第306話 ウルムとの謁見 その1

あれから数日を掛けて、俺達は首都クックルに来ていた。

「ここから、どうやって王様に会いに行くの?」

「スターナ。転移魔法で移動できるか?」

もう、ここまで来たら遠慮はいらんだろう。ちゃっちゃと乗り込んで、

知ってる事を洗いざらい吐き出させれば、それでいい。


「ん~……難しいと思うわ。前も言ったと思うけど、さすがに国の重要な場所には

転移魔法を阻害するように対策がされているはずだから。」

そういえば、そんな事を言っていたような。


「仕方ない。直接乗り込むとするか。」

「う~……ボク、緊張してきた……」

「私もです……」

脳筋とフィルはガチガチに固まってるが、ここで立ち止まっていても始まらん。

六人全員で歩きだし、城を目指す。





「すんなりと入れたであるね。」

「……何でかしらね。」

普通の街並みを抜け、城までの道を行き、門番に見つかっても、一言二言ほど

声を掛けられただけで、特に問題なく進んでいる。ゾンビもどきも見かけないのも

腑に落ちないし、一体どうなっているんだ?罠か?


結局、妨害の無いまま、謁見の間へと来る事が出来た。そこで待っていたのは、

「おぉ、勇者殿!お久しぶりです!それに、お仲間も増えた……スターナ王女では

ないですか!?いやはや、王女まで陥落なさるとは、これも勇者殿のカリスマの

なせる技というものですかな?」

大仰に出迎えるウルム王だった。


「どうでもいい事は後回しだ。それよりも今回の件、裏で糸を引いてたのはお前らか?

素直に話せば、命だけは助けてやる。」

「はて……レリアから何も聞いていないので?」

不思議そうな表情で俺達を見てくる。


「レリアだと?」

「そうですか……彼女にも困ったものです。では、私が代わりにお話ししましょう。

何を知りたいのですかな?」

「お前らの企み、すべてだ。」

ウルムは少し考えこむと喋り始めた。


ずっと前の話。

国々に魔物が徐々に増えていった。原因は不明だった。

それぞれの国は対応に追われる日々が続いたが、ある日、ウルムに謁見したいと

申し出る女がいた。


――レリアだ。


アイツは原因を魔王が復活するせいだと言い始める。

かつての勇者は封印したに過ぎない。このままでは魔物に浸食されつくし、

ほどなくして、人間は滅びるだろうと。

そうなる前に、魔王を故意に復活させて、もう一度倒すべきだと進言された。


勇者の亡骸は元々クックルがあった場所の地下深くへと埋められていたため、

それを国民に知らせず移動させるために、ジュッドと示し合わせて、四年前の

戦争を起こしたという。


「……そんなくだらない理由でか?」

「もちろん、国を移動させるためだけではありませんよ?魔王復活には生贄が

必要なのです。戦争で散った魂は、魔王復活の礎としたのです。」

平然と言ってのける姿は、自分の行動に微塵も疑いを感じていないようだった。


「レリアを信じた理由は?」

「勇者殿も薄々は気付いていらっしゃるのでは?彼女が前の勇者を助けていた

女神ティリアだという事に。」

ウルム王の言葉に俺を除く五人がザワつく。が、多分それは合っている。

ステータスが見れなかったのは、レリアと自分で神と名乗った爺さんしかいない。

少なくとも、神と似たような力を持っているのは間違いなさそうだ。


「ゾンビもどきを作っている理由は?」

「ゾンビ……魔鉱石で死んだ人間を蘇らせる技術の事、ですかな?であれば、先ほどの

戦争では足りない分の生贄を捧げるために、高密度の魔力の塊を作る必要が

あったもので。ま、人間の体が容器として最適だったという訳ですな。」

「そのせいでおじいちゃんが……!」

サーシャが今にも殺しにかかりそうなので、後ろのメンバーで必死に抑えている。


旅の終わり……レリアとウルムは、殺さなければいけなくなるか。

俺はそんな決意をしていた。

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