第2話 高月麗奈

 天野と二人で物理実験準備室を出て、神楽坂高校のある栄町二丁目へ向かった。

 自転車で二十分強。一度も来たことはない。けど、場所はちゃんと知っている。着くと、ちょうど二限目が始まったところだった。


「どうする?」


「どうするって言われても……。各務かがみ、弟君は何組だったんだよ」


「知るか、ンなもん。用事もないのに、こんなところまでわざわざ来たことねぇし」


「何だよ!! そんな事も知らないのかよ!!」


「バカ言うな!! いくら兄弟つってンなコトまで話すかよッ!!」


「それじゃお前、ここまで来て、弟君が何組かってトコから調べなきゃなんねーじゃん」


「大丈夫。すぐ判るよ」


「何でだよ?」


「俺とアイツが何だと思ってる? 俺の顔見て反応しないでいられると思ってんのか? アイツを知ってて……ソレでもって恨まれてそうな奴が」


「……成程」


 天野は頷いた。


「でも、それじゃ余計悪いだろ? 向こうは知ってて、こっちは知らないんじゃ」


「現役を退いたとはいえ、俺のウデはまだ落ちてねェぞ?」


「何の話だよ?」


「ケンカのウデ」


「ケンカしてどーすんだ!! ケンカして!!」


「え? じゃあ、俺達何しに来たんだよ」


「だから、河村有希ってコを助けに来たんだろっ!!」


「本人にソレ、何て言うんだよ? まさか、葉月に頼まれたって言うのかよ?」


「…………」


「俺、本格的に気〇ガイ扱いされるのヤだぜ」


「遺言、とか」


「俺があいつを見つけた時、既に息絶えてたのに?」


「遺書があったとか」


「自殺じゃねェよ」


「……あのさ」


「何だよ?」


「まさか……殺されたとか……言わないよね?」


「…………」


「何で黙ってるんだよ!?」


「俺は葉月じゃねェよ。判んねーよッ!! あいつのことなんかッ!!」


 何も……話さなかった。助けて欲しいなら、生きてるうちに話せばいい。

 生きてる時に俺がかまってやっても、うざったがっただけのクセして、死んだら泣き言かよ!?

 キタネーよッ!! 一方的になんてズル過ぎだろッ!! 文句の一つも言わせろよ!! 俺を追い込んどいて、そういう甘っちょろいコト抜かしてんじゃねーよッ!! 何でもかんでもテメェの思惑通りになると思ったら大間違いだぜッ!! 


「各務?」


「結局の処、奴しか知らねーんだよ。イイ度胸だよな?」


「……各務」


「テメェの尻拭い、俺にさせようってんだからイイ度胸だよ。信じられねーくらいなッ!! 俺がそんな心広い人間かどうか、知ってるだろうに!! ふざけやがって!!」


「各務ィ」


「つまらねェコトに巻き込みやがって。この借りはきっちり返すんだろうな? それとも、迷惑料の一つも払わねェで、人をこき使うつもりかよ?

