第15話 真夜中の闘い(後編)


ズズーーン




下半身だけとなった石像が倒れる



でも、そんな姿をのんびり見ている事も出来ない



もう一体の石像が私のいた位置に巨大な拳が叩きつけられる



まぁ、後ろに下がっているけれどね




もう一体かー、どうせだから魔法で戦ってみようかしら


そうね、どうせだしそこそこの難易度のアレをやろうかしら



爪を背中に戻し、片手を自由に動かせることを確認する



「鏡、これから6式魔法戦を行います。壁を頼みます」


「はい、王妃様」


鏡を中心に半径50mくらい、乳白色にも見える魔力による壁ができる



「1」


無詠唱で壁の範囲内に、魔力の小さな板を大小合わせて400ほど散らばせる



それを感じたであろう石像は、さすがに不味いと思ったのか、板を握りつぶしたり蹴り飛ばしたりしている


ふふっ、そんなので全部壊せないわよ?



「2」



板を石像の手足の関節、石像の核がありそうな心臓部分と脳の部分へと角度を整える


石像は常に動いているから、ちょっと集中力が必要ね



板をこちらに向かって投げつけようとしたけれども・・私の魔力で作った板よ?



「3」



位置の修正が終わった板へ向けて一斉に魔力弾を放つ



カカカカカン



板に弾かれ、狙いを定めた場所へ弾が向かう



時限式にしてあるので、石像の表面を薄く削った後に一拍おいて・・




ズガガガガガ




腕、脚、首、それぞれのパーツが胴体を離れて行く


その胴体も心臓に当たる部分には大きく穴が開き、無数のヒビが入っている



パチン



指をならす




チュドーーーーン




無数に散らばった板が、一斉に爆発する



板の破片がガスガス壁に当たる



ついでに私と鏡の前に張られた防壁にも突き刺さる



んー




爆発によって巻き上げられた土ぼこりを、風魔法でまとめ壁の外にポイ




目の前には粉々になった石像のなれの果てと、熱で乾いてしまったのか、手のモンスターの手首らしき土の出っ張り



ふぅ、やっぱりまだまだダメね。魔力が少ないせいのかもしれないけれど、思ったよりも細かい調整がきいていない

魔力弾の反射タイミングも、全体的にズレていたわね



あ、ちなみに6式魔法は、遠距離魔法殲滅戦で主に使用される戦闘法

板も超広範囲に広げるために術者、観測者の2名で通常行われるのだけれど・・今回みたいに至近距離で使う場合は、一人で全てを調整しなきゃいけないのよね



ま、そこまで大変でもないけれど



「鏡。やっぱりもう少し慣らすか、この者のレベルアップをさせないと動きにくいわ」


「はい、王妃様。その者のレベルアップを急がせるよう、こちらでも手を打ってみます」


「ええ、あまり無理はしなくても良いのだけれど、出来ればお願いね」


「はい、王妃様」



いざ強い敵と当たったときに、なんだか思うように動けませんでしたーじゃ、万が一が起きてしまう可能性が出てしまうし



うん。石橋は叩いて渡っていかないとね





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