第4話 旅人

【緊急事態発生、先程の戦闘でパーツ破損イエローからレッド変更、通常運行に支障有り、エネルギー消費効率が低下しています】

「自動修復の目処は」

【修復382500時間、任務影響有、破損パーツ交換推奨】

「パーツ交換方法の提案採用、方法提示」

【バックアップコンテナ検索、該当の交換用パーツ確認、・・・確認完了、コンテナナンバー3・5・6に該当パーツ有】

「コンテナの位置情報表現」

【ERROR、転移時情報破損、副案全てのコンテナを回収を希望】

「……了解」

【目的地設定王都アーイル、情報収集の提案】

「確認、手段提示」

【文化レベル中世類似、生態系の情報不足、単独行動での情報収集提示】

「確認、装備品提示」

【民間人レベルの服装、自衛用武器の携行、制作完了済】

「了解」

【デバイスを操作して不具合発見時は報告確認をお願いします】

「了解、パネルオープン」


コクピット内のパネルが開く、そこには服一式とナイフが二本そしてトワを覆える外套が置いてあり、トワは手際よくパイロットスーツを脱ぎ用意された服に着替える。

 兵士達と出会った場所から王都まで半分くらいまで進み、森の中でレイドを操作して、レイド収まる穴を空けカモフラージュを施しレイドから降り腕輪を操作するとレイドは風景と一体化する。

 トワは念のためにレイドの隠蔽を確認してから、森の中を歩き出し腕に着けたデバイスを操作する


「ニーナ、ナビゲーションを実行」

【ナビゲーションを開始します】


 ニーナのナビゲートで深い森の中を抜け、王都に続く多少人の手が加えられた街道に出るが道はガタガタで、所々手付かずの状態の場所も見受けられた、トワはこの先にある王都の技術力はあまり高くない事を思いながら道を歩く。

街道を王都向けて少し歩いているとニーナから情報が報告される。


【前方1000に人、感知数7、状態は交戦中】


「前方だけか周辺には?」


【他の該当は無し、会敵予想時刻7分、今後の戦力把握と情報収集の為参戦を推奨します】


 ニーナはこの世界でのトワの能力と一般的な保有戦闘能力を知るために取り敢えず、戦闘しに行ってこい言っている


「回避案は」

【却下です、救援した側が友好的になる可能性大、情報収集の円滑可が図れるために推奨】


トワは溜め息混じりで了承すると走り出す。


 目的地に掛けていく、トワがニーナに指定されたポイントに到着すると、二人の男女を囲む様に五人組の男達が武器を構えている。

囲まれている男の方は騎士の風貌で、多人数相手にもう一人の連れの少女を守りながら戦っている、五人相手に拮抗しているのを見るとなかなか力量を持っていると推測していると、五人組の一人がこちらに気が付いた様だ。


「おいてめえ、てめえも身ぐるみ置いてきたな」


【敵対行動確認、数5を敵性反応に変更、排除して下さい】

「Ordercopy(了解)」


 トワは腰からナイフを引き抜いて構え臨戦態勢に成田、囲まれている二人組の騎士の風貌の男に声を掛ける


「援護する」


「すまん、助かる」


「そう言う訳だ、相手をしてやるから、かかってきな」


「生意気な奴だ、二人行け」


 こちらが抵抗の意思を示すと、リーダーの指示で五人中二人がこちらに向かって来る、トワはそれをすれ違う様に歩いて横を通り抜ける際に二人の頸動脈にナイフ宛がい切り裂く。

 切り裂かれた喉からカヒューと音と血を撒き散らせながら数歩歩いて糸の切れた人形の様に崩れ落ち動かなくなる、それを見いた他の男達は唖然としていた、その隙を逃さずに騎士の男が残りをまとめて切り倒す。


「ご助力感謝する」


 剣を鞘に仕舞ってからトワの方を向いて感謝の言葉を述べる

こちらが武器をしまうのを確認すると、二人がこちらに来ると外套のフードを下ろすと男が驚いた顔する


「驚いた、あれだけの技量をお持ちなので私の歳と近い方と想像していたが、随分とお若いお名前をお伺いしても?」


「トワだ、ところで貴方達は何故野盗なんかに襲われていた?」


「失礼した、私はオージでこちらが」


 騎士の風貌の男はオージと名乗り継いで少女の紹介をしようしてオージが目線を移すトワもそこに目をやると、オージのマントに隠れるようにこちらを見ている少女と目が合う、少女はびっくと体を震わせたがトワの顔見るとオージのマントから離れたと思ったらトワに抱き付いた。


「お兄ちゃん」


トワはいきなり抱き付いた少女に驚きオージに説明を求めるように聞く


「!?お、お兄ちゃん?、えーと、この子誰と勘違いしてる?」


 オージは首を左右させて答える


「いや、こちらの御方はアリアナ様と申して、アリアナ様はご兄弟は居らず一人娘であられるが、不思議な事であるな、男に対しては人見知りが激しいあのアリアナ様が、ふーむ」


「あーと、アリアナ?」


トワはアリアナの肩に手を置き引き剥がして、顔をよーく見ると歳は7~10才ぐらいでくりんとした青い瞳が印象的で可愛く、綺麗な金髪で大きくなれば美人になると思われる


「一応確認だがで無いと思うが、何処かで会った事があるかい?」


「お兄ちゃん?」


 アリアナはこちらの問いには答えずにトワを兄と呼びながらアリアナは悲しそうな顔をするので、取り敢えず頭を撫でる


「お兄ちゃん!!」


 アリアナが顔を嬉しそう答える、まあ、兄と慕ってくれる分には問題無いので、腑に落ちないが気にしないでオージを見るとどうやら話を進めてくれる事になった。


「それでトワ殿の目的地は何方ですかな?」


「こちらは頼まれた物を王都に届ける予定だ」


 オージはトワの目的地が王都だと聞くや否や、唐突に頭を下げてお願いしてくる


「トワ殿の力量を見込んで、お願いがございます、私達の目的地も王都でございます、よろしければ道中を共にして頂きたい、勿論、目的地迄の路銀はこちらが持ちます、更に無事に到着出来ましたら報酬もお支払致しますので、どうかご同行お願いいたします」


(【予定道理、友好的関係の確立成功を確認しました、現地民と同行して情報収集を】)


 トワはニーナからの新たなナビゲートを確認して、オージに了承の意図伝えると、オージは手を差し出して握手を求めてきたので応じる


「王都迄の道中よろしく頼みますトワ殿」


「了解した」


 オージは握手を終えると野盗から使える物を物色して火葬するので、それまで休んでいてほしいとお願いされた。

 トワは何かあれば呼べと言って木陰に入った、木に寄りかかるとアリアナも横に来て座っているが、トワはアリアナが何も言って来ないので、目を閉じて休む事にした。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る