ゲームスタート(11)

 呆れたおれは雉城にこう提案する。

「じゃあこうしよう。あんたがあいつに票を入れないなら俺はあんたに票を入れる。考えてもみろよ。この一回戦は最大十六票あるということだ。うち過半数の九票を得た人間が脱落。残りの何票かのうち二票を持ったまま二回戦に進むと俄然不利なのはあんただ。それでもいいのか?」

「……良くはないな」

 曖昧な返事、それでもこれを機に賛成へと働きかける。

「そう思うのならお前も仮間瀬に票を入れろ」

「分かった。だが今回だけだ」

「ああ。だが忠告はしておく。もし他の奴らに投票していたらおれは次の投票時に、お前に票を入れるからな」

「分かっているさ」

 こうしておれ達は仮間瀬を脱落させることにした。

 そうと決まれば一時間などあっという間に過ぎ、投票の時間を迎えた。

「それでは皆様方、投票用紙を好きなように折って投票箱へ」

 開票は不正のないようにその場で、しかも開票した票はいつの間にか用意されていたコルクボードへと貼られていく。全てが貼られた後、分かりやすいようにするためか天吊りされている右の巨大モニターに誰が誰に投票したかが映し出された。

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