ゲームスタート(14)
「どうやら、敗者はこうなるらしいな! ヒャハ!」
唾を吐いた仮間瀬が笑い、目を見開きおれ達を見据える。
「キャハハ!」
そしてそれは一瞬だった。
ぎっ、ぢんっ!
薄い紙ならばカッターナイフで容易く切れる。その容易さを体現したように鋭利な刃が仮間瀬の首を一瞬にして切断していたのだ。当然、即死だった。
おれの嫌な予感が的中していた。
こんなことがありえるのか……。パフォーマンスはパフォーマンスでも最低下劣理解不能だった。
おれの戸惑いとともにガラスに周囲が覆われたステージ上の仮間瀬の首が、床に落ちる。その顔は醜く歪んでいた。まるでこれが現実だと言うように。
「きゃあああああああああああああああ」
揺島の悲鳴があがる。当然だった。他の女性も悲鳴をあげているようだが、揺島の悲鳴が大きすぎて、掻き消えていた。
おれは、悲鳴をあげなかったが状況が状況なだけに困惑し、言葉をなくしただ立ち尽くしていた。吐かなかっただけマシなのかもしれない。
「聞いてないですわ、こんなこと!」
戌亥が声を荒げ叫ぶ。
「それとも、犯罪者だけ特別な見物ってことなのかな?」
そんな不謹慎なことを言うのはアイドル風火。
「クックック……ハーハッハッハ!!」
風火の発言を聞いて笑い声を上げるのはマリオネではなく雉城。
「だからそこの戌亥は共闘しようなんて言えたのか、って思ってな」
「どういうことですの?」
「俺だけが勘違いしてんのか? それともお前らが勘違いしてんのか? 書いてあっただろうが誓約書に! 代償は命だって。確かに小さくて見えにくくなっていたけどな」
「そんなの卑怯じゃないですかっ!」
揺島が雉城に反論する。声が震えているからよほど勇気を振り絞ったに違いない。
「気づかないほうが悪い。俺は気づいた上でサインをしたがな」
「雉城様の言うとおりでございます。仮間瀬様が特別ゲストの件というのを伏せていたこととは違い、ワタシどもは誓約書にきちんと書かせていただいておりますのでこちらの不備ではございません。
そう言って参加者のサインの入った誓約書を見せつける。
「でも命が代償だなんて……」
「つまりですよ、お嬢さん」
風火が揺島を諭すように話し始める。
「何の対価もなしに優勝者に一億円やるのはもったいない。このゲームの主催者はそう言いたいんですよ。そうですよね?」
「その通りです」
マリオネが同調する。
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