第3話

外は一面雪、雪、雪

ここは滅多に雪は降らないのだけれども足首ぐらいまで雪が積もっていた。まだ朝早い所為か全く人が立ち入った形跡はない。閑静な住宅街の中にポツンと立っている自分が一人取り残されているかのように静かだった。

幼少期はまだ辺り一面に林が広がっていたのだが近年開発が進み住宅街と化していた。久々に見渡す近所は街だった。数年前までの景色を思い出すと想像もできなかったほどである。

気がつくと僕はこの辺りで一番綺麗な朝日が見える高台に来ていた。中学2年まで家族でよく初日の出を見ていたところだった。まだ時刻は5時にもなっていなかったのにその日の僕は日の出まで待つことにした。

けれども寒い寒い寒いとてつもなく寒い。年中家に閉じこもって快適な温度で生活している帰宅部の身にはとてもこたえた。だけれども不思議と帰ろうとは思わなかった。

しばらくすると

「ザクッザクッザクッ」

と雪を踏む音が聞こえてきた。暫く木に積もった雪が重みで落ちる音しか聞いていなかった僕にはすごく新鮮だった



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