ゲームスタート(6)
「ワタクシが配ります、二枚の投票用紙。これに参加者たる八名の名前を誰でも良いので書いていただきます」
マリオネが見せた投票用紙は名刺ぐらいの大きさの小さなカードだった。
「二枚の投票用紙には同じ人の名前を書くんですか?」
小柄の臆病そうな少女――胸のネームプレートには『
「それでも構いませんし、二枚の用紙にそれぞれ違う名前を書いても構いませんよ」
「……あっ、ありがとうございます」
律儀に質問に答えてくれたマリオネに揺島はぺこぺこと頭を下げていた。
「で書いたらどうなるんだ?」
少し気だるそうな男――胸のネームプレートには『
「今、和美が持っている箱に全員が投票いたしましたらワタクシが開票します。開票結果は頭上の巨大モニターに表示いたします。一番多く票を獲得してしまいますと脱落です。脱落者は次のゲームには参加できません。しかし脱落者以外の獲得票はそのまま次のゲームへ持越しです。これを繰り返していき、ふたりになった時点で票数が少ない人間が勝者です。ちなみに各投票までには一時間の猶予を与えます」
「なるほど。その時間でどうにかしろってことか」
「無記名で投票した場合はどうなるのかな?」
どこかで見たようなド派手な髪の男――ネームプレートを見てみると人気アイドルグループ〝生命〟のボーカルと同じ『
「ワタクシがお配りする投票用紙にはお名前が印字されています。つまり自分の名前が印字された投票用紙に投票する人物の名前を書くわけです」
「ああ、つまり無記名で投票したら、自分の票になってしまうわけだね?」
説明の途中で気づいた風火は、納得したようにマリオネに問いかける。
「その通りでございます。ちなみに悪戯書き等も無記名と看做させていただきます。紛失した場合も同様ですので紛失にはお気をつけください」
「分かったよ」
風火が納得し、マリオネが説明を再開しようとしたとき、
「あの。少しよろしくて?」
「なんでしょう、戌亥エレナ様」
「これから説明なさるのかもしれませんけどわたくし、招待状に書かれていた一億円相当という言葉がずっと気になっていますの。よろしければこちらの説明から先にしてはいただけませんこと?」
「グッドタイミングですよ、戌亥エレナ様。今まさにその説明に移させていただこうと思っておりました」
「あら、そうでしたの……」
少し自分を恥じるように照れる戌亥。マリオネが説明に移ると言ったのでもう何も喋らずに待っている。
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