第14話 真夜中の闘い(前編)
ガナバトスの町から南へ海岸線?に沿いながら次の町へ歩いていく
んー、なんだか地面が湿っぽいわね。やっぱり日が当たらないからなのかしら?
ぴょんぴょん跳ねながら遊んでいる青と橙の動物を横目で見つつ、鏡とこの者の冒険譚を聞きながら進んでいく
鏡、発言の後に、王妃様でしたらーとか、王妃様にかかればーとか・・うん、そう言うのいらないからね?
あ、ようやく魔物っぽいのを発見!
「鏡、あの手だけ出てるのは魔物?」
「はい、王妃様。あれは魔物でございます。ただ、全く強くありませんので無視してもよろしいかと」
こんなユニークな魔物もいるのねー
手だけの魔物かー
ん?
今、私に向かって、こいこいって手が動いたわね。意志疎通とか出来るのかしら?
「あ、王妃様。その魔物は仲」
「大丈夫よー。ちょっと試すだけだから」
ワクワク。もしかしたらジャンケンとか出来ちゃったりして?
魔物の近くまで行って、しゃがみこんで観察してみる
うん、面白いわねー。泥が循環しているみたい。そのままだと乾燥してしまうものね
よし、ジャンケン試してみよう!
「じゃーんけーん、ぽいっ」
私はチョキ、魔物はパー・・まぁ、ビクッと動いてそのまま固まっていたからね。手を開いたまま
「じゃーんけーん、ぽい」
また私はチョキ、魔物はパーのまま
いつの間にか手が2個に増えていたけど、お仲間さんかな?
「じゃーんけーん、ぽい」
あ、負けた・・いつの間にかグーになってる魔物の手!
魔物の手同士でハイ?タッチしてる!なにこれ悔しい!
気付いたら3個に増えてる手なんてどうでも良い。こいつをジャンケンで打ち負かす!
「じゃーんけーん、ぽい」
今度はグー同士のあいこ
ぐむむ、こいつ私がチョキしか出せないとか思ってるな!目にもの見せてやるっ!!
ドスーン、ドスーン
なによ、うるさいわねっ!
地響き立ててやって来たのは、大きな大きな石像でした
それも2体
・・よ、よーし!予定通りなんだから
「鏡、あの石像はどこから来たの?気配があまりしなかったのだけれど」
「はい、王妃様。あの手型の魔物が呼び寄せた魔物でございます。手型の魔物は、手を動かすことで思念を飛ばし、応じた魔物を空いている戦闘スペース近くに召喚するため、気配を事前に察知するといったことは難しいとの情報がありますね」
なるほど・・ねっ!
石像からの踏み下ろしを横跳びでかわし、着地と同時にその足へと駆け出す
走りつつ妙にフィットする爪と盾を装備すると、いつの間にか口角が上がっていた
さっきの踏み下ろしを見た限り、そこそこ手応えがありそう
準備運動にはバッチリね!
振り上げた右の拳を叩きつける素振りが見えた私は、爪を石像の右腕を見上げ、その根本あたりに向け振り下ろす
ブォン
スパン
良い切れ味ねー
爪から出た真空波が、石像の右腕を根本から刈り取る
「あぶないわ・・ねっとっ」
落ちてきた腕だったものを、もう一体の石像に蹴り飛ばす・・はずが、蹴り抜いてしまった・・
あー、細かい破片が飛んでいっているけれど、あれじゃ意味無いわね
そんな事を思いながら、後ろも見ずに盾を構える
ガギィン
いったーーっ!
上手く受け流せたかと思ったのに・・やっぱり質量差がありすぎると、かすっただけでも衝撃がとんでもないわね!
片腕のせいか、勢いの落ちた石像パンチを盾で受け流し
懐に潜り込んで、パンチ
ズガガガガン
ん?
景気の良い音が聞こえたけれど・・って、あら?
目の前にいた石像が、下半身を残して崩れ去っていた
えー
・・後半へ続く?
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます