ヤンデレストーカーの恋愛事情

@TAA

第一話 大すキな君

耳をすましていた…少し汚れている音楽プレイヤーを手に、今日も帰りの電車のなか…


窓の外から差し込む暖色、どこが人に憂鬱を感じさせる風景だったが、少女は違った。


電車を降り、帰宅ラッシュの波に流され、気づくと、もう駅の外だ。


少女はバックに手を入れ、随分使い込まれている、手帳を取り出す


「えっと、確かこの近くに…」一人でつぶやき 、不気味に笑っていた…


上機嫌になった少女は、バックに手帳をいれ、鼻歌交じりに駅をあとにした。


「ここかー」少女は目を光らせ、ことばをこぼした。


「綺麗な家だね!では早速…」


ピンポン!ピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポン…


「あれ、いないのかな?もしもし?ねえ、いますよねーもしもーし、あれ、む、無視ですか…」


お察しの通り、少女はストーカーです、しかも相当下調べをしたようだ…


「叶多くんーいますよねー、開けてくださいなー」


叶多くん、少女が一目惚れした男子、小さくて、童顔ゆえ、学校では相当人気な子だ。


「入っちゃいますよー、いいんですかーほら行きますよ…ってええ!?」


少女が驚くのも無理はない、なぜなら扉は、鍵ところか、半開きのままだったから。


これは少女の今までのストーカー歴のなかでも、相当珍しいパターンだ。


「ほ、ほうほう、め、珍しいですな…お、おお、お邪魔しまーす…って…」


そっとドアを開け、少女は登校用の靴をきっちり並べ、中を覗いた。


「暗いですね…電気つけますねーんって、スイッチ、スイッチ…」


薄暗い玄関で、少女は壁をたどりながら、スイッチを探す


「あった!ポチッとな!…どぅわああああああああ!?」


薄暗く見えなかったが、長く伸びる玄関の奥に、誰かが蹲っていた…


「叶多くん?なんだ…いたなら、応答してくれてもいいのに…」


「…」


「って無視ですか…」


「…」


「冷たいですね…叶多くんー…あれ?泣いてます??」


男の子は頭をひざに埋め、嗚咽をあげながら、体を震わせていった…


「そんなに!?いや、その、そういうつもりじゃないんだ、アハハ…謝りますから…くう…叶多くんこういうのに弱いなんて、知りませんってしたよ…」


動揺を隠せない少女は 、男の子に近寄り、顔を覗こうとした…


「怒ってます?すみません、本当にそういうつもりで…っううう!??」


「どこにも行かないで!!」


「えええ!?か、叶多くん!?」


抱きついてきた、目の前の叶多くんに少女は驚きを隠すことができなかった、なんせ自分が惚れた相手にこんな事されたから…


「お願い…一緒に居て…」


「は、はは、はい…どどどこに行きませんよ!」


少女の胸に顔を埋め、涙を流し続けた訳は 、のちに彼の口で話された…

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