 ッザケた話だ! 冗談じゃねェ。俺はこーゆーのが一番、腹立つんだよッ!!」


「文句言っても仕様がないと思うぜ。一生鏡見れない体になってもいいのかよ?」


「文句の一つも言わせろ。俺の体だぞ」


「…………」


 天野は溜息をついた。


「何でこんな目に遭わなきゃならねェんだよッ!!」


「各務も素直じゃないな」


「あァッ!? 何言ってやがる!!」


「本当は、違う理由で怒ってるクセに」


「てめェに何が判るってんだよ?」


「わからないよ。各務が口を割らなくちゃ」


「…………」


「とりあえず下駄箱見ておこうよ。ひょっとしたらまだあるかも」


 校内に入った。


「なぁ天野、お前、自分のしてるコトに疑問持たないか?」


「何で?」


「だってユーレイだぞ? 頭おかしいと思わないか?」


「だって見ちまったもん。しようがないだろ?」


「…………」


「言いたい事は判るよ。けど、ほら、各務。お前も探せって」


「…………」


「二年のクラスで『各務』と『河村』だ。ほらぁ、探せってば!」


 しぶしぶ靴箱を、天野とは逆方向から探し始める。


「……何でこんなコト」


「お前のためだろ?」


「俺はこんなコトしたくない」


「しなけりゃ一生このままだろ!!」


「いい。鏡なんか見なくても、人間死なない」


「無精髭生やしやがって何を言う」


「無精髭で死ぬかッ!!」


「見苦しいんだよ!!」


「俺の勝手だッ!!」


「そういう問題じゃないだろぉ」


 天野が、情けない声で言う。


「早く、何とかしたいだろ?」


「…………」


「何でこんなコトしてると思ってんだよ」


「俺は頼んでねェ」


「頼まれもしないのにやってんのは、放っとけないからだろーがっ」


「お前はホント、うっとおしい奴だな」


「ありがたく思えよっ」


「…………」


 あ。


「しっかし、ないなぁ。何処だよ。お~い、ちゃんと探してるかぁ?各務」


「…………」


「お~い?」


「…………」


「こらぁっ!! 探せってば!!」


 天野がやって来る。


「……何、固まってんだよ」


 俺は無言で指を差す。天野は近寄ってきて覗き込む。……『河村有希』。


「あった!!」


 ……せめて、コレがなければ、何かの間違いだと思えたのに……。


「あったじゃん!! コレで安泰だな!! 各務!!」


 ……どうしてコイツの発想はこうよ?思わずがっくりと力が抜けた。


「何? どしたの? 各務」


「……お前、元気だな」


「は? 何言ってんだよ、各務。成程、3-Cね。道理でないと……えっ!?」


 天野は俺を振り返る。


「え!? 何で!? 各務、二年生じゃん。どうして双子で……えっ……? まさか!!」


「……今頃、気付くなッつーのッ」


 コイツ、マジでこれかッ!! 蹴り入れたろかッ!! ッたく!! 


