第10話 王都到着


 翌朝、集合の為に宿の前で待っている、今朝は何事も無く起きれ機嫌が良いトワだが、何故かアリアナが不機嫌でいるので話をしてみる事に。


「どうしたアリアナ?」


「お兄ちゃん、ユーお姉ちゃんがひどいんだよ」


「ユーラがどうした?」


「ベッドで寝てたらアリアナに抱き付いて離れないだよ」


「それはアリアナ様がトワさんの部屋に行こうするから」


 声の方を見ると宿を引き払っていたユーラが、宿屋から出てきたのを見ると引き払いが終わった様でトワとアリアナの側に立つ、出て来る時にアリアナの話が聞こえていたようだ。


「ですから、アリアナ様が一人で寝ていますと、トワさんのベッドに潜り込もうとするので」


「え、えー、ふ、二人はそんな関係だったですか!?」


 間が悪い事に、いつの間にかチーチェとアルタが宿屋に到着していた、ユーラの話を聞き何か勘違いをしている二人。


「あ、チーチェさん、うんお兄ちゃんと寝ると気持ちいいだもん」


 そして更にアリアナが爆弾を投下すると、チーチェは顔を赤くして何を呟き、アルタは近づいて耳打ちする。


「そーか、トワお前はあのくらいの子が好みか」


「いや待てアルタ、勘違いだ」


「いいんだ、好みは人それぞれだ」


「トワさんは小さい子どもが好き・・・子どもが好き、あ、でもアリアナちゃんぐらいがいいなら私にもチャンスが、いや、ぶつぶつ」


 何かしらの誤解を受けたチーチェは何やらブツブツと呟きながら考え事を始めた、このままでは要らぬ問題が起こると思いトワはユーラに。


「おいユーラ、アルタとチーチェの誤解を解くのを手伝え」


「は、はい」


 ユーラとトワは誤解を解けたが分からない説得に暫く時間を費やしてようやく出発する、今からだと王都に到着するのは日が沈んでからになりそうだ思いながら歩を進める。

 昼が過ぎもう少しで王都が見えてくる所まで進むと人だかりが出来ているので覗くとローブを着た男達が居た、その中でリーダーと思われる男が何やら周りに集まっている民衆に対して演説しているようだ。


「まもなく闇の巨人が復活するだろう、しかし憂うな、闇の巨人が復活するならば対をなす光りの巨人が出現するであろう、光りの巨人を使わせしイリアス神に祈りを捧げようぞ」


 ローブの男達が一斉に祈りだした、周りを見ると民衆の多くは祈りを捧げており中にはチーチェとアルタも祈っていた、二人とは異なりユーラとアリアナは祈っていないので、どうしてなのか話を聞くことにする。


「ユーラ達は祈らないのか?」


「はい、私達はイリアス神ではなく、姉妹神のユリアナ神を信仰してますので、やはりイリアス教は大陸で1番の信仰宗教ですね、ここを観ただけでも多く方が祈っていますね、それでトワさんの信仰は何ですか?」


「いや、あいにくと神様とは縁が無いからな、そう言う類いの物は信じていないよ」


「え、信仰されてないのですか!?」


 ユーラは小声で信じられないと思った顔でトワを見ている。


「まぁ自分はそうだな、ああそう言えば、自分の知り合いは熱心に神様を信仰しているヤツがよく薦めてきたな、だからと言って戦闘的無神論者と言う訳でも無いが祈ったら救われる様な環境や状況にいなかったからな」


「そうなんですか、辺境の人は変わってますね、ただ王都に着いたらその事はあまり言わない方がいいですよ、熱心な信者の中にはそう言う方を夜道に襲われた話を聴いたことがあるので」


「ああ分かった、気をつけてよう」


 チーチェとアルタが祈り終わった様なので先に進む事にした。

 それから段々と街道の人の往来が大分多くなり、王都の外壁が遠目に見え始めるとチーチェとアルタが興奮しだす。


「アルにぃ、王都だよ」


「ああ、王都だ」


「そう言えば、アリアナとユーラの二人とチーチェとアルタの二人は何の目的で王都に行くんだ?」


「私とアルにぃは王都にある魔法ギルドに登録しに行くんだ」


「私はアリアナ様を王都のある場所までお連れするのが目的です」


「魔法ギルド?」


 また分からない単語が出てきたのでユーラに説明を求めた。


「王都には複数のギルドがあり、代表的なのが冒険者ギルド、魔法ギルド、傭兵ギルド、商業ギルドです、ギルドは活動する際にサポートや仕事の斡旋等をしてくれるので、王都に着いた際はどれかに登録をお薦めします」


「了解した、届け物が終わったら行くよ」


 そうこう話をしていると外壁まで到着した、王都に出入りする門に列が出来ているので並び順番待ちをして程なく順番が回ってきた。

 衛兵の軽い質問に答えて、門にある受付でユーラが通行料を払い許可でると受付嬢が笑顔で言う。


「ようこそアーイル王国へ」

 

 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る