』とか言いそうじゃん」と笑っていた。


ただ、梓も笑いながら「ごめん、葵姉。今朝似たようなセリフを部員の前で吐いた」と答えると「うちの妹はさっき生まれ変わったばかりかぁ……」と呆れていた。


だが、確かにこの日、大和梓は生まれ変わったのである。


医者になりたいと言う夢も、姉のためではなく純粋に自分の小さい時からの目標として捉えられるようになり、ただ医者になるだけでなく、どんな医者になりたいかを考えるようになっていく。


そのせいか、3年生の時には担任や塾の講師に、東大や京大の医学部進学を勧められるが「うちは将来自分がやりたい医療のために、もう行きたい大学を決めています」ときっぱりと断り、ある国立の大学医学部へと進む。


その後、実家の病院に勤務し、自身が運動をしてきた経験も踏まえ、女子アスリートの健康管理を最重要課題として働く。


梓が働き始め数年経ったのちには、桂水市だけでなく周りの市町村で運動系の部活をやる女子にとっても、「何かあったらまずは大和内科医院の大和梓先生のところへ」と言うのがすっかりと広まっていた。


ちなみに、梓は1年生の時の県駅伝のことがあったせいか、大人になってからもずっと由香里さんを慕っており、由香里さんは「私が形だけでも副顧問をしていた期間にみた子達の中で、未だに慕ってくれるのは、大和さんだけよ。あとは全員、綾子にとられたもの。まあ、それが逆だったら綾子の人間性に大いに問題があるけどね」と梓に笑って話している。

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