第15話ラノベの系譜2
先の「ラノベの系譜」にて、葛田玖逗夜さまより、「菊池秀行や夢枕獏はどうなっているんだ」というご指摘をいただきました。ちょっとアクション寄りすぎるかなぁと思って外していたのですが、確かに書かないのはおかしい。というわけで、今回、アクション系とスペオペに関連して、先に外していた方々について書きます。
時代としては、ジュヴナイルの前あたりから、新井素子のあたりかその後まで、結構長い時期です。
さて、スペース・オペラというと外せないのが野田 昌宏です。いろいろやってた人なので、wikipediaの方を見ていただくのがいいだろうと思います。SF周辺だと、スペオペの伝道師のような方です。自身も作品を書いておられますが、「訳書多数」です。
そしてもう一人外せないのが高千穂 遙。「クラッシャージョウ」、「ダーティーペア」が有名でしょう。こちらはスペオペとアクションが一緒になっている作品でもあります。
その後というほどでもありませんが、菊池 秀行が現われます。「魔界都市」のシリーズ(?)や、「吸血鬼ハンターD」など、アクションと怪奇方面が強い方かと思います。
夢枕獏もいます。「キマイラ」や、「サイコ・ダイバー」など、やはりアクションと怪奇方面が強い方かと思います。
またこの時代、「グインサーガ」の栗本 薫 (中島 梓)も現われます。「魔界水滸伝」も書かれています。
この、スペオペと怪奇の間になにかあったのかとも思うのですが、これという理由のようなものは思いあたりません。強いて言うなら作家の色であり、時代の色だったのかもしれません。80年代、90年代は、学研の「ムー」などでも「前世は戦士だった」というようなお手紙が多かった時代です。あるいは「世紀末感」というか。おそらく無関係ではないのだろうとは思いますが、それは時代の色としか言えないでしょう。
主人公が強いというのは、スペオペからの王道というか伝統のようなものかもしれません。「主人公のむちゃくちゃな活躍」というところに注目するなら、こちらの方がラノベにより強く関係するかもしれません。
ただ、野田大元帥と、その後に紹介した方とはちょっと違う点があります。その一つは「アクション」だろうと思います。野田大元帥はあくまでスペオペであって、高千穂 遙以降はアクションが前面に出ています。もう一つは対象としている読者かなと思います。野田大元帥が紹介したスペオペはやはり王道としてのスペオペであって、必ずしもジュヴナイルを対象としていたわけではりません。ですが、高千穂 遙以降はやはりジュヴナイルを主な対象にしているように思えます。
先の「ラノベの系譜」では、私が思う「本道のSF」面から考えましたが、アクション、スペオペの方向から考えると、こういう系譜もあったことは確かです。
「本道のSF」と書くと、「スペオペやアクションはSFじゃないのか!?」と言われそうです。はい。まぁあまり本道とは考えていません。スペオペそのものについてはそう言って切り捨てるのは難しい面もあるのですが。ただまぁ、その、暗黒時代そのものだった作品って、スペオペの仮面を被っているんですよね……
* * * *
「SFってなんなんだろう?」としては、先の「ラノベの系譜」と、この「ラノベの系譜2」は、補足扱いと思ってください。
スペオペと怪奇の間:うーん、何かあるのかなぁとか共通するものはとか考えていましたが。そのあたりでクトゥルーが創元や国書刊行会から出てるみたいです。直前というよりも少し前からそのあたりでですが。作家陣はそれ以前から知っていただろうと思いますが、クトゥルーがよく知られるようになったのはそのあたりの時期かもしれません。クトゥルーが知られるようになったことで、「使えるようになった」的に、それも影響しているのかもしれません。
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