「……知らなかった……」


「同じ中学で知らなかったのは、お前くらいのモンだよ」


「それは……ごめん」


「……年少入ったことあってな、遅れたんだ」


「えっ!? ネンショウ!?」


「『少年刑務所』だよッ!! マジで知らねーのかッ!? えッ!?」


「ええっ!? 何で!!」


「別に。話すことでもない。……けど、何でお前知らないんだよ?」


「……えっ……だって俺、友達いなかったし」


「…………」


 ……ま、考えられるコトだ。コイツ、虐めがいありそうだしな……。


「各務が初めての友達なんだ。仕方ないだろっ! イイじゃん。過去の話は」


「ま、そうだな」


 お互い触れたくないしな。面白くもない。


「クラスは判った。で、どうしようっての?これから」


「行くんだろ?」


「バレバレじゃねェの? 他校なの、さ」


「ここまで入って来て、今更ないだろ? まさか、この『河村』さんに手紙でもすんの? 絶対悪質な冗談としか思われないだろ?」


「面と向かって『あなた、誰かに狙われてませんか』って聞く気か?」

「それも……そうだな」


「普通、男二人で、しかも他校のが押し掛けてったら、怪しまれねェ?」


「そうか。けど、だったらどうすんだよ?」


「……レナ、手伝ってくんねェかな」


「……は!? 何!? 今、何って言った!?」


「だから、高月麗奈たかつきれなだよ」


「あの、『機械人間』か!?」


「だって、俺ら、他に女の知り合いいないだろ?」


「アイツがこんなこと、手伝うわけないじゃん」


「一応、な」


「……やめておいた方が」


「今なら、休み時間だな、うちのガッコ。スマホに掛けるわ」


「やめとけってば!!」


 天野には構わず、電話を掛ける。


〔……はい〕


 無機質で無愛想な、女にしては低めのアルト声。


「レナ?」


〔……佳月か〕


「悪い、ちょっと頼み事あるんだが……暇か?」


〔これから授業だ〕


「そんなのは判ってる。……暇か?」


〔何の用だ? 外か?〕


「出て来れるか?」


〔今すぐか? 随分非常識だな〕


「まあな。……で?」


〔三時過ぎじゃ駄目か?〕


「もうちょっと早くならねェ?」


〔……本当に非常識だな〕


「駄目か?」


〔判った。で、何時だ?〕


「今すぐ」


〔それは無理だ〕


「じゃあ、三時に神楽坂高校前」


〔神楽坂? なんだ、それは〕


「場所、知らねェか?」


〔……場所は知ってる。栄二丁目の『つつじや書店』の向かいだろ?〕


「そう」


〔いったい何なんだ?〕


「悪いけど、女を一人、呼び出して欲しいんだ」


〔……ナンパなら、もっとスマートな方が良いと思うが?〕


「俺の女じゃねーの。葉月のだよ」


〔ふぅん。私を使うなんてえらく度胸がイイね? 大体において、交渉役とかは不向きな体質なんだけど……それでもいいっての?〕


「お前にそんな高度なコト、頼まねェよ」


〔判った、三時に行く〕


「サンキュ。恩に着るわ」


〔今度何か奢れ〕


 そう言って切れる。


「……良いってよ」


 天野は一瞬固まる。


「ええっ!?」


 大袈裟に驚いて、


「何て!?」


「ユーレイのことは内緒な。絶対言うなよ。……鼻で笑われる」


「……判った」


 うん、と天野は頷いた。


「で、どうする? 三時にここで待ち合わせなんだけど」


「とりあえず作戦会議だ。近くにファーストフードあったよな」


「……会議、ね。お前に任せた」


「バカ野郎、何言ってんだ。お前も考えるの!!」


「あァン? 俺にそんなアタマ回ると思ってンのかよッ!! おいッ」


「……脅し掛けるなよ、親友に」


「お前もコレくらいでビビるなよ」


「悪かったな!! 小心者で!!」


「ま、とりあえず、移動だ」


 会議という名の時間つぶしのため、一番近くにあるファーストフード店へと向かった。



   ◇◇◇◇◇



 二時五十分、神楽坂高校校門前。


「お、来たな」


「……来たよ。迷惑な『先パイ』だコト」


 いつもの無表情でレナ。頭の形がわかるような、いっそ潔いほどのショートヘア。色素の薄い髪と瞳に、白すぎる肌。

 すらりとした、と言えば聞こえは良いが、最小限の凹凸しかないため、制服ならばともかく私服だと性別が不明になる。

 美人なのは確かなのだが、中性的で整いすぎている上、とにかく無愛想で無表情なので、正直真顔で見つめられると、ちょっと恐い。

 天野が『機械人形』だなんてあだ名を付けたのも、そのせいだ。クールというより、人や物にあまり興味がないだけなのだろう。

 一年生のくせにやたらと不貞不貞しい。


「どうもアリガトウゴザイマス、お美しいレナお嬢様」


「佳月に媚びられると気持ち悪い」


 さらりと一言。絶句する。


「……さすがは女王サマ」


 ぼそりと天野は呟く。レナはちらりと冷たい視線を走らせる。天野は固まった。


「で?」


 ついっと見上げて、冷たく問う。


「呼び出すのは『3-C』の『河村有希』だ」


「『各務葉月』の件、で良いんだな?」


「頼む」


「佳月が言った方が早いんじゃないの? 顔見たらすぐ判るだろ?」


「……俺が行ったらビビらせるだろ」


「そりゃそうだ」


 レナは言い切った。


「…………」


「期待はするな」


 睨む俺にそう言って、レナは校内へ入って行く。


「こういう時、レナの傍若無人も役に立つな」


「……他校でも物怖じしない……女にしておくのは実に惜しい逸材だ」


「男だったらマジで恐いよ」


「女でも十分だ」


 レナは真っ直ぐ校舎の中へ入って行った。


「しかし『河村有希』か。一体どんな女かな」


「美人かな?」


「たぶん、レナよりは女らしいと思うぜ」


「って言うか、アレは女じゃない」


「黙ってりゃカワイイんだけどな」


「黙ってりゃとかいう問題じゃない。アイツは生きて存在するだけで恐い」


「そこまで言うか?」


「ひょっとして各務、アイツの顔、好みなのか!?」


「……うるせェよ」


「ええっ!? やめた方がイイぜ!? 殺されるぞ!!」


「違うって!! そんなんじゃねェよ!!」


