第302話 竜騎士との決着

ワミはその場に崩れ落ちる。

いくら王国最強だろうと、一対一ではさすがに負ける気はしない。

すると上空を旋回していた竜が数体を残し、遠くへと飛んでいく。


「団長!みんな!」

ほとんど俺が倒したヤツの乗っていた竜だと思われる。そして一体だけ、人間を

乗せた竜がいた。あれは副団長のリビ……だったか?

そいつが乗っていたが、慌てて竜を降り、近寄ってきた。


「安心しろ。気絶してるだけだ。」

「はぁ……良かった。」

一応、自分でも確認していたが、全員に息があるのを見てホッとしている。

それにしても、やけにあっさりと引き下がったな。リビにしても敵意は

もう感じられない。


「団長から頼まれていたんです。もしも団長自身が負けるような事があれば、

すぐに撤退するようにと。」

俺が不思議そうに遠くを見ていたのを察したのか、理由を説明するリビ。


「それは勝てる見込みのない戦いを長引かせないためか?」

「おそらく。」

「殺しにかかってきた割には、都合がいいな。」

確かに俺も殺し合いをしたい訳ではなかったが、さすがにあの猛攻を受けたのを、

きれいさっぱり無かった事にできるほど、懐は広くない。

自然と口が悪態を付くのを止められない。


「勇者殿、ワミ団長も好きで従っていたのではないみたいですし……」

近くに寄って来ていた脳筋が口を挟む。


「いえ、勇者殿の言う事も至極もっともです。ですので……」

リビが俺の前に来て片膝を付き、頭を下げる。

「私の命をいかようにでも。今すぐ殺していただいて構いませんので。」

自分一人が犠牲になる気らしい。


「私一人ではさほどの価値も無いとは思いますが、どうかお願いいたします。」

「ぐっ……うっ……」

そこにワミの呻き声が聞こえてきた。


「団長!」

「ふぅ……やは、り……お強い、ですな……」

言葉もままならない状態で、体を無理やり起こし、俺の近くにやってくる。


「話は、聞こえておりました……命を、取るのであれば、私を……」

「そんな事させられません!やはり私が!」

「あたら若い命、を……散らせるなど……」

目の前でどっちが殺されるかの口論が始まった。勘弁してくれ……


「ジュギャア、もういいんじゃない?」

「そうだよ。ボク達も無事だったんだし。」

周りから許してやれという声と視線が集まる。俺が悪役みたいな扱いだ。

腑に落ちない。


「はぁ……おい、もういい加減にしろ。俺達はこれからヴァファール王国に向かう。

もう邪魔するなよ?」

そう言って俺達は先に進む。目指すはウルム王のところだ。





「団長、良かったのですか?」

「……私には、ウルム王は止められなかった。ならば国に仕える兵士として

最後まで任務をまっとうすべきだったのかもしれんが……ああまで力の差が

あるとはな。あの六人なら私の代わりに、もしや止めてくれるかもしれんと

思ってな。」

ワミは次哉達が歩く姿が見えなくなるまで、その場を動くことはなかった。

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