第17話 朝稽古
客室に着いたら軽装の騎士が座って待っていた。
「すいません、遅くなりました」
騎士は最低でも30分は待たされているはずなのでまずは謝罪をする。
「こちらも朝早くから申し訳ない」
騎士の男は思いの外に腰が低くかった。
「それで自分に要件が有ると?」
この星に着いてからそんなに知り合いが出来てないはずなので、自分を名指しで来る人物がいた事に少し警戒する。
「はい、自分はユリアナ教会騎士警備隊長のマルキスと申します、要件ですかが聖女様の護衛で聖女様が指名されましたので護衛の依頼を」
「聖女?すいませんが聖女様に知り合いは居ないはずですが」
「教会騎士のユーラと聖女のアリアナ様です」
確かにその二人は知り合いだったが、まさか教会の騎士と聖女だったのか、しかしアリアナが指名して護衛させるのは何故だ?
「質問しても」
「構いません」
「教会の聖女の護衛に自分で言うのも何ですが、こんなに怪しい人物に護衛をさせるのはどうしてですか?」
「確かにその通りですが、今回は脅威になるのが教会内部の人間ですので、教会に関係が無くしかもかなりの力量をお持ちでアリアナ様が信頼しておられと聞き、トワ殿に是非とも護衛してもらいたく」
「護衛をするのは構わないが四六時中は護衛に就く事は出来ないが」
「自分とユーラともう一人の教会騎士とトワ殿で護衛に当たろうと考えておりますので」
説明を受けると一人頭8時間で前後2時間に他の護衛と重なって護衛に当たる。
「了承した」
「報酬は1日に付き金貨10で戦闘になれば別途報酬を用意します、宜しいですか?」
「金が欲しい訳じゃないから、適当で構わない」
「そ、そうですか!?失礼ですが、変わった人ですね」
「城に世話になっているからな衣食住に困って無いし、余計な物は持たない様にしている、それで護衛は何時から就けばいい?」
「昼に教会までお越しください」
「了解した」
「それでは失礼します」
マルキスが帰り入れ違いでキティが入って来る。
「トワ様、朝食がご用意出来てますので参りましょう」
部屋に朝食が準備されてあり席に座るとキティ斜め後ろに立つ。
「なぁキティ」
「何でしょうか?」
「気になるのだか」
「何がでしょうか?」
「立っているのが」
「分かりました、朝食が終わりましたら声をお掛けください」
部屋から退出しようとするキティを止める。
「待った、そこの椅子に座って」
「は~あ?、失礼します」
トワは空いているコップに果実のジュースを注いでキティに渡す。
「え~と、どう言う事ですか?」
「自分だけが食事するより良いだろ、お互い座っている方がいいだろ」
「え、それって」
トワは回りで忙しなく動く人がいると気が散るから座らせただけで、呼び止めたのは食事の後に声を掛けるのが手間だっただけだが、キティは嬉しそうな顔をしながら耳がピョコピョコしながらこちらを見ている。
「ふふ」
「どうかした?」
「何でもないで~す」
「そうか?」
キティは食事が終わるまで終始笑顔でいた。
食事が終わり何時もの服に着替えた、教会に行く時間まで城内を適当に歩くと修練場に出るとレイアーボブの少女が大の男を倒していた。
「何してんだステラ王女様」
今日の朝に会った時までドレスを着ていたが、ハーフパンツの動きやすい格好になっている
「やぁトワくん、何って訓練だよ」
「王女様が訓練で大の男を倒すって近衛意味無いだろ」
「いやいや、最後は自分の身は自分で守らないとね、あとエリーやマーニャ姉さんも守りたいから」
「確かに自分の身は自分で守のが一番だな、それでも立派だな、しかもけっこうな腕前だな」
「ありがとう、でもトワくんも強いでしょ」
ステラは近くの机からナイフを放り投げる、トワがキャッチするのを確認してナイフを構える。
ナイフの刃を見ると刃引きがされてあり訓練用だった。
「トワくんの得物はナイフでいいよね、って言うかトワくんのナイフ凄いよね、あんなに綺麗なナイフ初めて見たよ、それにトワくんのナイフ捌き、あの流れるような軌道を描けるなんてすごいよ、だ・か・ら手合わせしよ」
「いや、自分に利点が無いだろ」
「あ~も~、分かったよ勝ったデートしてあげる」
「おい、はな・・しを」
話の途中だったがステラが切り込んで来たのを体を反らして避ける。
「ステラ王女イケー」
「ステラ王女そこだー」
何度か避けて防戦しているといつの間にか、訓練中の兵がギャラリーになっている、しかしステラはスピード重視の手数勝負のようだ。
ステラのナイフが間接を狙ってくるが避ける、胴を薙ぐ動作に合わせトワはナイフで軌道を変え無防備になっている首筋にナイフを沿わすとステラは手を挙げ降参する。
「ぶ~う、参った降参」
「ふー、王女様過激だろ」
「つか、トワくん全然本気じゃないでしょ、僕これでも騎士団のトップ10の実力者なのに、これなら団長といい勝負できるかも」
「いや、それより」
「分かってるよ、後日デートしてあげるから空けといてね、じゃあまたね」
「いや、違っ」
話の途中だったがステラは次の訓練に行った。
ステラを観てると王女のイメージが壊れるな、あ、でもマリーを観てると王女のイメージが更に美化されるから丁度いいのか。
しかし、ステラに教会までの行き方を聞きたかったのだが、まぁいいか門番に聞いて行くか。
門番にユリアナ教会の行き方を聞くと思いの外にユリアナ教会は王城から近く予定の時間より早く着いたが問題無いだろうと思い教会の門を叩く。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます