とある男の参加理由と末路(4)
狙うは授業中だった。授業が開始した途端、腹痛がすると言って教室を抜け出した。
あーちゃんが殺された今いじめの対象はオレに移り、そしてそれに気づいていながらも担任の教師は無視を決め込んだ。あーちゃんのときと同じだった。
引き戸になっている教室の扉を閉め、廊下に出ると俺は計画を実行に移す。引き戸の扉の原理は引いて開ける、つまり引けなくなれば開かないのだ。
教室近くの男子便所、その用具箱に隠しておいた長い木材。それは引き戸下のスライドにきっちりと収まるように切ってある。それを前の扉と後ろの扉に仕込んでおく。もちろん廊下側の窓にも。窓も引き戸だった。
とはいえ二枚あるうちの一枚、廊下側にスライドがある窓の引き戸にしか仕掛けを施せない。
しかしそこは既に対策済みだ。授業が始まる前に教室側にスライドがある窓の引き戸には既に仕掛けを施していた。観察していたが、誰もそれに気づいた気配はない。
校舎の壁側のガラス窓、そこから逃げ出せるのかといえばそうでもない。ここは3階だった。
しかもあーちゃんが自殺するよりも以前自殺した人がいたため、窓を開けるためには回転式のレバーを回す必要がある特殊な窓に変更されていた。
つまりオレはいとも簡単に密室の完成させた。とはいえ、その木材を取られれば脱出は可能だ。
その木材が扉を止めていると分からなくするため俺は空き教室の机を廊下に散乱させ、あたかもそれが原因のように見せかけた。
そんな密室にオレはどこから入るかというと、教室と廊下を挟む壁には扉と引き戸式の窓の上部に人がなんとか通れる小窓があった。オレはそこから入るつもりだった。
机を積み重ね、ゆっくりと登る。既に腰には鉈を差し、手にはバットを握っていた。
このときには既に頭のネジが外れていたのだろう。怒りによって何もかも忘れていた。
殺す。殺す。殺す。
それだけしかなかった。
その小窓をくぐり抜け、勢いよく降りると一番近くのクラスメイトの肩をバットで殴ってやった。そいつはうずくまり悲鳴をあげた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます