第5話空の下の墓標
20年後
みちるはカリフォルニア郊外の小高い丘に来ていた。ジョーはここに眠っている。
整備された芝生の絨毯の上に十字の墓標が綺麗な影を落とし、
青々とした木々は街の喧騒を遮るように周りを囲んでいる。
「このへんはあの頃のままだな」
懐かしそうに周りを見渡した後、
ポケットから出した優勝賞品のブレスレッドと
二枚のカードを供え墓の上からコーラをかけた。
「ジョー、まさかこんな時代になるとはお前も思わなかっただろうよ」
みちるは空の一点、何かを探すように見つめながら語りかけた。
「フィッシュ(カモ)は全て死に、同時にシャーク(強者)も全て死んだ。
テルは意味をなさなくなり機械に魂を売り渡したものだけが生き残った」
真っ青な空は何も答えてはくれない。
「ヒトが積み上げてきたものに何も意味はなくなったんだ、あの日のアドバイスも、何もかも」
時代は変わり、人は巡る
坂を下る時、義足のシリンダーの音だけが空しく響いていた。
(おわり)
「ポーカー小説」ラスベガスのほとりにて palchan @palchan
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