とある男の参加理由と末路(3)

 でもオレは殺す手段を知らなかった。何も知らなかった。

 そんなオレに幸運が巡ってきた。偶然にもニュースを見たその日は数年前に起こったクラスメイト惨殺事件の日らしく、被害者の声や現在の対策などなど放映されていたのだ。

 今後起こらないようにさらなる対策をしてほしいところです、やら、未だにあの悲劇は悔やまれますなどそんな薄っぺらい言葉に興味はなかった。

 オレが食いついたのは当時の犯人であった姉弟は、鉈とバットで人を殺したという、いわば犯行の手口。平たく言えば、殺し方だった。

 なーんだ、簡単じゃねぇーか。そう思った。そんなもので人は殺せるのだ。

 しかしオレはひとりだった。ひとりでクラスメイト全員を殺せるだろうか……って不安もあった。

 けど最近分かったことだが、オレはどうやら他国から撃たれた化学兵器の被害者みたいだった。

 化学兵器がもたらした病は『眠姫』に『腐敗』ともうひとつ『火事場』。怒りによって、信じられないほどの力が発揮できるらしい。

 どうやらオレはその『火事場』という病気に感染していた。そして数年前の姉弟もその『火事場』に感染していたらしいのだ。

 だとしたらこれは運命だ。

 あーちゃんを殺したやつらを殺すために、世界がオレに与えてくれた力だからだ。

 だからオレは殺意のままに決意した。

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