第12話 王族
トワがフードを落とすと何故だろうか?謁見の間は静まり返る、暫し続いたこの沈黙を国王が破った。
「すまぬ、皆お主が今は亡き息子の面影が重なって驚いたのだろう、・・・うむ、それでオルターはどうなった?」
ベガは気を取り直して話を戻す。
「王様、先ずはこれを」
トワはオルターから預かった遺髪と集めた紋章を取り出し受け取りに来た文官が差し出したトレーの上に載せベガの元に行く、文官が差し出したトレーの上に有る遺髪と紋章を見てベガは察しトワに問う。
「そうか、オルターの最期は?」
ベガの言葉に横にいた悲痛な面持ちでいた女性が泣き崩れた。
そしてベガが手で合図して、泣き崩れた女性を何人か付き添わさせて退室させる。
その様子を観ていた国王は沈痛な面持ちでいたが、トワに続けるように促す。
「オルター王子は勇敢に巨大な敵と戦いどうにか撃退して力尽きる寸前に自分が通りがかり、亡骸の火葬して紋章を王国に持って行き事の顛末を話せば、便宜を図って貰えると伝え御亡くなりになられました」
トワが遭遇した敵の姿等を語りあくまで、オルターが撃退した事にしてトワはそれを傍観していたように語る。
トワの話を聴いた周囲にいた人々がキリングジャイアントゴーレムが撃退された事に騒然としたがベガが制して静める。
「なるほど話は分かった、してトワよ何を望む」
「自分は世界各地を巡りたいので、各地に入国の際の便宜を図って頂きたい事と正確な地図が欲しいです」
「ふむ、それだけか?、金品の類を要求はよいのか?」
「はい、自分は旅人ゆえに、金品は邪魔でしかないです」
「ははは、気に入った、各国に入国の際に使用する通行書は最上級の物を用意させよう」
トワがそこまでの物はいらないと言おうとするとベガはこちら言いたい事が分かっているからか遮って言う。
「各国に安全に入国するならば必要になる、それでもどうしても気になるなら1つこちらの願いを叶えてくれまいか」
トワは一考して答える。
「内容によりますが」
「簡単な事だ、ワシの末娘に会って貰いたいだけだ」
突然に国王の末娘に会う事を国王がわざわざ頼み込む理由が分からない?
更にトワは王の願いの意図が分からないので返答に詰まっていると王がトワに対し頭を下げた、突然の王の奇行に家臣達が慌てふためく、幾ばくかの長考して後に。
「分かりました会いましょう」
「そうかそれはすまぬ、案内は娘達にさせる、ではエリザをよろしく頼む、これにて謁見を終わる」
ベガはそう言って謁見の間から退室していく。
「トワ様どうぞこちらへ」
王が言っていた娘達、つまり王女様が二人、謁見の間の出入り口でトワを呼ぶ。
「お初にお目にかかります長女のマリアです、それでこの子が」
「次女のステファニーよ、よろしくトワくん」
「ステラ言葉遣いを」
「構いません、喋りやすい話し方で」
「すみません、そう言って貰えると助かります、ステラには何時も言葉遣いを直すように言っているのですが」
「だって、堅苦しい喋り方は嫌いだし」
マリアとステラは何時もこんなやり取りしているのだろうが、他にやらなければいけない事が有るため本題に入った。
「それで末娘に会えばいいのですか?」
「すみません、それでは私の後に付いてきてください」
マリアとステラの後に歩き出す、謁見の間を出て廊下を歩いているとステラが話しかけてくる。
「それにしても本当に似てるね」
「えっと、誰にですか?」
「私達の兄妹は長女の私、長男のオルター、次女のステファニー、三女のエリザ、そして異母兄弟にレイお兄様がいました」
「いた?今はどうしたのですか?」
「分かりません、ある日突然姿が消えてしまいましたですので、謁見の間でトワ様を見た時はレイお兄様が帰ってきたのかと思ってしまいました」
「そうそう、あの時はびっくりしたわよ」
「なるほど、あの時に謁見の間が静まり返ったのはそう言う訳ですか」
「あの時はすみませんでした・・ここです」
暫く城内を歩き漸く目的の部屋到着した、着くとマリアが扉をノックする。
「エリー、私です入りますよ」
部屋に入るとベッドの上に7・8歳の少女が眠っていた。
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