301区 【明彩大学】陸上部メンバーその2

【小柴 瑠璃】こしば るり

★初登場回 151区★ ※名前のみ96区に登場


高校3年の都大路が彼女の陸上人生の分岐点であった。

それまでの彼女は、圧勝するか、歯が立たずに早々に負けが決まるかの、言わば0か100のレースしかしてこなかった。


だが、高校3年の都大路1区で宮本加奈子と激しい競り合いをした上で負けてしまい、初めて自分が度を過ぎた負けず嫌いだったことに気付く。それ故に宮本加奈子は彼女にとってライバルであると同時にそれを超えた憎むべきレベルでの敵となってしまう。


ただ、宮本加奈子から連絡があり、明彩大に入学することを知ると嬉しくて浮かれてしまい、練習のジョグでも思い出すとニヤニヤが止まらず、部員から「小柴が気持ち悪い」と引かれてしまう……。


そしていざ宮本加奈子が入部すると、周りの部員から「瑠璃加奈戦争」と皮肉られるほど、お互いが闘争心むき出しで競い合って走ってしまい、周囲を度々困らせる。あまりに競い過ぎて、ゴール後2人はしばしばその場に倒れこんでしまい、そのたびに木本奈々美が「衛生兵!衛生へーーい!」と叫び、駆け寄ってきた部員が2人をグランドから運び出すという、お決まりのコントが発生してしまう状況に……。


ちなみに、木本さんや他の部員は笑っていたが、倒れた当の本人達は本当にきつそうにしていたとか……。


それと、高校までの学年は一緒だったものの、宮本加奈子が大学に入学した時、小柴瑠璃はすでに3年生であった。彼女の負けず嫌いの本領が発揮されたのは、「宮本加奈子が卒業するまで学校に残りたい」というだけの理由で、明彩大大学院に進学したことであった。これにはさすがに周りの部員も若干引いていたが、宮本加奈子自身は「あんた、そこまでして私にボコられたいんだ」と大笑いで、小柴瑠璃は「逆や! あんたがうちにボコられるんや!」と鬼の形相で返していたそうである。


そんな理由で進学した大学院だが、毎日部活で走り、院生ながら全日本大学女子駅伝にも出場。研究もきちんとやりとげ、宮本加奈子が卒業する年に修士課程を無事に終えたのは負けず嫌いのおかげだと思われる。


ちなみに小柴瑠璃も宮本加奈子も競い過ぎて気力を使い果たしたのか、お互い大学・大学院を卒業すると同時に競技を辞めている。小柴瑠璃は大学院を卒業後地元に帰り、一般企業に就職。社会人になっても宮本加奈子とは連絡を取り続け、年に1~2回程度は会っている。



【岡江 鈴音】おかえ すずね

★初登場回 152区★

自分の名前が実はあんまり好きではない。

なのでいつも周りの人間には名字で呼ばせる。


父親の趣味はバイオリンの演奏、母親の趣味は生け花、兄は芸術大学に進学するなど文化部系の一家の中で、なぜか岡江だけはバリバリの体育会系であり、親戚からも岡江家の突然変異と揶揄されている。そのせいか、岡江が小学校のマラソン大会で上位に入っても、両親はそれほど興味を示さず、中学時代に県で上位の成績を収めても褒めはするがあまり関心を持っていなかった。


ただ、そのおかげで高校、大学とそれぞれいくつか推薦が来ていたが、岡江一人で考えに考えて選ぶことで自分の人生に責任を持つことができたのである。


元々生まれ持った素質なのか、中高大学と、ずっと各部活でキャプテンを務めている。


ただ、自分自身は走力で引っ張れる選手ではないことも自覚しており、とにかく人とのコミュニケーションを大切にする。実際に大学での彼女の実力は、長い距離は多少得意であるものの、総合的に見れば5番手である。


ちなみに中高と全国レベルの大会には一度も出場したことはなく、大学になっても駅伝では全国大学女子駅伝を走っているが、個人でのインカレ出場は一度もない。そんな自分の実力を冷静に分析し、競技として続けるのは大学生までと大学2年の秋には自分自身の中では決めていた。


卒業後は一般企業に就職するも1年で地元の市役所へ転職。1つ上の市役所の先輩と結婚し、現在は子育てに奮闘中である。最近の悩みは大学卒業後全く走っていないのに、食欲が当時とあまり変わっておらず、体重が8キロも増えてしまったことである。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る