第11話 謁見

 門で手続きを終え王都に入ると眼前に広がる王都の街並み、整備の行き届いた道にところ狭しと露店商や多くの人々が行き交いう、今までの町や村々などとは比べられないほどに栄えていた、流石は王都だなとトワは思う

 トワ達が立っている所から見えるのは、正門から真っ直ぐ行った先に噴水が設置されて更に奥に王城への門が見える、土地勘の無いトワは他の連れの行き先が皆目検討がつかないために路の端に寄り立ち止まり意見を聞く。


「それでこれから何処に行けばいいんだ?」


「アリアナ様が、私とアリアナ様は後回しで構わないから、アルタくんとチーチェちゃんの目的地を先に向かってください」


「ありがとう、ユーラさん、アリアナちゃん、だったら魔法ギルドに行きたいんだけど、場所が分からないです」


「魔法ギルドの場所なら私が知っているので案内します」


 ユーラを先頭に魔法ギルドに向かって歩きだす一行、王都中央に有る噴水広場まで直進して左の直線な道を進む、左右に有る店に目移りしながら歩くアリアナ、チーチェ、アルタ

 暫く通りを歩くとユーラは扉に六芒星を下地に杖とパピルスがクロスしたシンボルが彫られている扉がある建物の前で立ち止まり振り返る。


「着きました、ここが王都の魔法ギルドです」


 チーチェが財布を取り出して硬貨をトワに手渡す。


「トワさん護衛ありがとうございます、これが報酬の銀貨二枚です」


「トワ助かったありがとうよ、ユーラさん、ありがとうございました」


 チーチェから報酬を貰い、アルタが礼を言って手を差し出して握手を求めてきたので、トワはそれに応じて握手を交わす。


「暫く王都にいるから、何か用があれば魔法ギルドに来れば会える」


「またね、ユーラさん、アリアナちゃん、トワさん」


 そうしてチーチェとアルタの二人は魔法ギルドに入って行った。

 ユーラ達と次に向かった先の建物は尊厳な雰囲気が漂っていた、建物から少し離れた所でユーラは立ち止りトワの方に振り返る。


「トワさん私達はここで大丈夫です、これで護衛任務完了ですね、これが今回の報酬の金貨1枚です」


 ユーラから報酬を受け取り、ユーラと別れの握手する、ユーラは歩みを進めようとしたが外套をアリアナが掴んで立ち止まったままなので、トワはアリアナの目線に成るように腰を落とす。


「お兄ちゃん」


「またな、アリアナ」


 頭を撫でながら別れを告げる、アリアナはトワがまたと言ったことに嬉しく成り、外套から手を離して笑いながら言う。


「うん、またねお兄ちゃん」


 アリアナとユーラと別れて王城を目指して歩みを進める途中に王都の様子を見ると流石王都なのか、人の往来が引っ切りなしだったが、王城に近づい行くと街並みが変わり高級住宅になると人も疎らに成ってきた、更に歩みを進めると軍の施設が目に入ってくるその奥に王城の門が見えた、門の前まで行くと衛兵に呼び止められた。


「そこの者よ止まれ」


 衛兵の男二人組がトワの前に立つ。


「この先は王城だ、気安く近づいて良い場所ではないぞ、用件はなんだ」


 トワはバックパックを指しながら言う。


「王城に届け物だ」


「荷はなんだ?」


 衛兵の問いにトワはバックパックから紋章を1つ取り出して衛兵に渡す、それを受け取った渡すと衛兵のみるみると顔色が変わった。


「この紋章は!?貴様何者だ」


 紋章を見た衛兵達は剣を構えてこちらに問いただす、王都でいきなり問題が起ったが、こんなところで足留めを喰らう訳にはいかないと思いながらも腰のナイフに手を伸ばそうとするが話の分かりそうな隊長格の人物が近づい来たのでその手を止めた。


「何事だ!?」


「リビエス隊長、この怪しい男がこれを持っていまして」


 衛兵がリビエスに紋章を渡すとやはりこちらを警戒しているのが分かるが隊長だけあって話を聞くきはあるようだ。


「その格好を観ると旅の方様ですが、これを何処で?」


「地名は知らないがあっちらの方に3日程の場所で、オルター王子から預かった」


 トワがオルターの名前を出すとリビエスは衛兵達に指示を出す。


「旅の方、名は何と申される?」


「トワ」


「私はトワ殿を城内にお連れする、他の者は確認する部隊を編成と王の元に行きこの事を報せよ」


 衛兵達が慌ただしく動き出し、トワはリビエスに着いて行き王城の客室に通されると、リビエスがこちらで暫くお待ちください言って退室する。


「ニーナ、周囲の様子は?」

【敵性反応無し、今回の件で権力者との交渉が発生する可能性が有り、此方の素性等の情報の漏洩に注意してください】

「了解」


 ニーナと連絡を取り合っているとこの部屋に接近する人がいる様なので、ニーナとの通信を終了して近づく人物を待つ。

 扉をノックしてくるので、こちらが入室を促して部屋に入った人物を見る、騎士の鎧を身に纏い古参の風格を持っている、トワが思っていたより位の高い人物が来た。


「貴殿がトワ殿ですね」


「はい」


「私は騎士団長を務めていますナージと申します、王がお会いになられるので、私めが案内を申し付けられました、王が謁見の間でお待ちです、どうぞこちらに」


 ナージの後を着いていくと一際豪華な扉の前に着いた。


「武器を此方にお預け下さい」


 腰からナイフを鞘ごと抜き取り預ける、それを確認したナージは扉の左右にいる兵に合図を送り扉が開く。


「玉座の前まで進み蹲踞敬礼の状態でお待ちください」


 言われた通りに玉座の前まで進み、片膝を付けて頭を垂れる状態で待つと、儀仗兵が王の入室を告げる。


「アーイル王国、ベガ国王御入来」


 目線を下げたまま国王の方の気配を探ると王の他に女性と思われる三人付いてくる、国王は玉座にまで進み腰掛けこちらに視線向けて話を始めた。


「我が息子のオルターがどうなったかを知る人物が来た報せが入ったが、そなたか?」


「はい」


「よろしい、立つことを許可する面を上げよ」


 国王に許可されたので立ちあがり、外套のフードを下ろすと謁見の間いる人達はまるで信じられない事が起きたような顔をした。

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