第16話 早朝に王女とメイド

 夜にエリザが手を繋いで欲しいとお願いされて眠ったので離そうとしたが、エリザが握りしめて離そうとしてくれないので椅子に座ったまま眠った。

 朝になりエリザが目を覚ましたので声を掛ける。


「おはようございます、お姫様」


 エリザがびっくりしながらこちらを見ると同時に扉が開く。


「エリー、おはよう」


「こ~らステラ、エリーは病人なのよ」


 勢い良く部屋に入ってきたステラに続いてマリアが入って来るとこちらを見て固まった。


「な、なな、何でトワくんがエリーの部屋に?」


「そ、そうですトワ様」


 トワが事情を説明しようとしたら廊下の方から声がする。


「トワ様~、トワ様~どこですか?、あ~、トワ様見つけました」


 声の主はキティだった、どうやら自分を探していたようだが?


「どうしたキティ?」


「も~探しましたよ、夜起きたらトワ様いないんですからって、え」


 キティも王女二人と同じように固まった。


「とーわーくーん、夜からエリーの部屋に!?」


「どう言うことですかトワ様?」


 王女二人が凄い形相で迫ってくるので、自分が説明しても聞く耳を持たないと思いエリザから説明してもらうようにエリザを見ると。


「あれは夢じゃなかった、あれは夢じゃなかった、え、じゃあ異性の方にお姫様だっこされた、え、あれ」


 何だか自問自答してポンコツの機械のようだ、しかしこの状況は不味い。

 ポンコツになっているが握った手を離そうとしないエリザ、迫ってくる王女二人にメイドも参加して逃げ場がない。


 それから30分位マリアを筆頭にして説教を受けた頃、ようやくエリザが戻って来たのでエリザから事情を説明すると、今度は王女二人とメイドが平謝りにチェンジする。


「本当に申し訳ございません」


「いえ、もういいですよ」


「あ、あの~、トワ様」


 エリザがおずおずと尋ねてくる。


「どうかなされましたか、エリザ様」


「トワ様、敬語はお辞めください」

「そうですわね」

「そうだよ」


 エリザ、マリア、ステラが敬語を辞めろ言ってくる、まあもともと敬語をあまり使わないからたまに敬語じゃない言葉が出てる気もするが。


「分かりました」


「トワ様」


「ああ、分かったよ」


「他にも私の事はエリーとお呼びください、その代わりトワ様をトワ兄様とお呼びしてもいいですか?」


「構わないがお兄様って柄じゃ・・・分かったよエリー」


 エリザが泣きそうな顔になりトワが折れると王女二人も参加してくる。


「私はマリーもしくはマーニャでオススメはマリーです」


「僕はステラって呼んでね」


「分かったよ、マリー、ステラ」


「トワ兄様、私は本当に病気が治ったのですか?」


「ああ、夜にも言ったが病は治ったが体力が落ちてるいるので、軽い運動から慣らせば走る事も出来るよ」


「まあ、多少術後観察と経過観察を兼ねて暫く王都を活動拠点にするから何かあれば呼べばいい」


 トワの言葉を聞いてエリザ達は嬉しそうな顔をする。


「とりあえず、街で拠点になる宿を探さないと」


「何言ってんだよトワくん、そんなのお城にすれば良いじゃない」


「いや、只の旅人がお城を拠点にするって」


「いえ、トワ様はオルターを看取った恩人なので問題はありません、それよりもオルターの国葬が近日中に執り行われるはずですのでトワ様に参加の依頼が来る筈です」


「そうなのか、まあ、そうだよな国葬に参加するなら、お城にいた方が都合がいいのか?」


 そう言えばキティが自分を探していたような。


「キティ、自分を探してた理由は」


「あー、忘れてましたトワ様に面会したいと申されているお客様です」


 客?誰だ?知り合いに城に行くとは言って無いが?


 キティの案内で客室までに行く事にする、そこには王都でのトワの行動が決める人物がいた。

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