第15話 夢うつつ

 食堂に入ると国王のベガに王妃と王女のマリアとステラが席に座って待っていた。


「すみません、遅れましたか?」


 トワが入ってきた事に気が付いてこちらに視線が集まると王と王妃は想うところがあるのか遠い目をしている、王女の二人は何故か照れている、何故だ?


「あ~、やはりこの服装似合わないですかね?」


 やはりこの服装が可笑しいのか?


「いえ、良くお似合いです」

「うんうん、似合ってるよ」


 マリアとステラが誉めてくる。


「いや、良く似合っておるぞ、その服はレイが催事用に着ていた物だったが、それを着ていると別人と思えぬであるな」


 ベガに言われ今着ている服がレイの物だった事は正直驚いた。


「よろしいのですか?そんな大切な物を見ず知らずの者に着せて」


「構わん、報酬の1つとして受け取ってくれ、さぁ、何時まで立ってないで座りたまえ」


 キティに席まで案内され、椅子をキティが引いて席に座るとキティは斜め後ろに控えている。

 王族の豪華な食事に舌鼓を打ちながら他愛もない話をして時間が過ぎる、食後のお茶を飲んでいながら会話をするとベガが本題を切り出してくる。


「オルターに会った際にキリングジャイアントゴーレムが討伐されていた事について何か知っておるか?」


「何処からか現れました白銀の巨人が現れて倒してくれました」


 客間的に見た場合の状況を伝える事にした、パイロットトワが乗ったロボットレイドがゴーレムを倒して行ったが事実だが、この星ではトワは異物なのだ、エリザの件に対してトワは間違っていないと思っているし、火の粉は振り払うのに出し惜しみはしないが、情報は提供する気にはなっていない。


「白銀の巨人!?その巨人は何処に」


「巨人の行方は分かりません」


「情報を感謝する、すまないがワシは失礼する、トワよゆっくりするが良い、臣下を召集せよ」


 ベガは近くの兵に声を掛けながら食堂から出ていく。

 王妃も体調が優れないので食事の最中に部屋に戻ったので、この場には王族は王女の二人だけが残っている。

 少し雑談をして夜も更けてきたので部屋に戻った。


「お疲れ様でした、御用があれば隣の部屋に居りますのでお声を掛けてください、お休みなさいませ」


 最初に部屋戻って就寝の準備をしていたら、何時の間にかに寝巻きなっているキティが寝室のソファーベッドで寝ようとしているので止めた、マリア達からメイド待機用の部屋にベッドがあること聞いていたのでそっちで寝るように言った。

 自分だけベッドで寝て同じ位の少女をソファーに寝させる事はしないと言って、キティは渋々メイド用の部屋に戻った。

 戻る際にキティの顔が少し赤かったが大丈夫だろか?


 キティに持ってきて貰った本をニーナに解析して文字習得してから寝ようと思っている。



***


 目を覚ますと体調が良くてベッドから抜け出した、夜も更けて妖精達が遊ぶ時間帯なのか時折見廻りの衛兵の足音が聞こえる位で皆寝静まっている。

 日中の騒がしさ嘘のような静けさの廊下を歩くと急に世界に一人になった思いに駆られた途端に体から力が抜ける、倒れそうになるので力を入れても入らない、地面にぶつかると思った瞬間に誰かに抱えられた。


「大丈夫ですか、エリザ様」


 顔を上げると私の知っている顔が近くにあり、私は顔が熱くなるが分かるので伏し目がちになる。


「寝たきりだったようだから体力が落ちてる様です、少しずつ体を動かして体力を付けるようにして下さい」


 エリザは抱えられたまま寝室まで連れてこられたが終始無言になってしまった、そのままベッドに寝かされた。


「おやすみなさい、エリザ姫様」


 部屋から出て行こうとしているのをエリザは服を掴んで止めた。


「私が眠るまで手を繋いでいてもらえませんか?」


 エリザは懇願すると微笑みながら手を繋いでくれた、エリザは温かい気持ちに包まれていると感じながら眠りに就いた。



 朝になり目を覚ますと夜の事は夢うつつだったと思っていたら声を掛けられた。


「おはようございます、お姫様」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る