第309話 アリアの実家

「それで、こちらがその……未来の旦「次哉だ。」……うー!うー!」

いきなり何を言い出そうとしてるんだコイツは?





サラから移動手段を用立てるため、一日待ってほしいと言われたため、

止まる宿を探そうと思ったが、脳筋から提案があった。

「皆さん、私の家に来ませんか?」

別にそれ自体は問題ない。特に、脳筋にはいい休みになるはずだ。

嫌っていた相手とはいえ、さすがにゾンビもどきにされてる可能性があるとなると、

見た目以上に気負っているはず。


それには全員賛成だったようで、脳筋の家に出向く事にした。

場所は街の少しはずれにあり、結構な大きさを誇る家だった。

「ここです!」

久しぶりの実家に帰ったのが嬉しいのか、声色が上がり、先に立って扉を開ける。


「ただいま!」

「アリア!?」

「お前……いつ、帰って来たんだ!?」

扉を開けたところ、ちょうど親と俺達が鉢合わせた。


「お父様、お母様!お久しぶりです!」

「まったく……何も言わず、手紙だけ残していなくなった時は、肝を冷やしたぞ。

お前は落ち着きというものをだな……」

……俺に付いてくる事、ちゃんと説明してなかったのか?


それから脳筋が一人ずつ紹介していき、スターナと詐欺師の説明の時には

頭を下げっぱなしだった。

詐欺師はもう権威はく奪されたとはいえ、二人とも国の重鎮だからな。

フィルとサーシャについても紹介し終わり、俺が勇者だという事含めて

言い終わったと思ったら、爆弾発言をしようとしたので、慌てて口を塞いだ。


「……ほう、勇者デュグワ殿……ですかな?」

「あらまぁ、ふふふ。」

母親は笑ってるが、父親の方から殺気を感じるんだが……


一応、誤解のないように旅の仲間だと説明はしたが、俺が喋るたびに

青筋が立ってるように見えるのは気のせいだろうか?気のせいにしておこう。


もうしばらくすると飯の準備が済むという事で、それぞれに部屋が割り当てられた

ため、ゆっくりしていた。が、

「だから、お前らは何で一部屋に集まる。」

「まぁ、こういう時こそ、いつも通りにいこうって思って。」

フィルも口が達者になってきたな。


「アリアのお家、大きいであるね。」

「私が騎士に召し抱えられた際に、褒賞を貰ったんですが、それに上乗せして

お父様とお母様が立て替えたんです。」

「え?アリアって喋り方から、貴族筋の子かなんかだと思ったけど。」

「これは癖です。お父様は一般市民として役所で働いていますよ。」

紛らわしい喋り方だな。


話していると夕食の支度が出来たと呼ばれた。

「では、行きましょうか!」

またも脳筋が先陣を切って、部屋から出る。


「俺達も行くか。」

五人とも、脳筋の後を追って部屋を出る事にした。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る