「各務ィ、目ェ醒ませよぉ」


「俺は正気だ!! おかしいのはお前!! あんなの俺だって願い下げだってーのッ!!」


「なら、イイけどさ」


 その時、終業の鐘が鳴った。


「……お」


「もうちょいだな。うまく、捕まえられるかな」


「って言うか連れて来られるか、じゃないの?」


「……それは一理ある」


「アイツ、滅茶苦茶無愛想魔人だからな。恐がられて逃げられたらどうするよ?」


「顔、判らないからな」


「……言い出したのは、各務だぞ」


「判ってるって」


 校舎からばらばらと人が出て来るが、レナはなかなか出て来ない。時計を見る。三時六分。授業終わってまだそんなに経ってない。

 話し合いに時間が掛かっているのかも知れない。校門に近付く。

 ……ひそひそ声。振り向く。何か喋っていた女子生徒が、不意に黙り込み、背を向けて逃げるように去る。


「まずいよ、目立つよ。各務」


「別に良いよ。かえって良くねェ?」


「……お前な」


 諦めたように天野は溜息つく。


「目印になってイイじゃん」


 校門前に真っ直ぐ立つと、ちらちらと視線を感じるようになる。話し掛けてくる者はないが、指差す者もある。


「人様に指差しちゃいけねェッて教育してやろうかなァ」


「やめろって各務!!」


「ンだよ、止めんのか?」


「当ったり前だろ!! その、ヤンキーみたいなのやめろって」


 と、向こうからレナが女三人連れてやって来る。


「お、捕獲成功したか」


「……各務」


「おっ、思ってたより可愛いな!」


「おい、ナンパにきたんじゃねーぞ」


「……あれあれ、真ん中」


「……え? うわ、カワイイ!」


 ルーズな三つ編み。清楚な美少女。お嬢様風。スタイルもイイ。


「……あったま良さそう」


「各務じゃムリじゃない?」


「判ってるっつーの、うるせェ」


 レナが近付いてくる。


「来たよ」


「どうもご苦労様」


 レナの後ろの三人組は、俺の顔を見て硬直した。


「初めまして、各務佳月です」


「天野司です」


 ぺこりと礼をする。


「レナ、ご苦労様」


「それは帰れと言う意味? 呼び出してこき使っておいて、随分だコト」


「……判った。もうちょっと付き合ってくれ」


「奢ってくれるんだろうな?」


「……え? あ……ああ、奢るよ。約束だしな」


 レナは白い目で俺を見る。……くそ。


「ええっとお呼び立てしたのは、他でもない弟の葉月のことで……」


「……私達には関係ありません!」


 右脇のボブ・カットが言った。


「は!?」


「……私達は彼とは何にも関係ないわ!!」


 左側のポニーテール。真ん中の美少女は何も言わない。


「……待った、河村有希さん!!」


 真ん中の少女の腕を掴む。


「っ!!」


 美少女は目に見えて、怯えた顔をする。


「ちょっと!! 何するのよ!!」


「……葉月は殺されたんだ!! アイツはアンタのこと、気にしてた!! 何か、知ってるのか!? 何か知ってるなら、教えてくれ!!」


「!?」


 美少女は目を見開いた。


「……頼む」


 けれど、美少女は黙って俯く。


「離しなさいよ!! スケベッ!!」


 ポニーテールが腕を振り払う。ボブ・カットが庇うように間に入る。


「話はそれだけ!? 帰るわよ!!」


「待て!! 何も聞いてない!!」


「……私達と各務君は関係ないわ!! あの人、有希のストーカーだったのよ!! もう、構わないでちょうだい!!」


「……えっ……!?」


 硬直した。……真っ白になる。


「……何……っ……だって……?」


「あの人は、有希をストーキングしてたのよっ!! 有希はやっと解放されたんだから、これ以上構わないで!!」


 ……そ……んな……っ……!! 


「二度と近付かないで!!」


 ……嘘……だっ……そんなっ……葉月が……あいつがっ……!! 


「嘘だ!!」


「嘘なもんですか!! 有希は迷惑してたのよ!! これ以上、迷惑掛けないでよ!!」


 三人は行ってしまった。


「各務」


 天野がぽん、と肩に手を置く。


「……そんなバカな……」


「悪い……俺が余計なこと言ったから……」


「……違う!! そんなっ……だって……!!」


 思わず叫ぶ。……アイツはそんな奴じゃ、ない。確かに俺はアイツのこと、ろくに知らないけど……でも、そんなの、絶対違う!! 


「……各務……」


 嘘だ!! 


「『嘘』、だな」


 レナがぽつり、と呟いた。


「え?」


 思わず、レナの顔を見た。


「『河村有希』の唇がそう、動いた」


「は?」


「声には出てなかったケド。ところで、佳月、『河村有希』の顔知ってたの?」


「知らない。たぶん、あの子だと思った」


「良かったな、当たりだよ。外れてたら相当恥ずかしかったな」


「どういうことだよ?」


「それは本人に聞いた方がイイんじゃない?」


「どうやって」


「ま、あの『友達』が邪魔だね」


 レナは冷たい笑みを浮かべた。


「レナ?」


「……こっちだ」


 そう言って、すたすたと歩き出す。慌てて追い掛ける。

「おい?」


「佳月は女、苦手だろ」


「へ?」


「あれじゃ逃げられても仕様がない」


「悪かったな!!」


「知りたいんだろ?」


「うん? ああ」


「任せておけ」


「何を……」


 さっきの三人組の背中が見える。いきなり、レナは駆け出した。


「!?」


 止める間もなく、レナはその友人二名をラリアットでぶちのめした。


「なっ!?」


 あまりの事にとっさに声が出ない。


「……なっ……!!」


 レナは息も切らさぬ、無表情で言う。


「ちょっと話があるんだけど、イイ?」


 美少女は硬直している。


「おッ前!! 脅してどうすんだ!! この暴力女!! 何てコト……ッ!!」


「うるさいよ、佳月」


 冷たい目で一瞥。


「……来て、くれるわよね?」


 レナは冷たい微笑を浮かべた。悪魔のような。美少女は、震えながら、頷いた。

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