第2話

 意識が戻ってきた。不思議な夢を見たものだ。いつもの通り目を開ける。ん?何かがおかしい。ここは自分の部屋ではない。いつもだったらこう横向きに目を開ければ勉強机と本棚、もしくは反対側の壁が目に入るはずだ。しかし目に入った光景は森だ。随分と空気が澄んでいる。しかしこのベッドと掛布団とも違う体の拘束感はなんだろうか。体のほうに目をやった。なんと私の体はに包まれていた。というより、巻き付かれていた。なんだ?どこかで見覚えが……?

「あっ?目が覚めたのですか?」

これもどこかで聞いたような声だ。鈴を鳴らしたようなかわいらしい声だ。後ろを振り返るとウェーブのかかった美しい銀髪を持つ人形のような少女が覆いかぶさるようにそこにいた。いや、違う。覆いかぶさっているのではない。彼女の下半身が私の体に巻き付いているのだ。そこまでは認識できた。私が驚きを隠せないでいると蛇の少女がまた話し出した。

「おどろかれましたか?無理もありません。あまりにもあなたが生きてきた世界の常識とはかけ離れてますものね。もしかして、ワタシも誰だか分からないんですかね?ワタシは蛇ですよ。あなたに手当てをしてもらい、私達の世界に連れてきた、ね。」

やっと意識がハッキリしてきた。それじゃあなにか、昨日夢で見た喋る蛇は、夢じゃなかったということか。

「じゃあここが、君の言っていた平和なセカイなのかい?」

「君、じゃなくてって呼んでください!君なんてよそよそしくて嫌です。」

怒られてしまった。そうか、ラミナという名前なのか。

「ここはと呼ばれています。いわゆる現実世界の人間の情念が作り上げた世界とも人間の世界の土台となったともいわれていますが詳しいところはよくわかりません。少なくとも私の住んでいた地域はのどかで、争いが少なくて平和です。」

「ここにはラミナちゃんのような姿をした人が住んでいるの?」

とりあえず、聞きたいことはいっぱいあるがこれを質問した。ここで生きるにも蛇と同じ生活をするのは難しいだろう。虫とか、さすがに食べられないし。

「ここにはワタシのような蛇人のほかに、犬人、猫人、がいます。あとはワタシがやったみたいにこのセカイに連れてこられた人間も少しいるはずです。」

人間がいないわけじゃないのか。少しだけ安心した。人間は好きではないが先人がいるのは助かるだろう。不都合も少なくなるし。

「こんな森の中にいてもしょうがないですし、町に行きましょう。この地域についての生活やらの詳しい話はそちらでしましょう。」

 私とラミナちゃんは、立ち上がり、ラミナちゃんが住んでいるという町に行くことにした。

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