第52話 魔都に漂う者 6 VSヨハンセン

 ヨハンセンは音もなく飛び掛かったが次の瞬間、腹部の衝撃と共に吹き飛ばされていた、ヨハンセンは驚愕しながら腹部を押さえる、見えたのは飛び掛かりトワに手が届くと思った瞬間、トワの足がいつの間にか腹部を蹴り飛ばしていた。


「き、貴様、人間か!?」


 ヨハンセンの問いに応えずにナイフ抜いて構えた。


「まあ、答えなくても構いませんよ、しかし今宵はいい夜だ、高貴な血筋しかも処女の血肉が手にい入るですから、多少の障害が有れば手にいれた時の悦びも一入ですよ」


 トワが無言で切りかかるが、手応えがおかしいので飛び退く、そこにはヨハンセンだった物が立っていたが、崩れ落ちる注視すると中身が無くなっている感じだ、例えるなら蛇の脱け殻だ。


「人が喋っている時は黙って聞け、そんなマナー違反は死刑、死刑、死刑し、し死刑ししし、死刑」


 首筋に危険を感じ、しゃがみ脚力で横に跳ぶ、トワが立っていた位置に片腕が蟷螂の鎌を彷彿させる形状で、全身は黒く頭に二本の捻れた角があり、瞳は血の様に紅く、背中からは翼が生えていた。


「・・・人間やめているのはそっちだろう」


 ヨハンセンにナイフ投げながらトワは距離を詰めるが、ヨハンセンは翼を使って飛翔し回避する。


「ふふふ、拍子抜けですな、驚きましたが人間の規格ですね、さて時間を掛けてご主人様をお待たせするのは執事失格から、さっさと終わらせましょう、私は紳士ですからね、最後に言い残すことぐらいは聞いてあげましょう」


「ツペェシュ男爵は人間じゃないのか?」


「ツペェシュ様は永遠不変の命を求められた結果、召喚に応じた悪魔と契約なされて、それを手に入れられたのののだ、定期的に若い娘を喰わなければばばばならなくなったがな、そんなもの些細ななななこと、ツペェシュ様から力の一端を頂なけれれれれば分からんことよ」


「なるほど、話は分かった」


「そうですか、それではささささようならです」


 ヨハンセンは急降下して鎌をトワの首もとで振るう、トワはナイフで鎌の攻撃を受け流して防ぎ後方に跳ぶ。


「よく止めましたね、しししかし、これならどうですか?」


 ヨハンセンはもう片方の腕も鎌の形状に変化する。


「悪魔と言うより、もはや蟷螂だな」


「わわたわた、私を侮辱したな、ししし死刑」


 ヨハンセンは急上昇して腕を交差させ、そのままトワに向かって急降下する。


「しーねー」


 ヨハンセンの攻撃をトワはスウェーバッグで回避してナイフを持っていない手を手繰り寄せる動作する。


「グギャャー」


 トワの手に地面に刺さっていたナイフが収まる際に、軌道上のヨハンセンの翼を切り裂いていた。


「翼が、私の翼が、きき貴様、殺す、殺す」


 ヨハンセンは背中から血を流し叫びながら地面を転げ回っていた。


「立てよヨハンセン、自分もお前に時間を取られるわけにはいかないからな、次で終わりにしよう」


 ヨハンセンは口から涎を垂れ流しなが立ち上がり腕を交差させる、トワも両手に持ったナイフを交差させる。


 同時に駆け出して両者が狙うのは己の得物による首狩り、二人が交差すると一つの首が飛ぶ、首を飛ばされた体を蹴り飛ばすと、体だけになったが飛ばされ地面を這うと、ビクンとなり得物を振るうが虚しく空を切る。


「目標沈黙を確認、次の行動に移行する」


 トワはマリアとキティの元に向かって歩き出す。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る